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第十一話 夢占いの未来

今回の登場人物


■ ▢ ■ ▢


・美咲 園 (みさきその)

若くして蓮次と藤香の側近となり、一揆でも大きな活躍と信頼を得たことで、置田村の乙名として村設立に関わった一人。非常に平和的で、革新的。男尊女卑と古い掟から真っ向から異を唱える。


・神無月 紅 (かんなづきくれない)

美咲の目指す平和思想に共鳴し、護衛と助言を担当する。秘八上・顧問の三葉には無い、武勇面を主に担当するが、文武両道の才女。22歳という若さで側近。現在24歳。


・祖母屋 宇禰 (そもやうね)

美咲に仕える女中頭で金庫番。元は寺院で守役をする知恵と人望の持ち主。今は秘八上の美咲に流れる金を管理している。人の良さそうな笑顔を振りまく老婆。


■ ▢ ■ ▢

奉日本 灯に、夢占いにて、未来を予想してもらった秘八上の乙名・美咲 園。その結果は突拍子もない悪夢であった。紅と縹の留守に、赤島が部屋を訪ね、脅迫する。しかし、その際に、祖母屋は金で買収されるという経緯も見れた。

この未来を変えるべく、美咲は紅にこの夢を相談する。


・和都歴451年 5月15日 15時 置田村・秘八上 旅館・泡沫 姫の間


「その夢を聞く限り、祖母屋も危険な因子という事になりませんか?」

「…いくらで買収されたのかわからない。しかし、そこまでお金に困る思いはさせていない。」

「…金、じゃないのかもしれません。」

「恨みだと?そんな者が赤島が来るまで私に付き従っていたとでも?分からない…」

「確かに、府には落ちませんが。」

夢に出た祖母屋の動向も気になる美咲と紅。

「祖母屋の事を縹に調べさせましょう。」

「…! そうね。」

「あとはその事件の日、いえ、その事件の月は私は美咲様の側を離れません。」

「すまない。」

「いえ。しかし、念のため、縹と茜、葵もこの部屋に集めておきましょう。それまでに(はなだ)の動向が分かれば良いのですが。」

「一応、私が直接聞いてみようと思う。」

「…夢を信じるのであれば、祖母屋は黒です。聞くことで警戒され、縹の調査が遅れるだけかと。」

「祖母屋は私の平和思想に共鳴してくれた師でもあり、同志だと信じている。」

「…わかりました。縹には私から調査の旨を伝えます。美咲様は祖母屋への聴取に注力下さい。」

「助かる。」

「いえ。急ぎ、夢占いの未来を変えましょう。」

そういうと紅は急ぎ部屋を出ていく。

(赤島め…紅と縹をその日置いておくことで好転するとしても、夢では藤香様から使者が来るとか私が言っていた。紅も縹も、どちらも割くわけにはいかない。春浪様と三葉にも協力願うか。)

美咲はこの危機に、全力で臨む姿勢を示す。


・和都歴451年 5月15日 15時30分 置田村・秘八上 旅館・泡沫・薔薇の間


「祖母屋?ちょっと話があるんだが…祖母屋?」

美咲がドアの前で呼び掛ける。


「…ううっ、若い子より素敵です…」

「あらまぁ、ホントかい?可愛いねぇ。」

祖母屋は手足を縛った痣だらけの若い男をベッドの上で愛でていた。

⦅祖母屋?居らんのか?入るぞ?⦆

「ん?誰か来たか…!いいかい?痛い目に遭いたくないなら静かにしてるんだよ!」

祖母屋は急いで若い男の口を手拭いで塞ぐ。


ーガチャ


「あら美咲様、何か御用事ですか?」

「いや…ちょっとな。たまには茶でも飲む時間があって良いだろう?」

「無論、光栄です。」

「祖母屋の部屋、いいか?」

「良いですが…折角です、茶屋にでも出掛けませんか?」

「…ああ。そうだな。」

そういうと、2人は茶屋へと足を運ぶ。


・和都歴451年 5月15日 15時 置田村・秘八上 茶屋・やがみ姫


美咲が奥の個室へと要望し、2人は案内される。

「お茶2つと、オススメの茶菓子を頼む。」

「畏まりました。」

美咲が適当に注文し、女中が部屋を出る。

「…どうしたんでしょう?改まって。」

「いや、何てことはない。普段、当たり前のように金庫番やらをさせて、祖母屋の話を聞いてなかったなと。」

「それはお気遣い頂き光栄です。」

「身体は健康か?」

「ええ、すこぶる。」

「そうか。何よりだ。」

「…」


「失礼します。」

女中がお茶と茶菓子を置いていく。

「また何かあれば、御呼びください。」

女中はそう言って出ていった。


「そういえば、何か不満はないのか?」

「不満?」

いきなり切り出す美咲に、驚いて聞き返す祖母屋。

「話を聞いてこなかったということは、逆に不満も聞いてあげていないという事。この機会に話せるなら話してくれると嬉しい。」

「不満だなんて…一体どうされたのです?理想の村を掲げる美咲様らしくありませんよ?」

「いや…それも理想の村を作る上で大切だと思ったのだ。」

「そうですねぇ。私も歳を取りました。それが不満です。」

「歳?」

祖母屋の意外な言葉に、美咲は驚きを隠せなかった。

次回2025/10/24(金) 18:00~「 第十二話 歳月流転」を配信予定です。

   

※10/10(金)~10/31(金)は1周年記念・強化月間です。

期間中は毎週(金) 及び祝日18:00に投稿致しますので、御期待下さい。

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― 新着の感想 ―
祖母屋、怪しいにおいがプンプンしますね。
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