表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/7

第七話 日輪の闇

今回の登場人物


■ ▢ ■ ▢


・三ツ谷 華 (みつたにはな)

蓮太と同じく乙名学科を専攻、卒業し、沙汰人として、周囲からは女史と称える人格者。監査人といわれる権力に打ち克つ役職として、活動を開始した。前髪パッツンのボブスタイル、青いタータンチェックのベレー帽を被り、服装も気品漂うお嬢様スタイルに変貌。


・羽黒 宗助 (はぐろそうすけ)

乙名専攻学科卒業後、官人を束ねる官人所役となって活躍。黒の燕尾服に白のウィングシャツに黒のリボンにシューズを履いて如何にも紳士的な服装。


・冴島 五郎 (さえじまごろう)

乙名専攻学科卒業。日輪在住。時が経ち、宗助と同じ官人所役・日輪支部にて活躍。正義感が強く人道的だが応用の利かないところもある。今はスーツにネクタイ、シューズという姿で、祖柄樫山の闇の事件を追う。


■ ▢ ■ ▢

千毬は、奉日本 灯(たかもとあかり)の夢占いの効果を、危険予知夢と予想する。

そしてそれは、危険予知を任意に出来るとすれば、金も動くだろうし、現状、奉日本 灯の人権を守るためと、彼女を匿う、秘八上の乙名・美咲園も、実はその効果を独り占めするつもりでは?と予想する。

しかし、現状は小さな事件を解決していこうと華は寺院を発ち、日輪で活動していた。

その序でに、豊倉に奉日本灯の話を聞くことが出来た。

夢占いの巫女、と呼ばれ、単純に当たる占いを商売にしていただけのようだった。

それを、美咲に保護されてからは、夢占いの話も影を潜めていく。


「華さんも占いで回避したい悪事を働いたのでは?はっはっは。隠さなくったって。人間何かしら、悪い所業なんてしてるもんだ。それを回避できるなら、確かにあの巫女にはもっと値がついたろう。失敗したな。」

「でも今じゃ美咲さんが占いを止めるようにと、だから占えないのでしょう?」

「あ~…華さん、知らないの?」

豊倉がケダモノのような顔をして、身を乗り出してそう言った。


「な…何がです?」

「噂ですがね。占いは限られた奴にだけやっているらしいですよ。」

「え?本当に?」

「まぁ、それが巫女の意志なら尚更止めるわけにもいかないですし。(ひとえ)に美咲が彼女の人生を買ったんですよ。」

「どういうことですか?」

「何不自由なく暮らせる権利を与えると同時に、美咲の指定した人以外を占わないし、美咲の依頼があれば占う。で、そいつらは占ったことは口外しちゃいけない。それが次に占いを受ける条件だから。」

「それはまた。」

「ああ、まるで会員制の占いだよ。だから華さんも夢占いについては、追うだけ無駄さ。」

「そう。ありがとう。」

そう言って華は豊倉の庄屋を出ようとする。

「まさかとは思うが、美咲に会いに行くつもりかい?」

「ええ。それが任務ですから。」

華は凛とした雰囲気でその場を去る。

それでもまだこの地の小さな事件も解決していないものがある。

美咲に会うのはそれからでも遅くはない。


・和都歴451年 4月20日 18時 置田村・日輪 料亭・伊佐


3カ月後、宗助と料亭で夕食を取りながら、細かい事件の証拠提出、捕縛の手続きなどを交わしていた。

「色々御活躍でなによりだ。」

「ありがとう。」

「そういえば、千毬に聞いたんだが、夢占い?の件も別で追ってるとか?」

「そうなの。私にしたら、それがどこか主な任務って思えてきて。」

「ははは。事件性があるなら調べるだけだろ。」

「そうだよね。」

「そうだ、華。冴島覚えてるか?冴島五郎。」

「ええ、乙名学科で一緒だった?彼がどうかしたの?」

「最近、仕事であってね。色々話している内に、キナ臭い情報があるらしくて。華さえよければそれも解き明かして欲しいってね。」

「冴島君は今何を?」

「俺と同じさ。官人所役の日輪支部。実は、今夜ここに呼んでるんだが。」

「あら、それなら直に話を聞くわ。」

「そうしてくれると俺も助かる。」


間もなくして、冴島が入ってくる。

「久しぶりだね、三ツ谷さん。」

「久しぶり。冴島君も御無沙汰ぶりね。」

「時間がない、早速要件に入らせてくれ。」

冴島が挨拶を済ますと直ぐに座って、二人に話す。

「実はここ日輪に妙な噂があってね。」

「妙?」

「知っての通り、ここは都に一番近い故、都の品を祖柄樫各地に配達することも一つの商売となっている。また、中心地・本置田、治安と富裕の秘八上も隣に面している。」

「地形的には商業に抜擢な土地ってわけね。」

華の端的な答えに頷く冴島。

「何不自由ないこの地にも、無いものがある。」

「無いもの?」

華は宗助の顔を見て首を傾げる。

「奴隷市と違法宝石。」

「!」

宗助の答えに、またも頷く冴島。

「その通り。そもそも奴隷も違法宝石もあってはならないもの。それだけに需要があるのもまた確か。」

「まさか…」

冴島の話に想像が滾る華。

「ああ。そのまさかだ。この日輪に、その二つがある!」

次回2025/9/15(月) 18:00~「第八話 黒の仲介人」を配信予定です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ