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第42話 捨てられた男の運命

 部屋に残ったスザンヌは改めて考える。

 神の声に導かれた私の戦い。

 それに共鳴して戦ってくれた兵士たち。

 特にあの3人。

 私の人生に連れ添ってくれた。


 スザンヌは想像する。

 あの前世でも、私が処刑された後、あの3人は大丈夫だったのかしら?

 いや、きっと平気ではなかったでしょう。

 彼らが口にした通り、生きる意味を失ってしまったに違いない。

 そして悲しい道をだどってしまったのではないかしら。


 スザンヌが、自分の運命に巻き込んでしまった兵士たち。

 彼らを放り出してしまっていいのだろうか?

 ひたすらスザンヌは考え続けた。


 なかなか眠れなかったスザンヌ。

 すると部屋の窓から、さわやかな風が吹いた。

 心のもやもやをすべて取り去ってくれるような心地よい風。

 身を任せていると、優しい感覚に包まれ始めた。

 静かに眠りに誘われていいくスザンヌ。


 すると、また、あの白い光がやってきた。

 天使たちの光だ。

 もう会えないと思っていた。

 スザンヌの目から熱い涙がこぼれ落ちる。


 背中に羽根が生えた大天使・ボードルが言う。


「あなたのもとを訪れるのはこれが最後になるかもしれません」


 スザンヌが、すがりつくように言う。


「なぜなのですか?」


「あなたは神から与えられた使命をもう成し遂げた。これからの道はあなた自身が作り上げていくのです」


 というボードル。

 続いて若々しい聖人乙女のセリースがスザンヌに語り掛ける。


「ですがスザンヌ、あなたは前の人生では、魔女裁判にかけられ、処刑されてしまった」


「ええ、心が煮えたぎるほど無念でした」


 スザンヌが口惜しそうに言う。

 セリースが言う。


「あなたが亡くなった後、支えてくれた騎士たちがどうなったのか、あなたは知らないでしょう」


「もちろんです。あなたたちは知っているのですか?」


「ええ」


「教えて下さい。私はそれがすごく心配なのです」


 すると知性あふれる美貌の聖女ランシーヌも現れて、こう言う。


「ではお見せしましょうか。まずは、ショーン・ド・バトラーのその後の人生です」


 ランシーヌが手をかざすと、目の前にスクリーンのような映像が現れた。

 スザンヌの目が釘付けになる。


******************************


 バトラーとスザンヌはその後、占領下にある首都ラシンの解放戦に挑む。

 しかしこの戦いに破れてしまう。


 その後、再び首都ラシンの奪還をスザンヌとともに狙っていたバトラー。

 ところがスコット国王がバトラーに攻撃を命じたのは、ラシンではなかった。

 グランド国との国境となる海辺の地方、ナルマンジーへの遠征だった。

 バトラーはスコット国王に訴えた。


「スザンヌと行かせてください」


 しかしそれをスコット国王は許さなかった。


「彼女は行かせない。おまえ一人で行くんだ」


 スザンヌと引き裂かれたバトラーは、失意のままナルマンジーに向かった。


 一方のスザンヌ。

 バトラー不在のまま強引にラシン攻撃に打って出て捕まってしまう。

 その後、魔女裁判を受けて処刑されたスザンヌ。

 バトラーの怒りと悲しみは頂点に達した。


 バトラーたちは他の騎士たちとともにスコット国王たちに反乱を起こした。

 これは鎮圧されたが、その後もバトラーは収まらない。

 スコット国王の息子を新国王に擁立しようとするクーデターを首謀した。

 スザンヌと引き裂かれた恨みを晴らそうとするかのように。

 その結果、バトラーは反逆者として捕らえられる。

 彼には死刑が宣告された。

 しかし周りの騎士たちから嘆願が集まり、死刑は回避される。

 ところが彼は、スコット国王への忠誠は決して誓わなかった。

 そのため何度も死刑判決を受けるのだが、そのたびに仲間の歎願が起きる。

 みなスザンヌを慕う同志だった。

 結局バトラーは、冷たい牢獄のなかで衰弱して死を迎えることになった――。


*********************************


 涙が止まらないスザンヌ。

 それを見て、聖女ランシーヌが言う。


「他の騎士のその後は、見ないでおきましょうか?」


 しかしスザンヌは泣きじゃくりながら言う。


「見ます。私は見なければならないのです」


明日も夜にならないうちにいちど投稿しますね❤️

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