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最終話
春は 過ぎ 初夏の陽射しが 街を歩く 私を照らす。
街路樹の ハナミズキが 白や 桃色の 花を咲かせる。
彼と別れて 私は いつもの平凡な毎日に 戻った。
彼とのことは 夢ではなかったのか とも 時折思う。
あれから、 今まであれだけ頻繁に出会っていた 尊とは 不思議なことに 一度も 出会うことがなくなった。
奥さんや 子供の元に 帰ったの だろうか・・。
だいぶ後のことだが、 彼が 奥さんの実家と離れたところに 新居を 構え、二人目の子供さんが生まれたと 風の便りに 聞いた。
幸せにやっているのね。
悔しくも哀しくもなかった。
自分でも 不思議。
あんなに 愛していたのに・・・。
きっと 彼が もし 離婚なんてして ひとりでつらい思いをしていたら 私は彼の元に 会いにいったかもしれない。
別れた人は 幸せになっていてもらわないと 困る。
ねえ 桜子伯母さん。
栞は 自然と あなたと同じ 看護師の道を選び、学思さんに 似た人と 恋をしました。
私も あなたのように 今からも 素敵な生き方をしたい。
でも あまり 早くは連れて行かないでね。
ありがとう。




