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第12話 秋の舞踏会。

秋の舞踏会には、私の兄が来るらしく、エスコートを頼んだ。

クラウスがエスコートしたいって言ってたぞ~と、兄がニヤニヤしていってきたが、その手には乗らない。私はねえ…3年かけていい男を探すんだ!


…ただ、残念なことに…ユリアーナ様の近くにいるおかげさんで、殿下をはじめとしていい男をたくさん見てしまったのは私にとってはなかなかに不幸だな。最初こそ眼福!とか喜んでいたが…。いい男の基準が自然に随分上になった気がする。


学院も半年も過ぎると、あちこちでカップルが誕生している。

婚約者の決まっていない人は必死である。私だって…と思ってはいるが、どうもユリアーナ様と一緒にいることが多く、倦厭されている。いっそのこと侯爵家の侍女の道もいいかもしれない。


あのおとり事件のラブレター以降、浮いた話もない。

が…ユリアーナ様が親戚の方を紹介してくれると言っていたし…ほどほどに期待して待とう。


一同揃って、社交界デビューのお祝いのお言葉を陛下に頂戴し、後はそれぞれに踊ったり、話したり、飲んだり、食べたり…。エルナはみんなのドレスを眺めたりしながら、オードブルを食べていた。


ん?


殿下が公爵令嬢のヘルミーナ様と踊っていらっしゃるときに、私は見てしまった。


ユリアーナ様が見たこともない笑顔で、殿方と歓談している。

兄上が踊りに行ってしまったので、もじもじしていたクラウスの手を引いて、ユリアーナ様の近くまでステップを踏みながら移動する。


「あの…エルナ?」

「…し~、黙って、クラウス。」


誰だろう?野次馬根性全開である。

クラウスとは兄の次に回数踊っているので、耳を傾けながらでも楽勝である。


「マリウス先生、アカデミアの教授就任、おめでとうございます!」

「ありがとう。ユリアーナ。元気でやっているの?君もじき、アカデミアに来るでしょう?」

「行きたいんですけどね…また先生に師事したいですわ。」

「うふふっ。エーミールも来年来るよ。また一緒に勉強できるね。」

「……エーミールが?」

「ああ。聞いていなかったのかい?」

「ええ。」


二人は手に手を取って踊りだす。


初老と言えるくらいの年。入場の順番から言って、男爵位?お金持ちにも見えないし、どこかの王族にも見えない。


話からすると、ユリアーナ様の家庭教師だった?


…ユリアーナ様がアカデミアに行きたいのは…この人といたいから?


…なるほどな。侯爵令嬢が20も30も年の離れた男爵位しか持たない男に嫁ぐのは…確かに少し難しいかも。それで…幼馴染のエーミールは…反対してるわけか?この二人の恋路を?殿下と結婚した方が幸せになれるだろうと。


「なるほどな!」

「何がだい?エルナ?」

「え?…まあ。」


クラウスとゆったり踊りながら、大方の会話は聞き出した。気づかれなかったみたいだし。それにしても…踊りながら、ユリアーナ様があんなに柔らかく笑うのを初めて見たな。


「ねえ、エルナ?冬の舞踏会では僕にエスコートさせてくれないか?」

「うん。」

(うん…なかなか難しい恋愛模様だな?)

「ドレスも贈るからね?」

「…いいと思うわ。」

(年の差婚だの身分差婚だの…まあ、いいと思うけどな)

「ありがとう。エルナのことずっと好きだったんだ。」

「いえ、こちらこそ。」

(エーミール君は…お、見てる見てる。ユリアーナ様が心配なんだろうな。親に頼まれてるのかもな。)


あら?クラウス?どうしたの?顔が赤いわよ?





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