第63話 阿闍梨公からの手紙
ディート城に、早馬を駆った使者がやってきた。
阿闍梨公からの手紙を届けにきたのだ。
城主のジュネ2世が封を開く。
一行目には、まったく予想もしない内容が記されていた。
〈状況は日々動いている。状況に応じて判断せよ〉
ジュネ2世は何を言われているのか理解できない。
手紙を読み進める。
〈私はセーヌ国がグランド国を上回る身代金を用意するのは不可能だと思った〉
確かにそれは無理でしょう、とジュネ2世も思う。
エール国軍は一匹狼の騎士の集まりだ。
国王の権力も財力も弱い。
総合力ではグランド国にかないっこないのだ。
しかし次の一行にジュネ2世は目を疑った。
〈セーヌ国の騎士たちが身代金1万7千セーグルを用意した〉
ありえない!
とジュネ2世は思う。
しかしそれに続く、
〈アランシモンがしゃしゃり出て来て様子がおかしくなった〉
の一文を目にしてジュネ2世はハッとした。
あの男なら、きっと何かやる。
手紙は以下のように続いた。
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荒くれ者の騎士ルナール、デシャン司令官、王族アンドレ。
セーヌ国の面々は金が大好きだったはずだ。
鬼のような顔で必死に集めた金。
がめつく守った金。
彼らはそれを誰にも渡したくなかったはずだ。
しかしアランシモンが説得すると、彼らはそれを差し出した。
あの癇癪持ちに丸め込まれておかしくなった。
正義、騎士道精神、祖国への愛。
それらが彼らを動かしたのだろうか。
いや、違う。
彼らを動かしたのはスザンヌへの愛だ。
騎士たちのスザンヌへの敬愛の気持ち。
スザンヌを失ったことで、彼らはより深くそれを自覚することになった。
それがグランド国を上回る身代金の額となって表れた。
グランド国の身代金が1万セーグル。
セーヌ国の身代金が1万7千セーグル。
これでスザンヌをグランド国に引き渡したら、我々はどう思われる?
スザンヌを殺害しようとする悪魔の手先。
そういう見え方になるのは確実だ。
いや、それだけではない。
今、セーヌ国とグランド国、どちらが強い?
どちらに共感する?
どちらと組めば、我々は悔やまずに生きられるだろう。
もう、わかっただろう。
どちらにスザンヌをわたせばいいのかを
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ジュネ2世は大粒の涙をこぼしていた。
もしスザンヌをグランド国に売ったら、自分はこの城の者たちから、一生恨まれただろう。
「スザンヌ、ありがとう」
ジュネ2世は思わず口にしていた。
そしてこの阿闍梨公からの手紙を大切に胸に抱きしめた。
続きはお昼ごろに投稿しますね♡
最終回になります♡♡




