第二十一話 保護
今回の登場人物
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・三ツ谷 華 (みつたにはな)
蓮太と同じく乙名学科を専攻、卒業し、沙汰人として、周囲からは女史と称える人格者。監査人といわれる権力に打ち克つ役職として、活動を開始した。前髪パッツンのボブスタイル、青いタータンチェックのベレー帽を被り、服装も気品漂うお嬢様スタイルに変貌。
・羽黒 宗助 (はぐろそうすけ)
乙名専攻学科卒業後、官人を束ねる官人所役となって活躍。黒の燕尾服に白のウィングシャツに黒のリボンにシューズを履いて如何にも紳士的な服装。
・浦路 光之介 (うらじこうのすけ)
日輪の宝石商。冴えない商人だが、ここ数年で大きく利益を出す。違法なる南蛮人との関わりもあると言われる。
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違法宝石の流通を探る華は、次々と暗殺されていく重要参考人を保護することを考える。
華と宗助は、貴婦人を捜索・保護をしに、冴島は浦路を捜索・保護しに向かった。
しかし、顧客名簿に載る人物には密書が配られ、特定の場所で待ち合わせをする旨が記載されていた。
❝宝石箱❞の顧客たちは、そこへ足を運ぶも、次々と暗殺されていくのだった…
華と宗助は、桐谷医院で死体と密書を見つけると、浦路と水本(貴婦人)が宿屋・波にいる事が発覚。
急ぎ、保護へ向かい、受付前で張り込んでいた。
華が外へ見に行くと、暫くして雪平と忌部が入ってくる。
見張る宗助は背後から声をかけられた。しばらく雪平と話をする内に、睡眠薬を混ぜたお茶で眠らされる宗助。
一方、外へ探しに行った華は、暫くして壺装束と市女笠の水本を発見、同時に歩く浦路らしき人物も発見する。
浦路と水本は一度別れ、宿で合流する話をすると、別れた。
華は浦路を追い、話しかけた。
「あなた、浦路よね?」
「な…何だ?君は?」
「私は監査人・三ツ谷華。あなたを助けに来たの。」
「え?」
◇和都歴452年 3月21日 15時 置田村・日輪 宿屋・波 近郊
「私を?助けたい?」
華は頷くと、密書を見せる。
「…! それをどこで?」
「桐谷医院。彼女は殺されていたわ。」
「何?」
「体よく宝石と宝石箱なる組織の人間を集め、口を封じていく。次はあなたよ?」
「ま…まさか…!」
「何にしても危険だわ。宗助と合流して、あなたを保護してもらう。いいですね?」
「…信用しろと?君の言葉を信じようにも...」
「では宿へ。そこにはあなたの仲間、水本さんもいます。人が多い場所なら暗殺者もさすがに手は出さない。このままじゃ二人とも危険だわ。」
「…わかった。いいだろう。」
浦路は華と共に宿へ移動する。
「あれ?宗助は…」
華は浦路と宿に着くなり、宗助を探す。
「あれ…宗助!?」
華は椅子にもたれ掛かる宗助に走り寄る。
「大丈夫?宗助!宗助!?」
「…あ、ああ…」
目を眩ましながら起き上がる宗助。
「何があったの?」
「…いや、妙な男が…」
首を振りながら思い出す宗助。
「男?まさか…あの2人組?」
「わからない…」
「雪平若子?」
「!」
ピンときた宗助。
「そうなの?」
「わからない…ただ…もう1人が若子君と…」
「そうよ、年増のお洒落な男性で…」
「禿げた爺さんだろ…」
「間違いないわ。」
華は頷くと、客室へと向かい出す。
「華、待て!1人じゃ…危険だ…」
宗助はよろめきながらも立ち上がる。
「無理よ、大丈夫、力はなくても翻弄する知恵くらいあるわ。」
「しかし、華に何かあれば…俺は…」
「ありがとう。」
華は微笑んで返す。
「浦路さんも手を貸して?」
「も、もちろんだ…」
2人は客室へと向かう。
「この部屋だ。鍵が閉まってるな…」
浦路がノブを確かめる。
「すみません、布団の交換にきました。開けますよ?」
「開けるって?」
「しっ!」
小声でやり取りする華と浦路。
ーカチャカチャ…カチン
ピッキングする華。
「スゴいな…」
「知り合いの忍者に教わったのよ。」
中へ入る2人。
「誰も...居ませんか?」
華が恐る恐る声を出す。
「奥の寝室へ…行きましょう…」
「は、はい…」
2人は寝室へ忍び足で移動する。
水本が…吊るされていた…
「きゃっ!」
華が声を出す。
「ひ…酷いな…」
浦路は水本の遺体を降ろし始める。
…チョロチョロチョロ…
水の音に気が付く華は、その方向へと一人歩き始める。
浦路は、水本の遺体を寝かせると、華が戻らないことに気が付き、同じく水の音のする方へと移動する。
「三ツ谷さん?」
浴室に華は呆然と立っていた。
「…彼は、彼方と間違って殺されたのよ。」
素性の分からない、水本の愛人らしき男を見つめていた。
男は浴槽に、両腕をお腹にキツく縛られ、沈んでいた。
「…なんてことだ。」
荒む浦路。
「答えて。宝石箱って何なの!?」
珍しく華が声を荒げる。
「…」
-パシ!
「痛ッ…!」
叩かれる浦路。
「まだまだ犠牲者が出ないと分からないの?彼方は自分の金が増えれば他人はどうなってもいいの?」
「わかった…わかったよ…答えるから…」
「来て。宗助のことも心配だわ。」
関係者の口を封じるため、非道なる仕打ちを重ねていく宝石箱。
華に滾る浦路への憎悪と救済の気持ちを胸に、二人は受付のある広場へと戻る。
次回2025/12/26(金) 18:00~「 第二十二話 休息」を配信予定です。
※12/5(金)~12/26(金)は年末年始・強化月間です。
期間中は毎週(金) 18:00に投稿致しますので、御期待下さい。




