第十九話 次々と死んでいく
今回の登場人物
■ ▢ ■ ▢
・三ツ谷 華 (みつたにはな)
蓮太と同じく乙名学科を専攻、卒業し、沙汰人として、周囲からは女史と称える人格者。監査人といわれる権力に打ち克つ役職として、活動を開始した。前髪パッツンのボブスタイル、青いタータンチェックのベレー帽を被り、服装も気品漂うお嬢様スタイルに変貌。
・羽黒 宗助 (はぐろそうすけ)
乙名専攻学科卒業後、官人を束ねる官人所役となって活躍。黒の燕尾服に白のウィングシャツに黒のリボンにシューズを履いて如何にも紳士的な服装。
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・忌部 耕助 (いんべこうすけ)
ある場所で仙術を幾つか修得したという神出鬼没の謎の中年。頭は禿げ上がっているが、宣教師の様な服を纏い、紳士的な振る舞いを見せる。若い男性を愛でる趣味を持つ。
・雪平 若子 (ゆきひらわかこ)
忌部の教え子。中性的の魅力が溢れる美男子。紳士的であるが、殺しを生業とし、袖下にワイヤーを仕込む。化粧とお香を愛する自己愛と同性愛を重ね持つ。暇があれば常備するスカーフを手で靡かせる。
■ ▢ ■ ▢
違法宝石の流通を探る華は、唯一の手掛かりである宝石商に通っていた貴婦人を再び見つけ出した。
その貴婦人が通う店は、南蛮菓子屋。宗助がこの店と当たりを付けると、貴婦人が出た後に、中へ入る。主人の居なくなった隙に、顧客名簿を見つけた宗助は、それを盗み出した。
華と宗助は、顧客名簿の人物を探すべく、日輪の官人所へと向かい、冴島にそれを見せると、浦路という人物を知っていた。ここ数年で力を付けた冴えない宝石商。
三人は一度、南蛮菓子屋へ向かうと、主人はまたも暗殺されていた。
華と宗助は、貴婦人を捜索・保護をしに、冴島は浦路を捜索・保護しに向かった。
しかし、顧客名簿に載る人物には密書が配られ、特定の場所で待ち合わせをする旨が記載されていた。
❝宝石箱❞の顧客たちは、そこへ足を運ぶも、次々と暗殺されていくのだった…
◇和都歴452年 3月20日 15時 置田村・原野の巨木
日輪の外れ、八俣に近い閑散とした原野に、ひっそりと立つ巨木。
雪平と忌部が、その巨木の下で待つ。
「次の取引場はここですかね?」
「そうみたいだね、若子君。」
すると、道の向こうから馬に乗った男が来る。
「喉が渇いたね、若子君。」
「ええ、お茶を持って来てますよ。」
雪平が水筒を出し、コップを3つ取り出すと、妙な小瓶も取り出し、1つにはその小瓶の液を入れる。
「1つは猛毒入りですよ。」
「毒…か。人の身体に入れば、瞬く間に命を奪う。毒とは完璧なる暗殺者だよ。」
雪平が小瓶の中身を教えながらお茶を注ぐと、不気味な喩えをする忌部。
馬に乗った男も、そこまで近付いてくる。
「やあ、どうも。猪狩 慎太郎さんですよね?」
雪平が、馬に乗った男に話しかけると、男は、馬から降りた。
「ああ、そうだが。お前らは?」
猪狩はそう答え、2人を見る。
「宝石箱を…」
「閉めよ。」
忌部と雪平が、そう答える。
「ああ…お前らが使いの者か。」
そう言って猪狩が布袋を取り出す。
「金は?」
「こちらに。」
雪平が金の入った袋を見せる。忌部は、お茶を啜る。
猪狩は金を受け取ると、布袋を渡す。
「確かに頂きました。」
「良かったら、猪狩さんもお茶、飲んでいきませんか?」
「ん?ああ、そうだな。じゃあ頂くとするよ。」
雪平がそう言うと、忌部がお茶を渡す。
「僕が淹れた自信作、天へ昇るお味かと。」
「それは楽しみだな。」
猪狩がお茶を一気に飲み干す。
「ぐ…!? ぐぐゎぁっ…!」
ーバタン…
猪狩は一瞬苦しみ、その場に倒れる。
「不思議ですね…金と違法宝石を取り換える者は、次々と死んでいく…」
雪平が猪狩から金の袋を取り返す。
「持つ者を選ぶモノを持てば、盛者必衰の理から、自ずとその結末に辿り着くさ。」
忌部がそう言って手を差し出し、雪平はその手を握る。
◇和都歴452年 3月20日 16時 置田村・日輪 桐谷医院
一方、その頃、桐谷医院の死体を発見した宗助。
「これは?」
そして報酬と引き換えに違法宝石の取引が書かれた密書も見つける。
外へ出ると華と落ち合う。
「どうだった?」
「華の勘が当たったみたいだ。」
宗助は華に密書を渡す。
「これは…」
「時間的にあとこの二人しか救えない…!」
「明日の15時…あと24時間ないわ、急ぎましょう!」
二人は宿屋・波へと急ぐ。
◇和都歴452年 3月21日 8時 置田村・日輪 宿屋・波
「水本様…は、あ、浦路という男性と宿泊の方でしょうか?」
「居るのか?」
「生憎、昨日からずっと外出となってますが…」
「ずっと?くそ…!」
宗助が受付から二人の行方を聞き出すも、外出ならば探しようがない。
「宗助、ここで待つしか…」
「確かに…必ず通るハズだしな。水本の顔は華が判るわけだし、待つか。」
ー6時間後
しばらく待てど、一向に二人らしきものは来ない。
「私、ちょっと外見てこようかな?」
「わかった。俺はここで見張ってるよ。」
「お願いね。」
ーこの瞬間・・・
華が宿を出る。タッチの差で赤島とすれ違う。
赤島は岬に会いに来た。華も水本を探していた。
そう、お互い気にも留めなかったが…
暫くして二人の男が入ってくる。
見張る宗助は背後から声をかけられる。
「人探しですか?」
「え?」
雪平が笑顔で話しかけてくるも、状況を直ぐに判断できない宗助は、呆気にとられた。
次回2025/12/12(金) 「 第二十話 待ち人来たらず」を配信予定です。
※12/5(金)~12/26(金)は年末年始・強化月間です。
期間中は毎週(金) 18:00に投稿致しますので、御期待下さい。




