「火に行く彼女」を読んで
掲載日:2025/11/04
「火に行く彼女」に出会ったのは偶然だった。ちょこっとずつ読めるような物語はないかと本屋を歩いていると、川端康成にであった。川端に何の先入観もなかった。いや、嘘である。ノーベル賞を取っている。それほどの文章なのだろう。けれど、これまで読んだことはなかった。食わず嫌い甚だしい。名が花があるほどに自分には程遠い存在に思えて仕方なかった。「掌の小説」は、入門としてはあたりだった。とりわけ「火に行く彼女」は、さすがにノーベル賞を取るくらいなのだと驚嘆するくらいの代物だった。製図を見ているような構造や、研ぎ澄まされた何の無駄のない彫刻美のような文章。歴史上の人物が、彼のかいた文章が自分の血肉になって行くのを感じた。「掌の小説」を一通り読み終えると、「火に行く彼女」のページを開いて、音読をしてみた。




