第二十五話 薔薇の正体
今回の登場人物
■ ▢ ■ ▢
・三ツ谷 華 (みつたにはな)
蓮太と同じく乙名学科を専攻、卒業し、沙汰人として、周囲からは女史と称える人格者。監査人といわれる権力に打ち克つ役職として、活動を開始した。前髪パッツンのボブスタイル、青いタータンチェックのベレー帽を被り、服装も気品漂うお嬢様スタイルに変貌。
・羽黒 宗助 (はぐろそうすけ)
乙名専攻学科卒業後、官人を束ねる官人所役となって活躍。黒の燕尾服に白のウィングシャツに黒のリボンにシューズを履いて如何にも紳士的な服装。
・冴島 五郎 (さえじまごろう)
乙名専攻学科卒業。日輪在住。時が経ち、宗助と同じ官人所役・日輪支部にて活躍。正義感が強く人道的だが応用の利かないところもある。今はスーツにネクタイ、シューズという姿で、祖柄樫山の闇組織・禍津社を追っていた。
・浦路 光之介 (うらじこうのすけ)
日輪の宝石商。宝石箱の唯一の生き残り。冴えない商人だが、ここ数年で大きく利益を出す。華らに命を救われ、協力することを誓う。違法なる南蛮人・ロベルト・ロマノとの秘密の取引場所を知る人物。
ーーー
・瑠璃川 三葉 (るりかわみつば)
置田村東部・秘八上の沙汰人で顧問。ここ数年で名を馳せるまでになった、上流階級の娘で33歳。平和的思想が美咲に買われ、刀禰から沙汰人へと上がる。気品に満ちた出立と話し方が、更にその人間性を物語る。曲線美を見せる為か、常に胸の谷間を象徴する着物と、片足は生足を見せる着こなしをする。
■ ▢ ■ ▢
違法宝石の流通を探る華は、次々と暗殺されていく重要参考人を保護することを考える。
華と宗助は、手に入れた顧客名簿に載る人物を追うも、❝宝石箱❞の顧客たちは、次々と暗殺されていくのだった…
華と宗助は、桐谷医院で死体と密書を見つけると、浦路と水本(貴婦人)が宿屋・波にいる事が発覚。
急ぎ、保護へ向かい、受付前で張り込んでいた。
不覚にも睡眠薬を混ぜたお茶で眠らされる宗助は暗殺者・雪平若子と断定する。
急ぎ部屋へと向かう華と浦路は、惨殺された水本とその愛人を前に、憎悪と悲しみの気持ちを抱く。
浦路から、【宝石箱】の正体を聞くと、その一人【薔薇】は、祖母屋だった。
そして浦路が違法宝石を取引していたのは南蛮人で、その者の名はロベルト・ロマノ。
翌日、赤島の死体が上がり、宿は混乱する。
華は外へ冴島と合流し、宗助の元へと急ぐと、福本も現れる。
赤島は宿の女中・岬と心中したと処理する福本に、異を唱える華。
福本は冴島に、この事件の背後には九狼党がいるから、もう関わるなと言う。
冴島は、華に真実を話す代わりに、今回は赤島の件から手を引いて貰う事をお願いするのだった・・・
「九狼党…噂には聞いたことあるが…」
「本当に実在するの?」
華が宗助に尋ねる。
「さぁな。俺も親から少し聞いた程度だ。ただ、藤香さんならきっと何か知ってるだろう。」
「個人的には、禍津社を追っていた限りでは、九狼党に出くわすことはなかった。この祖柄樫山にもそんな地下組織が数多出来てきたという事だろう。」
冴島は苦笑いをする。
「いいわ。冴島君の言う通り、赤島の死因は今調べることはしない。」
「すまない。」
「それ以上に私たちには宝石箱を追う必要がある。」
華が浦路を見てそう決断する。
「ありがとう、三ツ谷さん。」
浦路が頭を下げる。
「まずは秘八上の美咲さんの元へ向かいましょう。」
「まさか、祖母屋を崩すのか?」
「今はそれしかないわ。」
「わかった。赤島の件での借りもある。協力するよ。」
「勿論、俺も華について行く。」
冴島と宗助がそう言うと、浦路は目を潤ませる。
「じゃ、出発ね。」
◎和都歴452年 3月22日 15時 置田村・秘八上 旅館・泡沫
華ら一行は、旅館の受付にて、美咲の面会を申し付ける。
「ただいま伺ってまいりますので、お待ち下さい。」
「わかりました。」
一行が待合席で待つと、しばらくして遣いの者が現れる。
「ようこそ、華さん。貴女の御活躍は周知の事実。美咲様は多忙な故、私が代理としてお相手致します。」
瑠璃川が現れる。
「瑠璃川さんが?まぁこちらは構いませんが。」
華が席に着く瑠璃川の顔を見ながら返答する。
「では、何かご質問があれば、可能な範囲でお答えします。」
瑠璃川がそう言うと、華らは顔を見合わせる。
「実は、祖母屋さんの事ですが…」
「祖母屋?ええ、彼女がどうかしましたか?」
「彼女の話をする前に、闇の組織、【宝石箱】の話をする必要がありますが…」
「…宝石箱?闇の組織なんて、華の口からそんな言葉が出るなんて意外だわ。いいわ、続けて。」
瑠璃川がそう言うと、華は宝石箱の事を分かる範囲で伝えた。
日輪の裏で荒稼ぎをし、華らの捜査に気が付くと関係者となる者は皆殺しにされた事。
その中で、薔薇と呼ばれる者が祖母屋であることが判明した事。
「なるほど。幹部は字しか分かりませんが、薔薇だけは判明したということでしょうか?」
「はい。」
「華の人柄はわかっていますが、その薔薇の正体が祖母屋だという決定的な証拠などあるのでしょうか?」
「こちらの、浦路氏は、その薔薇との接触者の一人です。」
「…!」
「浦路氏の証言が、何よりの証拠。どうでしょうか?」
「…ということは、先程説明にあった、宝石箱の顧客が皆殺しにされたというのは…」
「ええ、彼以外が皆殺しにあった…というのが正確です。」
「…そうですか。」
瑠璃川は目を閉じてそう言うと、少し考えをまとめる。
「わかりました。祖母屋への面会は後日、こちらから連絡をさせます。今回はこれにてお引き取り下さい。」
「わかりました。宜しくお願い致します。」
華は、そう言って意志の強さを示すように瑠璃川を見据えた。
次回2026/2/23(月) 18:00~「第二十六話 暗殺の立案者」を投稿予定です。
通常は祝日18:00に投稿致しますので、御期待下さい。




