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第四話 夢占い

今回の登場人物


■ ▢ ■ ▢


・三ツ谷 華 (みつたにはな)

蓮太と同じく乙名学科を専攻、卒業し、沙汰人として、周囲からは女史と称える人格者。監査人といわれる権力に打ち克つ役職として、活動を開始した。前髪パッツンのボブスタイル、青いタータンチェックのベレー帽を被り、服装も気品漂うお嬢様スタイルに変貌。


・伊集院 千毬 (いじゅういんちまり)

乙名専攻学科卒業。学童会長の座も無事終え、その後、守役として学童の育成を行う。ただし、その実、九狼党としての暗躍も健在で、光と闇を使い分け、その利益を得る。髪は二つに分けて結び、カチューシャを着けて、黒と白の配色の服装が、可愛いながらも大人の雰囲気と共に、千毬の二つの顔を暗示させる。


・森 幸兵衛 (もりこうべえ)

乙名や、沙汰人、親世代からは信頼のある、実直で経験豊富な守役として知られ、守役主まで実力でなった。ただ、奇妙な事件に遭遇しており、本人はそれを否定している。その実は女学童を強姦する趣味を持っていて、その立場でそれを横行、隠蔽してきた。


■ ▢ ■ ▢

「素行には、注意してくださいね。」

千毬は出口へ向かいながら話す。

しばらくすると幸兵衛は、再び窓を見つめる。


・和都歴451年 1月4日 10時20分 置田村・本置田 寺院


幸兵衛は窓を見ていると、万屋に立つ女の子が見えてきた。

幸兵衛の好みである容姿をした女の子。

「・・・さい・・・さ・・いはて~に・・・な~が~れ~♪」

(かす)れるくらいの小声で歌う幸兵衛。

「…はぁ…はぁ…」


・和都歴451年 1月4日 11時 置田村・本置田 寺院


「夢占い?」

「南地区の豊倉(とよのくら)が、その力を金で売るくらいの当たりの良さらしくて。」

華と千毬はお茶を飲みながら話をしていた。

「でも、所詮は占い、当たるも八卦ってやつでしょ?」

「その占い方も独特でね。その娘と羊の枕で一緒に夜、隣で寝ることで、その人の翌月の運命を当てるらしいの。」

「ふーん…それを商売に?」

「女の子だし、西地区の美咲さんが女性蔑視と声をあげて、彼女とその家族を秘八上で保護するってなってね。」

「今は占いはしてないってこと?」

「多分ね。でもこれも監査人の案件としては逃してはいけないモノじゃないかしら?」

千毬はお茶をすすりながら話す。

「そうね、普通に夢占いに興味があるけど。」

華は目線を千毬りに向けると、千毬も目を合わせていた。

「だよね?」

千毬もニッコリ笑う。


奉日本灯(たかもとあかり)?」

「そう。華ならきっと興味持つと思って、いくらか調べさせてあるの。」

「名前は知ってる。」

「華もここの守役だったし、そうね名前くらいは知っているわよね。」

千毬が目を合わせると華は頷く。

「でも、彼女にそんな能力(ちから)があるなんてね。出来れば、この後少し話を聞きたいわ。」

「それも想定内。帰りにここに寄るように言ってあるの。」

千毬はウインクして手を広げる。

「さすが千毬、私のどんな彼よりも分かってくれそうね。」

華が揶揄う様に話す。


「失礼します。」

「あ、噂をすれば…ね。」

千毬が微笑む。

「奉日本さんね?」

「はい。」

「そこへ座って。」

華が席に案内する。

「伊集院守役、話って一体なんですか?」

奉日本 灯 (たかもとあかり)

日輪の貧民の出自だが、その夢占いで一躍大金持ちになる。現在は女性を道具にすることを反対する美咲に保護され、家族で優雅な旅館生活を送る。ちょっとした不思議ちゃんの気質がある。

「そうね、あなたの夢占いについて、少し聞かせて欲しいんだけれど?」

「ああ…私の夢占い…でも今はヤタラに出来ません。」

「あら、そうなの?」

華が割って入る。

「はい。美咲さんに止められていて。美咲さんの許可を得ないと基本ダメなんです。」

華と千毬は顔を見合わせる。

「じゃ、奉日本さんの占い、実際はどういうものか、教えてくれない?」

「ええ、いいですよ。…といっても私と夜一緒に寝た相手の方が、未来の夢を見るんです。」

「未来の?」

「私は起きたときに6桁の数字が頭にあって、その数字はその悪夢が起きる日時、だと思うんです。」

「なるほど。」

「一緒に寝ている方は、たいてい死ぬ夢や、襲われる夢、盗まれる夢など、不幸な夢ばかりで、そうじゃない方は夢自体見ていないようでした。」

「・・・」

「夢占いは、そんな感じです。」

「それだけ?」

華が疑問を投げる。

「華!ありがとう奉日本さん。また何か聞かせてもらうこともあるかもしれないわ。」

「いえ、お役に立てれば。あ、あと、同じ人の占いはでは失礼しました。」

そう言って奉日本灯は出て行った。

「本人が未来の不幸な夢を見る…だけが夢占いなの?」

華は腑に落ちない感じがした。

「そうね、でも逆にシンプルで納得がいく話だわ。」

千毬が顎に指を置く。

「でも良い夢は見ないってどういうこと?」

華が疑問を投げかける。

「わかったわ。大凡(おおよそ)の夢占いの効果が。」

千毬が頷いてみせる。

次回2025/7/14(月) 18:00~「第五話 仮説」を配信予定です。

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― 新着の感想 ―
夢占いなのに悪い夢しか見ないのは、不思議ですね。。
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