表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/26

20:あの時の宝石

「やめろ。お前とは……。戦いたくない」

 振り絞るようにルカスが言った。

「じぃさん? そろそろ魔道と剣技の奥義、教えてもらえない? ルカスの、大切なお仲間の生命を頂いちゃう前に」

「ままならんな。そこまでして力が欲しければ、わしと戦え」

「冗談。じぃさんの力は、あたしもルカスも良く知ってる。だからこうしてるのよ」

 そう言ったティアリアさんは、ちょっとだけふらついた。

「ノーモーションで『精神崩落(マインドブラスタ)』。変わって無いのね、その力は」

 師匠が魔道、『精神崩落』を使ったらしい。でも、ティアリアさんは全く苦にしている様子が無かった。何て言うレベルなのかしら。――だけど、わたしだって魔道士。自力でこの『絡縛綱』を打ち破らなくちゃ。脳裏は逆魔道をキャッチしている。いつでも発動出来るようにして。

「ねえ、ルカス。あたし、嬉しいわ。あの時の宝石を、まだ持ってくれていること。覚えているかしら? 別れの時のことば」

 長剣の柄を握ったままのルカスに、ティアリアさんは訊いた。そうだ。どんな魔道が封じられているんだろう……。

「覚えてるさ。

『いつかまた会えたら。この宝石の力をあたしの前で開放して』

だろ? どんな力が封じられているのか、オレには分からん。解放するタイミングもな。こんな形で再会して。――それでもオレに求めるのか?」

「ありがとう。今でもルカスのことを愛しているわ。戦いたくないのはあたしだって一緒。 ヘタをしたら、あたしが殺られるもの。ルカス。少しでもまだ、あたしのことを思っているなら」

「――ああ」

「じぃさんから力をもらうこと。協力してよ」

「オレに……。そんなことを求めているのか。出来るわけが無いと分かっていても」

 ティアリアさんは、小さく息を吐いた。

「そんな優柔不断なところ。それをも愛してるけど。事情が変わってるのよ、あの時とはね。娘さんとキツネの坊やが、苦しみながら息絶えるところ。見たくは無いんでしょ? だったら……」

 ティアリアさんの意識がルカスに向かってる。チャンスは今しかない! わたしは逆魔道を唱えた。とてつもなく巨きい力だったけど、わたしには魔道の額冠がある。絶対に打ち破れる!

「キッポ!」

 ツタがぼろぼろになるのと同時に、キッポの手を握って、ティアリアさんの背後からル

カスの元へ走った。全力で!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ