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第2話 初めてのボーイフレンド・ピエール



 セーヌ国を救った救世主スザンヌ。

 しかし最後は敵に捕まり火あぶりで処刑された。

 そして彼女の祈りが神に通じたのだろうか……。

 幼い頃からの人生やり直しが始まった。


「スザンヌちゃん。珍しく今日はお寝坊なのね」

 

 スザンヌの母親・シャルロットの声だ。


「朝食ができてるから、食卓にいらっしゃい」


 食卓には父親、母親、3人の兄、妹のジュリーが揃っている。

 みんなでお祈りをして、朝食をいただく。

 とてもなつかしく、暖かい光景だ、とスザンヌは思う。


 前世では死の直前まで、牢屋の中の生活だった。

 暗い部屋の中で、ずっと男装をしていた。

 女性の服装をしていると襲われてしまうから。

 食事もカビ臭いパンと水だけだった。


 でも今は家族の笑顔があふれる食卓にいる。

 母・シャルロットが作る温かいポトフのスープ。

 それにひたして食べる、柔らかくて美味しい香りのパン。


「煮込んだ玉ねぎとウィンナーとの相性が最高!」


 スザンヌが思わず口にする。


 家族みんなの視線が一斉にスザンヌに集まった。


「どうしたの? スザンヌちゃん。いつもと同じ食事じゃない」


 と母のシャルロット。


「だって、ママの料理、最高じゃないかしら」


 とスザンヌ。


 父親のフランクが言う。


「スザンヌもママのように料理上手になってくれよ」


 母シャルロットは微笑みながら、


「大丈夫ですよ。スザンヌちゃんは料理の素質があるものね」


「そうだな。スザンヌはきっといいお母さんになれるよ」


と父フランク。


 すると母シャルロットは真顔になって、


「パパ、スザンヌちゃんはまだ小さな女の子ですよ」


 家族みんなから笑いが起きる。


 そうだった……とスザンヌは子どもの頃を思い出す。

 母シャルロットはスザンヌにいっぱい大事なことを教えてくれた。

 神を信仰して毎日決まった時間にお祈りをすること。

 お料理とお裁縫。

 羊の放牧、そして畑仕事。

 美しいバスケス村の自然の楽しみ方。

 近所の子どもたちの世話の仕方。


 朝食を終えて外に出ると、スザンヌは羊小屋に向かった。

 鈴を鳴らして羊を導き、放牧地に出る。

 

 すると馬に乗った少年がやってきた。

 ピエールだ。

 スザンヌに手を振っている。

 彼は牛や豚を追う仕事をしている。

 スザンヌと似た仕事をしていることもあって仲がいいのだ。

 彼女にとって初めてのボーイフレンドだ。

 スザンヌに、その自覚はないが……。


「今日は早いね」


 とピエール。


「天気が良いから、いてもたってもいられなくて、すぐに家を飛び出したの」


 とスザンヌ。


「今日も馬に乗せてあげるよ」

 

 と微笑むピエール。


 そしてピエールと二人乗りで草原を駆けるスザンヌ。

 柔らかくほおを撫でる草の香りの風が心地良いと思う。

 スザンヌの心はすっかり幼い子どもの頃に戻っていた。

 まだ神様からのお告げが届いていない、無邪気な頃の心に……。


 そのとき、耳の鼓膜(こまく)が破れるような恐ろしい音が2人を襲った。

 馬が悲鳴をあげる、

 落馬しそうなスザンヌの体をピエールが必死でかばった。

 音の正体は爆薬だった。 

 草原にもうもうと煙が立ち込めている。

今日はたまたま朝に投稿しましたが☆

毎日20時過ぎに投稿する予定です♪

今夜も投稿しますね♡

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