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~監査人・三ツ谷 華~  作者: 船橋新太郎
第1章・~宝石箱~
27/27

第二十七話 宝石箱の閉まり具合

今回の登場人物


■ ▢ ■ ▢


・祖母屋 宇禰 (そもやうね)

美咲に仕える女中頭で金庫番。元は寺院で守役をする知恵と人望の持ち主。今は秘八上の美咲に流れる金を管理している。人の良さそうな笑顔を振りまく老婆。美男子を部屋に監禁し、自分の魅力を肯定する異質な性癖を持つ。その実は違法宝石の仲介人であり、更には美咲に流れる募金に着手する悪人。


・棋山 柱 (きやまはしら)

その立案能力を買われ、宝石箱の幹部入りを果たした作戦補佐官。通称・碁石。若く、ハンサムだが、利になるなら手段を厭わない性格。


・❝初夢❞ (はつゆめ)

九狼党の❝頭❞からも知性と教養、美貌に信頼を置かれる女性。現在の所属は不明ながら、九狼党に何らかの関りを持つらしい、胸を強調した着物に、片方の生足を出す美女。


ーーー


・❝頭❞ (あたま)

九狼党のトップで、❝頭❞と呼称される絶対者。その実体は謎だが、祖柄樫山の表と裏で、かなりの権威を持つ存在とされる。


■ ▢ ■ ▢



【前回までのあらすじ】


違法宝石の流通を探る華は、次々と暗殺されていく重要参考人を保護することを考える。

華と宗助は、手に入れた顧客名簿に載る人物を追うも、❝宝石箱❞の顧客たちは、次々と暗殺されていくのだった…

華と宗助は、桐谷医院で死体と密書を見つけると、浦路と水本(貴婦人)が宿屋・波にいる事が発覚。

急ぎ、保護へ向かい、受付前で張り込んでいた。

不覚にも睡眠薬を混ぜたお茶で眠らされる宗助は、犯人が暗殺者・雪平若子と断定する。

急ぎ部屋へと向かう華と浦路は、惨殺された水本とその愛人を前に、憎悪と悲しみの気持ちを抱く。

浦路から、【宝石箱】の正体を聞くと、その一人【薔薇】は、祖母屋だった。

そして浦路が違法宝石を取引していたのは南蛮人で、その者の名はロベルト・ロマノ。

翌日、赤島の死体が上がり、華と宗助は、冴島と合流すると、福本も現れる。

赤島は心中したと処理する福本に、異を唱える華。

福本は冴島に、この事件の背後には九狼党の脅威を示唆される。冴島は、華に真実を話す代わりに条件として、今回は赤島の件から手を引いて貰う事を提示。

華ら一行は、秘八上へと向かうと、美咲の代理と瑠璃川と面会となる。

これまでの経緯と、薔薇も正体が祖母屋であることが、生存者の浦路からの情報と説明する華。

これに対し、瑠璃川は後日、連絡をすると残し、この場を解散する。

瑠璃川は、美咲に華との報告を済ますと、しばらく外回りをすると伝え外出する。

祖母屋と、その腹心・棋山は❝頭❞より結果報告にと一早く旅館・瀬織津へ赴いていた。初夢への対抗心を燃やす祖母屋。二人は、高評価と、初夢の罰を期待し会合場所へと辿り着く・・・

祖母屋は棋山を連れて、食堂に入り、奥の調理場を抜ける。食糧庫の棚が扉になっていて、その奥の階段を降りていく。

その奥には広間があり、中央に円卓が置かれ、手前にある暖炉が、唯一の灯りとなっていた。

円卓の左には、上半身は陰で見えずにいる❝初夢❞らしき人影が、綺麗な生足を組んで座っていた。

中央の奥には、一段上がりになった場所に❝頭❞が一人座っていて、右隣に全身赤い忍装束を纏う人影が立っている。

変わらず、12色の洒落た簾が掛かっていて、❝頭❞の下半身しか伺うことができない。

「さて、今回3人を呼び立てたのは他でもない、我が組織のルール、信賞必罰に基づくものである。では、薔薇、碁石、掛けたまえ。」

❝頭❞がそういうと、2人は会釈をして席へ座る。

「黒水晶は白石組討伐に参加しているため、不在なのは周知の通りである。今回はこのメンツで会議を始める。まずは、諸君らの結果報告だ。初夢、まずは君からだ。」

「わかりました。まず、宝石箱の南蛮人とのルート確保・継続、これを浦地に代わり、実行できた事を御報告致します。また、これまで以上にグラムあたりの単価も安価に購入出来ることも約束させました。」

初夢の報告に憎悪を抱く祖母屋。

「素晴らしい。代理を任せた私も誇らしい限りだ。引き続き、任務の継続を頼む。」

❝頭❞の言葉に会釈をする初夢。

「では、次は薔薇、碁石、2人のペアだが?」

「はい、お任せ下さい。」

満面の笑みで返事をする祖母屋。

「宝石箱を閉じるプランにおいて、碁石の素晴らしいプランに実行者を選びました。華なる監査人の邪魔にも屈せず、すべての顧客を葬れたのも、碁石のプランの精度によるものと評価しております。」

「ほう?私の耳には1人免れた者がいると聞いておるが?」

「…まさか?お言葉ですが、急な追加案件となった赤島殺害まで、実行者にしっかりと確認しました。」

「そうか…では我が目と耳が衰えたということかな?」

「…」

沈黙する祖母屋と棋山。

すると、初夢が挙手する。

「なんだ?」

「大変恐縮ですが、今回は薔薇の言う通り、赤島殺害もありました。その点は私たっての要望であったこともあり、酌量の余地を望みます。」

「…免じろと?」

「ただし、それとは別件に監査人・華なる一行が、薔薇の正体に気付き始めております。」

「バ…バカな…」

祖母屋は動揺する。

「彼女らもまとめて暗殺することで、今回の失点を免除、とは如何でしょうか?」

「だまれ!小娘が!❝頭❞に何と言うー」

「ー面白い、よいだろう。」

❝頭❞が一括する。

「仕留め損ねた浦路と、知り過ぎた小娘・華なる一行が薔薇に気付いておるならば、お前には彼女らを殺す他に余地はあるまい?」

「…!」

「行け…今すぐだ!」

「わ、わかりました!碁石、行くよ!」

「は、はい!」


「ふふふ…さすがだな、初夢…」

祖柄樫山の裏世界を牛耳るという、秘密組織・九狼党。その頭目である❝頭❞といわれる存在の正体を知る者は、まだ居ない。

次回2026/4/29(水) 18:00~「 第二十八話 初夢、その名はー」を投稿予定です。


通常は祝日18:00に投稿致しますので、御期待下さい。

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