表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/13

現在・栞編−悪い冗談−

私は 尊の夕食を作り終わり、鍋の火を止め、尊の横に座った。


微妙な間を開けて・・



夕暮れ時・・・・部屋に差し込む西日が眩しくて、私は 手を 翳した。


尊が それをみて 立ち上がり、カーテンを閉めた。


一瞬にして 薄暗くなった部屋。


二人の間に 今までと 違う空気が 流れる・・・。



尊は 私の隣に座り、十数年前の 高校生の頃と同じように 無言で 私をぎゅっと 抱きしめた。



私は 別れてからずっと、そうすることを望んでいたかのように、拒むことができなかった。


高校生の私たちは 抱き合うことだけで 精一杯だった。

でも 今の私たちは 十分過ぎるほど大人に なった。・・・こうしていることが罪になるほど・・大人に・・・。



尊は そっと私をベッドに倒した。



私は 尊に 抱かれながら、なぜか 客観的に 部屋の中を見渡した。



「写真・・・」


私は その瞬間、罪悪感の塊になった。



「ねえ、写真・・」


「なに?」


尊の手を掴んで止めた。


「前沢君の 子供の写真・・・」


私たちは ふっと我に返り、起き上がった。



「ごめん」

尊が言った。


「何で謝るの?」


「いや、ごめん」


私は 服の乱れを直しながら言った。

「私たち、どうかしてたね」

「そうだね。ほんと・・。 なあ、もうこんなふうに 部屋で二人で会うのは止めよう。夕飯何かも、もう いいから。」

尊は 立ち上がり、私に背を向けて言った。


「ごめんなさい。私、なんてことしたんだろう。奥さんのいる人に・・」


「美月さんだって・・。だいたいさあ、人妻が 男一人の部屋に 来るなよ。冗談で誘ったんだよ。本気にすんなよ。 美月さんは 変わらないね。・・・あの頃と ちっとも。自分の気持ちを押し付けて、俺のことなんて 何も考えてないだろ。」



「そんなこと・・。ごめんなさい。 押し付けがましかったよね。 もう、来ないから。作ったものも 捨ててもらっていい。・・・・さよなら」



私は 悔しくなって、彼の部屋を 飛び出した。



車に乗って 実家で待ってる子供たちを 迎えに行かなければ ならないけれど、 運転席に座ったとたん、涙が 止まらなかった。


なんで また 出会ってしまったのだろう。


なんで こんなふうに なってしまったのだろう。



あんな言われ方をしても、彼のことを 思う私。



また 会う運命なら 今の状態は 酷だよ。桜子伯母さん。


彼は 人のものだし、私にも 大切なものが あるんだよ。



情けないね。

私って バカみたい。



しばらく泣いて 気持ちを切り替え、私は 子供たちを迎えに行った。


途中で 大事な 凛子伯母さんの アルバムを 彼の部屋に忘れたことに 気がついた。


凛子伯母さんには 悪いけど しばらく 彼と 連絡をとる気持ちには なれなかった。



でも 一人になると 思い出す。 彼とのこと。身体が熱くなる思いがした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ