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第二話 使命

今回の登場人物


■ ▢ ■ ▢


・三ツ谷 華 (みつたにはな)

蓮太と同じく乙名学科を専攻、卒業し、沙汰人として、周囲からは女史と称える人格者。監査人といわれる権力に打ち克つ役職として、活動を開始した。前髪パッツンのボブスタイル、青いタータンチェックのベレー帽を被り、服装も気品漂うお嬢様スタイルに変貌。


・羽黒 宗助 (はぐろそうすけ)

華と同じ乙名専攻学科卒業生。


・伊集院 千毬 (いじゅういんちまり)

華と同じ乙名専攻学科卒業生で親友。


■ ▢ ■ ▢

和都歴451年 1月4日 9時 置田村・本置田 置田の館


藤香から監査人としての心構えを拝聴した華。

「ならば私からはここまで。あとは村を回り、困る人の声を拾い上げ、解決へ導いてくれ。」

華が置田の家から出て、馬車へ向かう。

「よっ!監査人の三ツ谷さん!」

「私たちも帰りの馬車、御一緒して良いかしら?」

「宗助?千毬ちゃんも…ええ、是非。乗って頂戴。」

成長を遂げた宗助と千毬も馬車に乗り込んだ。

「宗助、服装のせいか凄く大人に見えるわ。」

「そうか?俺はこういうの動きづらくて好きじゃないんだけどな。立場上仕方なく…」

羽黒宗助も、乙名専攻学科卒業後、官人を束ねる官人所役(かんにんじょやく)となって活躍していた。

彼も役職柄、服装が大きく変わっていた。黒の燕尾服に白のウィングシャツに黒のリボンにシューズを履いて如何にも紳士的な服装。

「そうなんだ?千毬ちゃんも仕事柄?」

「私は普段着と仕事着は違うけど、今日はまたお洒落着ね。」

伊集院千毬も同じく乙名専攻学科卒業。学童会長の座も無事終え、その後、守役として学童の育成を行う。

ただし、その実、九狼党としての暗躍も健在で、光と闇を使い分け、その利益を得る。

髪は二つに分けて結び、カチューシャを着けて、黒と白のミルフィーユジャンパースカートに、黒と白のケープを羽織り、ストラップシューズを履いた可愛いながらも大人の配色を思わせる。

「とっても可愛いね。」

「あら、ありがとう。」

華の言葉に謝辞を返す千毬。

「でも残念ながらファッションチェックで華を呼び止めたんじゃないの。」

「はは、千毬は変わらず無粋だな。」

千毬を揶揄う宗助。

「だよね。私が今受け持ってる件の後任が二人なんだから、何か意味があるんだよね?」

華が目を閉じて話す。

「俺は官人だ。華が見つけたイイ人の仮面を被ったケダモノを、通報くれれば直ぐにそいつを捕まえに行く。それが俺の役目でもある。」

宗助が車窓を見ながら話す。

「お~、じゃ、そこは頼っちゃおっかな~。」

華が揶揄いながら返す。

「華の立場上、権力者にとっては暴力で応戦してくるかもしれない。その時も俺を頼ってくれ。」

「わかった。ありがとう。」

そういうと、馬車が止まる。

「俺はここまでだ。何かあればいつでも呼んでくれ。じゃあな。」

宗助は馬車を降りた。

「千毬ちゃんには、私の守役としての後をお願いしちゃうけど?」

「ええ、構わないわ。元々、私は寺院で守役をしてるから。」

その後、少し沈黙が流れると、華は大役を受けた事に少し戸惑ってもいた。

「華はどう仕事をするつもり?」

「え?とりあえず、村の陳情を聞いて、解決できる案件からかな・・・」

「そうね。まずはそれで❝監査人❞という仕事に自信を付けていくしかない。」

「千毬ちゃん…?」

千毬の態度に疑問を覚える華。

「ごめんなさい、私の役目じゃないのにね。」

「ううん、自分の事のように考えてくれて、嬉しいよ。ありがとう。私は使命を全うできるように頑張るね。」

「あ、寺院に着いたわ。華も少し寄っていかない?」

千毬に誘われ、寺院に立ち寄る華。


和都歴451年 1月4日 10時 置田村・本置田 寺院


「私の部屋でお茶でも飲みましょうか?」

「いいね。」

千毬の誘いを受ける華。

「伊集院守役!三ツ谷守役!」

「あら、灯ちゃんと雪ちゃん。雅ちゃんは?」

千毬と華を呼び止める学童、白峰雪に華が聞き返す。

「今、万屋(よろずや)で買い物しに行ってまして。間もなく帰ってくるかと思います。」

白峰 雪(しろみねゆき)。沙汰人の家系で、現・学童会長。千毬に負けず劣らずの知恵を持つ。仲間想いで、勘も鋭い。肩まで伸ばした髪を綺麗に巻き、フリルのブラウスにドレススカートを愛する。


ー 万屋


学童一、美人と称される、月乃木雅(つきのきみやび)。万屋で買い物を済まそうと、金銭を支払っているところであった。

遠くの窓からその姿を覗き見る、不気味な息遣いをする影があった。

「はぁ…はぁ…み…雅…」

次回2025/5/26(月) 18:00~「第三話 噂」を配信予定です。

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― 新着の感想 ―
久しぶりに千毱登場しましたね。これからが楽しみです。
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