1:南の大陸へ
『キッポと一緒!』
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『キッポと一緒!2 ~リムノの帰郷~』
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をお読み頂いていると、いろいろな点がお分かりになるかと。
宜しくお願い致します。
無事にわたしの帰郷を終えて。
ハルサを後にしようとしているわたしたちは、再び冒険の旅に出た。今度こそは、キッポの目標でもある、『旅をするドルイド』を叶えなくっちゃ。部落の情報は、いつもココロを開放してキャッチしないとね。とは言え、実際の部落の立地などは、キッポの特性に任せないといけないんだけど。
キッポは、重たそうなハルバードを平気な顔で持ちながら、ハルサの様子を興味深そうに眺めながら歩いてる。
「キッポ。どの辺に行きたい?」
わたしは、並んで歩いているキッポに訊いた。
「うん? ボクは後回しでいいよ。今度はルカスの旅に付き合う」
「オレのか?」
鞘の位置を直して、ルカスが言った。
「オレこそ、後回しで構わない。キッポ。自分の旅をしろよ」
「ルカス。キッポも納得してるなら、わたしも付き合うわよ?」
「うん。途中で部落探しを手伝ってもらえるなら、ボクも賛成」
ハルサの港に着いた。人々でごったがえしている。ここで行き先を決めないと、船に乗れない。お金は充分にあったけどね。どこに向かう船であれ、心配無く乗れるだろうな。
「じゃあ、部落探しをしながら、付き合ってもらうか。いいのか?」
「うん」
「わたしも」
キッポとわたしはうなずいた。
「オレが行きたいのは、南の大陸。剣の技をもっと磨くためにな。船旅だし、時間がかなりかかるが」
「いいわ。今度こそ海賊が襲って来ないことを祈って、乗りましょ」
「ルカス、これ以上強くなるつもりなの?」
キッポの問いに、
「まだまだだよ、オレなんか。世の中、もっと上のヤツらが星の数ほどいるさ」
ちょっと苦笑を浮かべた。
「わたしも。途中のギルドで、魔道書を今度こそ手に入れたいわ。『魔道の額冠』に頼りっ放しじゃ、いつまで経っても成長しないもの」
父さんからもらった路銀では、買いたくないけどね。このお金はルカスに管理してもらっておいて、緊急時のために取っておかなきゃ。あ。切符の順番が近付いて来た。
「じゃあ、南の大陸への船でいいか?」
「うん」
「任せるわ」
ルカスが切符売り場のお姉さんと話してる。無事に買えたようだ。
「どこ行きなの?」
「プラチノ。そこの港からアルプラチノ高原を目指す」
「聞いたこと無いや」
わたしもキッポのつぶやきにうなずく。地理学の書物で勉強はしていたけど、南の大陸のことまでは詳しく無い。キッポももちろんそうだけど、わたしも初めて別の大陸に行くことになった。ちょっとどきどき。ちょっとわくわく。
「船はいつ出るの?」
キッポが訊いた。
「タイミングいい。今日の夕方だ。これを逃すと、2週間は船が無いからな」
それは本当にラッキーだ。2週間も港にいることになると、宿代もかかってしまう。出来るだけ出費は抑えたかったからね。
「ご飯はどうするの。船で?」
食欲が何にも勝っているキッポ。でも、わたしもおなかがすいたわ。
「そうする。日暮れ前には出航しちまうからな。港で食べてる時間は無い」
「分かったわ。じゃあ今のうちに出来る準備はして、船に乗りましょ」
「ボクはおなか減った。リムノ、食べる? ボク、食べたい」
「はいはい」
いつも通りのキッポ。『うどんメガ』を食べ切った食欲は、衰えると言うことを全く知らない。
それにしても。
(ルカス、南の大陸に詳しいみたいだけど。行ったことがあるのかしら?)
船に乗ったら訊いてみよう。わたしはそう決めて、大きく伸びをした。