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第9話 イザベラ。

人の恋心をもてあそびやがって…エルナは怒っていた。

私のワクワクを返せ!


「まあまあまあまあ…この子を痛めつけてよ、デニス!」


鼻を抑えて…鼻血を拭きながらイザベラが後ろに控えて事の成り行きを眺めていたデニスに命令する。

(もはや…これまでか…。もっとまじめに剣術の授業受けてればなあ…)


そう思いながらもエルナは、逃げる体勢を構える。

小さい頃、いつも兄とつるんでいたずらをして、母に追い掛け回された。逃げるのは得意だ。


だが…こんなの野放しにしている王室に、何の期待も持てそうにない。殿下の婚約者候補に取った無礼も、王室侮辱罪とか適用されたりしたら…ごめんね、父上。領地なくなっちゃうかも。


後ろに控えていたデニスが返事をした。

「はい。イザベラ様。」


(あ、終わったな)


…動いたデニスが拘束したのは…私ではなく、イザベラ様だった。


「何するのよ!デニス!私が王妃になったら、どうなるかわかってるんでしょうね?」


(ん?)


校舎の陰や、庭の木の陰から、わらわらと衛兵が出てきて、ぎゃあぎゃあと喚き散らすイザベラ様を連行していく。


「エルナ様、ご協力ありがとうございました。」


さわやかにそう告げると、デニスも衛兵の後を追っていった。


(おとり?なに、私の恋心…おとり?)


夕日が…沈んでいく。



*****


「…と、まあ、そんなことがありましてね…。」


翌日の昼食時に、エルナはいつものようにご飯を食べながら、ユリアーナ様に昨日あったことを教えてあげた。初めてもらった、と、思ったラブレターは衛兵に押収されたし。


「まあ、それは大変だったわね。」


と、たいして驚きもしないでユリアーナ様はご飯を食べている。


「あの子はね…1年スキップして高等部に来たことになっているんだけど、中等部の教員が賄賂を貰っていたらしくて、調査が入っていたの。今回のことを皮切りに、皆綺麗になるわ。あの子の家、もね。丸裸になるはずよ。」

「……じゃあ…。」

「ん?」

「ユリアーナ様は全部、知ってたんですかー??」

「ん。きっかけなんて何でもいいのよ。食い込んでいく糸口でさえあればね。」


「…な…。人の恋心を…。」


「くすっ。まあまあ、秋の舞踏会あたりでうちの親戚の子でも紹介するから。それでどう?」

「…伯爵家ぐらいでいいですよ?なんなら裕福な子爵家でもいいです。」

「そこは…男爵家は入らないのね?」

「いえ。私は構いませんけど、お相手が嫁の方が高位だと遠慮するって聞いたことがあって。まあ、うちはそんな立派な子爵家でもないですけどね。えへへ。」


「ふーん。」








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