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現在・栞編−揺れ動く−
関門海峡を渡るころには、もう 夕方になっていた。
「今から 墓参りじゃ、暗くなるね。どうする?」
私は なにも応えられない。
再び沈黙・・・。
「そういえば、この間、夕飯、美味しかったよ。ありがとう。」
「食べてくれたんだ。すっかり忘れかけてたよ」
「あの時は ひどいことを言って ごめん。」
「いいよ、もう。本当のことだもん。私が悪いのよ。前沢くんのいう通り。反省してるよ」
「反省・・・か。・・なあ、門司港に行ってみないか?」
車は 夕暮れの門司港についた。 レトロな建物が ライトアップされて 建ち並ぶ。
「綺麗ね・・」
夕暮れの風は 暖かい昼間の風とは違い、少し肌寒い。そして 私たちの郷里と同じ、海の匂いがする。
二人は どちらからともなく 寄り添って歩いた。
高校生の頃と 同じように。
「私たち、あれから、もう倍ほどに 歳をとったのね。あっという間 だったな」
「・・なあ 今夜だけは一緒にいてくれないか?」
「また 冗談?」
「根に持つなよ。」
それから 門司港を出て、小倉に向かった・・・




