第61話 秘密の関係
アンジェリーナは弟の墓参りに訪れた旅先で病に倒れ亡くなった。
突然の死だった。
ジャンヌは一日中、泣き続けた。
もう会えない優しいアンジェリーナのことを想って。
と同時にスザンヌは、覚悟を決めていた。
これからグランド国へ引き渡され、過酷な日々を送ることに。
アンジェリーナの死はディート城を悲しみに包み込んだ。
ただ一人を除いて――。
ジュネ2世は大急ぎで阿闍梨公に使者を出していた。
〈相続権の件が解決。スザンヌをグランド国に引き渡すことができます〉
ジュネ2世はアンジェリーナから、きつく言い渡されていた。
捕虜として捕えたスザンヌをグランド国に売ったら、「領地の相続権は剥奪する」と。
しかしそのアンジェリーナはもういない。
スザンヌを売っても領地はそのまま相続することができる。
ジュネ2世は内心、ホッと胸をなでおろしていた。
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一方、セーヌ国の騎士たちとの会談を終えたアランシモン。
その後、敵側のシニョーラ公国に足を運び、領主の阿闍梨公のもとを訪れた。
「ごぶさただな」
とアランシモン。
「前に会ったのは、あなたがセーヌ国元帥を務めていた時だ。あれ以来ですね」
と答える阿闍梨公。
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2人は古くからの付き合いだった。
両者はかつて少年時代を共に過ごした。
2人とも、騎士修行をかねて、親元を離れシニョーラ公国の領主に預けられたのだ。
阿闍梨公は後にシニョーラ公国の領主となり、グランド国と同盟を結んだ。
一方のアランシモンはグランド国軍で活躍していた。
ところがある日、アランシモンに異変が起きた。
彼は当時のグランド国の総司令官のひと言に激怒した。
「お前は腰抜けの役立たずだな」
この侮辱に、アランシモンは謝罪を要求した。
しかし総司令官は、
「たかが冗談だろう」
と取り合わない。
アランシモンの怒りは頂点に達した。
彼は怒りに任せて怒鳴り散らし暴れ回った。
そしてグランド国陣営には二度と戻らなかった。
その後、アランシモンはセーヌ国軍に迎えられる。
スザンヌがセーヌ国軍に参加する、ずっとずっと前の話である。
アランシモンは頭角を表して、みるみるうちに高い地位に昇格していく。
そしてセーヌ国の国王に次ぐNO2の地位である「元帥」となった。
するとアランシモンは、かつて仲間である阿闍梨公と密かに連絡をとり始めた。
セーヌ国にとっては敵国の領主である。
接近したのには訳があった。
〈憎いグランド国軍を潰してやりたい〉
そのために裏で手を組んでおきたかったのだ。
一方の阿闍梨公もグランド国軍の高飛車な言動に、うんざりしていた。
同盟国とはいえ、いつも偉そうに命令してくる。
セーヌ国が盛り返してきたら手を組むのにやぶさかではなかった。
〈機を見てグランド国軍を一気に叩く〉
その密約は水面下で進められていた。
しかし思わぬ罠があった。
それはセーヌ国の宮廷貴族のシャビネスの存在だった、
シャビネスは頭のいい男だった。
アイデアも豊富で仕事も速い。
アランシモンは彼を見込んだ。
そして国王に推薦した。
「シャビネスを宮廷の筆頭侍従にしましょう」
しかしそれがアランシモンの転落のもとになった。
シャビネスは本性を隠していた。
邪魔な者は悪知恵で闇に葬り去る、恐ろしい男だったのである。
アランシモンを利用して、のし上がったシャビネス。
宮廷を仕切りつつ裏で私腹を肥やしていく。
やがて正義感の強いアランシモンが邪魔になる。
するとシャビネスは彼の悪い噂を宮廷や国王筋、騎士にも流し始めた。
追い詰められていくアランシモン。
当時の国王にも、あらぬ疑いをかけられ、問い詰められた。
「ふざけるな! 俺を誰だと思っているんだ!!」
アランシモンは城の大広間で癇癪を起こし、わめきながら暴れまわった。
その結果、宮廷から追放された。
以来、スザンヌに招き入れられるまで、セーヌ国軍からは離れていたのである。
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再開の挨拶を終えた阿闍梨公とアランシモン。
阿闍梨公はビジネス仕様の顔になり、アランシモンにこう言い放つ。
「あなたは貧乏騎士でしょう。私はお金のない人には用はありませんよ」
今夜も投稿しますね♡




