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第15話 大舞踏会。(最終話)

12月の舞踏会では第一王子、アルフレート殿下の婚約者がいよいよ発表される。


エルナはクラウスが早々に贈ってくれたドレスを持ち込んで、ユリアーナ様のお宅で着付けをしてもらうことになった。いつもの侍女さんもいる。うちは王都に屋敷なんか構えていないので、兄とクラウスは宿から直接来る。


クリーム色のふんわりとしたドレスで、裾に緑と茶色の糸で刺繍が入っている。なかなかにかわいい。私たちの婚約は、意外と早く整った。クラウス…速攻だったな。


ユリアーナ様のお隣の席になったことで、貴族社会のいろいろを見ることができた。

足の引っ張り合いから、政略結婚の実態やら…。私にはほどほどがよろしかろうと、意外なほどスッキリといろいろ諦めた。


侍女さんがドレスに合わせて、私の髪はふんわりと下ろして、サイドの髪を流して後ろでお花の髪飾りで飾ってくれた。かわいい。鏡に映る私は、私史上一番かわいいと思う。


「お支度出来た?」


そう言いながら入ってきたユリアーナ様のドレスは薄紫に銀糸の刺繍が入っている。

あれ以来、表情も柔らかくなったなあ。今日も綺麗だ。


侯爵家の二階の窓からは、お隣の屋敷が見える。

エーミール君の屋敷はすぐお隣。小さいころから行ったり来たりで、エーミール君のところの家庭教師がいいと駄々をこねて、勉強も社交も、お隣の伯爵邸でお二人で学んできたらしい。どちらのご両親も、二人が言い出したらすぐにでも婚約させるつもりだったらしい。


「中々言ってこないから、心配したよ。」


二人で頭を下げに行ったら、そう言われたらしい。二人で平民落ちまで覚悟したらしいが…。


「殿下の婚約者は、もともとヘルミーナ様に決まっていたんだよ。王室の慣習で、どうしても3人の候補をあげなくちゃいけなくて、一人は脱税疑惑のしっぽのつかめなかったイザベラの実家に何でもいいから切り込みたかったから、イザベラ。もう一人は、絶対にヘルミーナ様に危害を加えないだろうということで、ユリアーナ、お前だったんだ。」

「……」


まあ…そんなこと言われたら、当のユリアーナ様じゃなくても…あきれるというか、がっかりするというか…。


…高位貴族家は何かと大変だなあ。そうエルナは思った。


クラウスはこげ茶の上着に、クリーム色のタイ。

エスコートしてくれたクラウスの顔にそばかすがあるのを発見して…なんだか結構かわいい。


普通が一番だなあ。

何の気負いもなくクラウスと踊りながら、エルナはユリアーナ様がエーミール君と踊るのを見た。


今日のエーミール君は、紺色の生地に金糸の刺繍が入った上着。


にこやかに微笑むユリアーナ様は、恋する普通の女の子の顔をしていた。










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