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第4話 銀髪眼鏡男。

その一団が話している間、教室に残ってご飯を食べていた他の人たちも、まるで息をしていないようだった。灰になった?メドゥーサに石にされたみたいな?

私も、目だけちょっと動かしたくらい。


言いたいことを言ったらしく、その金髪碧眼男は教室をにこやかに出て行った。

が…銀髪眼鏡男が残っていた。


「おい、ユーリ。お前わざとだろう?」

「は?何の根拠があってあんたにそんなこと言われなきゃいけないわけ?」


(え?ユリアーナ様?)


「俺が調べないとでも思ったか?お前の入学選考試験の結果、見た。」

「ふん。それで?」

「すべての教科、75点。お前…殿下をバカにしてんのか?」

「は?殿下もおっしゃってたでしょう?耳悪いの?エーミール。私はね、あの日、体調が悪かったのよ~。わかった?」


(え?殿下?殿下って言ったら…やっぱり王子様だわね。あの金髪男。新聞で見たことあるはずだけど…モノクロだったしな…。殿下もちゃんと制服着るんだなあ。)


「ふざけろ!ユーリ!全教科75点なんて、俺だってやれるかどうかぎりぎりのとこだぞ?」


(え…っと、そこ?)


「そうねえ…数学の配点が偶数で、マイナス一点をどこにしようか迷ったわぁ。あんたにはできない芸当かもね。」

「は?」

「まあとにかく、殿下だって、Bクラス落ちした婚約者候補なんぞ、必要じゃないでしょうから、叔父様によく進言しておいてよ。あんたもそんな細かいことに気を使ってると、叔父様みたいに…禿げるわよ?」

「はあ??」


はっ、とため息をついて、ユリアーナ様が足を組む。

かたや…エーミールと呼ばれた銀髪眼鏡男は腕組んで怒ってるし…。


しかも、こんな至近距離にいるというのに…お二方にはお隣の席に座っている私のことは見えないらしいな。はははっ。


「だ・か・ら!最初から言ってるでしょう?殿下の婚約者候補なんて身に余るから辞退しますって!」

「だから!合理的な理由を述べろって!何が気に入らない?」

「……」

「それもいやなのか?あれもいや、これもいやって、子供みたいなこと言ってんじゃねえぞ?」


「…子供だったらよかったわ…」


ぼそり、とユリアーナ様がつぶやいた言葉を、頭に来ている銀髪眼鏡は聞き取れなかったらしいな。


「とにかく。昼飯は今まで通り、カフェテリアに来い。ヘルミーナ様もイザベラ様も気にかけておいでだ。」


言うだけ言って、さっそうと銀髪眼鏡が教室を出ていく。


「…競争相手は少ない方がいいに決まってるじゃないの…真に受けてんじゃないわよ…。」


(いや、まあ、そうだな。もっと声高に言ってやらんとわからんのでは?)


変な汗をかきながら、教科書を握りしめているエルナはそう思ったが…口が挟める状況でもなさそうだった。ちらり、と、石になっているクラスメイトを眺めると…皆一様に生暖かい同情のまなざしで、エルナを見て、目をそらした。









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