最終章:ルカスの愛した人
チチ、チ。
どこかで、小鳥がさえずった。きっと。いや、絶対にティアリアさん。
みんな、そう思ったに違いなかった。たとえさえずったのが、シジュウカラでなくても。
――ティアリアさん。ルカスの宝石は砕け散ったけど。これならいつでも、どこでも、本当に一緒にいられるわね。本当の意味で、一緒。
ルカスだって。
失ったけど、手に入れられた。そんな逢瀬だったんだと、わたしは思う。
「承ります!」
「これ。この生地ください」
『喜んでー!』
ルカスを守ってあげてね。もう二度と、哀しい剣を交わすことが無いように。
それが。わたしたちの願い。
――ルカスの愛した人への、願い。
「今度はどこに行く? またキッポの部落探しか?」
ルカスのことばに、
「それもあるけど。一度産まれた部落に戻るよ。手に入れた情報を、伝えないといけないし」
そうだったわね。それが『旅をするドルイド』だもの。あ。
「わたしは、お手紙を書きたいわ。両親、兄さんと妹に。約束したもの。いいかしら?」
「よし。食い終わったらとりあえず寝て、明日片付けよう。それでいいか?」
「ボクはいいよ」
「お願い」
父さん、母さん。カイト兄さんにミク。わたし、こんなステキな旅をしてるのよ? うんと教えてあげたい。うんと伝えてあげたい。
わたしも。きっとシジュウカラみたいになって、広い世界を旅するわ。
だから、もう一度言うわね。
「ルカス、キッポ。これからも宜しくね」
えーと。
こんな感じにお届け致しました、『キッポ3』、いかがでしたでしょうか?
書き手としましては、この3人は気に入っているので、とても楽しく書けました。
キッポの食い意地と、ビールばかり飲んでいる3人の嗜好は、完全に作者のものです。
ビール。
いーですねー。
閑話休題。
どうかこの作品に、ご評価・ご感想をお寄せください。
次回への参考とさせて頂きたいので……。
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
これからも、ろくべえの拙作を宜しくお願い致します。




