第二十六話 暗殺の立案者
今回の登場人物
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・美咲 園 (みさきその)
若くして蓮次と藤香の側近となり、一揆でも大きな活躍と信頼を得たことで、置田村の乙名として村設立に関わった一人。非常に平和的で、革新的。男尊女卑と古い掟から真っ向から異を唱え、将来的には独自の村を設立しようと考えている。歳をとっても何処か色香を纏う雰囲気と服装。
・瑠璃川 三葉 (るりかわみつば)
置田村東部・秘八上の沙汰人で顧問。ここ数年で名を馳せるまでになった、上流階級の娘で33歳。平和的思想が美咲に買われ、刀禰から沙汰人へと上がる。気品に満ちた出立と話し方が、更にその人間性を物語る。曲線美を見せる為か、常に胸の谷間を象徴する着物と、片足は生足を見せる着こなしをする。
・祖母屋 宇禰 (そもやうね)
美咲に仕える女中頭で金庫番。元は寺院で守役をする知恵と人望の持ち主。今は秘八上の美咲に流れる金を管理している。人の良さそうな笑顔を振りまく老婆。美男子を部屋に監禁し、自分の魅力を肯定する異質な性癖を持つ。その実は違法宝石の仲介人であり、❝薔薇❞と呼ばれる❝宝石箱❞なる組織の一員。
ーーー
・❝初夢❞ (はつゆめ)
九狼党の❝頭❞からも知性と教養、美貌に信頼を置かれる女性。現在の所属は不明ながら、九狼党に何らかの関りを持つらしい、胸を強調した着物に、片方の生足を出す美女。
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【前回までのあらすじ】
違法宝石の流通を探る華は、次々と暗殺されていく重要参考人を保護することを考える。
華と宗助は、手に入れた顧客名簿に載る人物を追うも、❝宝石箱❞の顧客たちは、次々と暗殺されていくのだった…
華と宗助は、桐谷医院で死体と密書を見つけると、浦路と水本(貴婦人)が宿屋・波にいる事が発覚。
急ぎ、保護へ向かい、受付前で張り込んでいた。
不覚にも睡眠薬を混ぜたお茶で眠らされる宗助は、犯人が暗殺者・雪平若子と断定する。
急ぎ部屋へと向かう華と浦路は、惨殺された水本とその愛人を前に、憎悪と悲しみの気持ちを抱く。
浦路から、【宝石箱】の正体を聞くと、その一人【薔薇】は、祖母屋だった。
そして浦路が違法宝石を取引していたのは南蛮人で、その者の名はロベルト・ロマノ。
翌日、赤島の死体が上がり、華と宗助は、冴島と合流すると、福本も現れる。
赤島は心中したと処理する福本に、異を唱える華。
福本は冴島に、この事件の背後には九狼党の脅威を示唆される。冴島は、華に真実を話す代わりに条件として、今回は赤島の件から手を引いて貰う事を提示。
華ら一行は、秘八上へと向かうと、美咲の代理と瑠璃川と面会となる。
これまでの経緯と、薔薇も正体が祖母屋であることが、生存者の浦路からの情報と説明する華。
これに対し、瑠璃川は後日、連絡をすると残し、この場を解散する。
◎和都歴452年 3月22日 16時 置田村・秘八上 旅館・泡沫 姫の間
「三葉?華らとの面会はどうであった?」
監査人である華の用事を気にする美咲。
「はい。宝石箱なる組織を調査中らしく、対応しておきました。」
「そうか。」
三葉の対応に安堵をする美咲。
「美咲様、以前話した寺院の女史や、華の対応に、少し各所を回って参ります。しばらく留守にしますが…」
「構わん。今急ぐのは赤島がこの地・秘八上に放った戦火による傷跡を癒す事。」
「では、行って参ります。」
力を込めて言う美咲に、三葉も覇気を持って応答した。
◎和都歴452年 3月22日 21時 置田村・本置田 旅館・瀬織津 客室
水浴びから上がる❝初夢❞。
窓から入る月光が、初夢の綺麗な裸のシルエットを映し出す。
座る初夢は足を組んで葡萄酒を飲み始める。
◎和都歴452年 3月23日 18時 置田村・本置田 旅館・瀬織津 客室
「まさか、アンタも呼ばれていたとはね。❝碁石❞。」
祖母屋が葡萄酒を飲みながら話す。
「光栄の至り。今回、薔薇の監督による宝石箱・暗殺計画の補佐を行えた実績と自負しています。無論、薔薇の御推薦あっての賜物。このまま我らの九狼党入りも夢ではないかと。」
棋山 柱。その立案能力を買われ、宝石箱の幹部入りを果たした作戦補佐官。通称・碁石。若く、ハンサムだが、利になるなら手段を厭わない性格。
「いいかい?」
祖母屋は裸になる。
「…これまで以上の推薦を頂けると?」
棋山の真面目な顔に、ニヤリと笑う祖母屋。
「当たり前だよ。明日の夜、結果報告にはアンタの名前もしっかり添えてあげるさ。」
祖母屋は棋山に抱き着くと、葡萄酒のグラスを落とす。
「そうであるならば…」
棋山は服を脱ぐ。
「若い初夢に…何もかも奪われてたまるかい!」
祖母屋は、棋山の唇を奪う。
◎和都歴452年 3月24日 20時 置田村・本置田 旅館・瀬織津 客室
「今夜は❝頭❞に結果報告をする筈だ。さて移動するよ。」
「我が立案の功、是非とも。」
服を着て、襟を正す棋山。
「わかってるよ。初夢も来るらしい。しかし、一体あの娘に何を…」
「我々以上の評価は有り得ません。寧ろ、低評価による罰かもしれませんよ?」
「なるほどねぇ。だとするなら見物だ…さあ、行くよ!」
「はい。」
祖母屋は嫌らしく微笑むと、棋山を連れて、秘密の会合場所へと足を運ぶ…
次回2026/3/20(金) 18:00~「第二十七話 宝石箱の閉まり具合」を投稿予定です。
通常は祝日18:00に投稿致しますので、御期待下さい。




