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第十話 3月20日14時 ~後編

今回の登場人物


■ ▢ ■ ▢


・美咲 園 (みさきその)

若くして蓮次と藤香の側近となり、一揆でも大きな活躍と信頼を得たことで、置田村の乙名として村設立に関わった一人。非常に平和的で、革新的。男尊女卑と古い掟から真っ向から異を唱える。


・神無月 紅 (かんなづきくれない)

美咲の目指す平和思想に共鳴し、護衛と助言を担当する。秘八上・顧問の三葉には無い、武勇面を主に担当するが、文武両道の才女。22歳という若さで側近。現在24歳。


・奉日本 灯 (たかもとあかり)

通称・夢占いの巫女。日輪の貧民の出自だが、神器による夢占いで一躍大金持ちになる。現在は女性を道具にすることを反対する美咲に保護され、家族で優雅な旅館生活を送る。ちょっとした不思議ちゃんの気質がある。


・赤島 猛 (あかしまたける)

野崎飛助に従い、一揆以前から兵士として活躍した男。蓮次と飛助に指名され、乙名に成り上がった。主に飛助の為に募兵や同士を集めている。酒と女にだらしなく、不道徳な男。赤島会たる野蛮組織を束ねる会長の顔を持つ。


・祖母屋 宇禰 (そもやうね)

美咲に仕える女中頭で金庫番。元は寺院で守役をする知恵と人望の持ち主。今は秘八上の美咲に流れる金を管理している。人の良さそうな笑顔を振りまく老婆。


■ ▢ ■ ▢

置田村の商業特区とされる日輪。

その闇を知った華と宗助は、様々な憶測を呼ぶも、まずはその闇の実態を現行犯で確かなものとする為、末端の1人を捕まえることだと決意。

「そうね、違法宝石。まずは客を装って取り入ってみるわ。」

華は時間をかけても、顧客として潜入捜査を開始する。

一方、美咲は灯と夢を見ることで、ついに自身の今後の安全を確認し始めた。

そこで見た夢は、赤島が自分の区画(おうこく)を乗っ取り、婚約を迫ると言う突拍子のない夢だった。


「いきなりどうした?野崎に捨て石にされ、頭がおかしくなったのか?そんな交渉、応じるわけなかろう。」

美咲がそう答えると、赤島は刀を抜く。


ーギラ!


「…ならば死んで貰うまでだ。」

「き…貴様!」

「俺には失うものなど、もう何もない。美咲(おまえ)とこの秘八上、同時に得る。」

「バカな!…おい、祖母屋!祖母屋!?」

「あの婆さんなら金で買ったぞ?」

「な…?」

姫の間の外で金を数え、微笑む祖母屋。

「縹は調査。紅は藤香の使者・関家守に、お前の代わりに出張っていると聞く。この好機を逃さぬ。不用心だな?」

「…!」

「他の者は何処へ行った?御使いか?」

そう言って赤島は美咲に近づき、顎を掴む。

(…まさか日輪の偵察()と、藤香様からの使者への代理者()が、こんな隙を生むなんて…祖母屋め…!)


ーガラ!


「美咲様!」

茜と葵が奥から出てきた。

「茜、葵!」

「こんなガキらがお前の用心棒か?」

「き、貴様!美咲様に何を!」

茜と葵が赤島に襲い掛かる。

「クソガキ共が!…であれば始末するのみ!」


ーザシュザシュ!


「!」

「他愛無い。」

瞬殺され横たわる茜と葵。

「…くっ…ケダモノめ!」

美咲が後退(あとずさ)りする。


「…さて?」

美咲は悔しく惨めな記憶を再び思い出した。

「んん…」

好きでもない男に、いや、嫌いな男に、

「美咲…素晴らしい…」

好きなようにされる日々を…

「…い…いや!!…」

「そんな可愛い反応見せたら…あの英雄・蓮次さんも、藤香なんぞ兵士の1人になるだろうよ。」

「!?」

「へへへ…やはり図星か?藤香にこの事が知れたら…お前の内政派の立ち位置も終わるだろう?」

「…い…いや…!」

「この王国ともお別れだな?」

美咲の服を脱がせる赤島。

「…やめて!」

「言ったろ?お前に断ることはできぬ交渉だってな…?安心しろ、お前の王国は俺が引き継ぐ。お前は俺の女となる。それだけだろう?」

赤島がケダモノのような顔をするとー


~~~


ーガバ!


「ーは…!?」

「美咲さん?」

「はぁはぁ…灯…ちゃん…ゆ…夢…?」

「は、はい。」

「…はぁ…はぁ…」

「大丈夫ですか…」

「…だ…大丈夫…数字は?」

「え?あ、あぁ…032014…です…」

灯は助けるかのように答える。

「3月20日の14時…」

美咲は確認する。

「…灯ちゃん。この力はやはり他の権力者に真意を知られたら、命に関わる。ここに住んでいる限り、私の庇護を受けれるし、安全も保証する。」

「わ、わかってます。」

灯の怯えるような返事に、改めて頷く美咲。

その夢の生々しさに、彼女は恐怖した。もしこの悪夢を、未来を変えれるのなら、それは確かに凄まじい能力であると…


美咲はこの夢占いを信じ、未来の不幸を変えるため、決意する。


「紅!」

「はい、御呼びでしょうか?」

「新しく入った2人、居たわね?」

「茜と葵、ですか。」

「そう、その2人。直ぐに戦士となる強さを付けさせる訓練をお願いするわ。」

「はい。」

「あと、紅には私の夢占いを共用します。この不幸を避けるべく、あなたにも動いて欲しい。」

「わかりました。」

美咲の本気に、紅もその意向を尊重する。


「私の見た夢は…」

次回2025/10/17(金) 18:00~「 第十一話 夢占いの未来」を配信予定です。

   

※10/10(金)~10/31(金)は1周年記念・強化月間です。

期間中は毎週(金) 及び祝日18:00に投稿致しますので、御期待下さい。

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