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60 ウサギ耳の少女


「いらっしゃーい!」


 カウンターの裏から顔を出したウサギ耳の少女は再びその口から挨拶の言を発した。

 それに対し、俺は挨拶をするよりも驚きの沈黙の方が勝り何も出てこない。


「失礼するで」

「はーい、どうぞー」


 スヴァさんは驚きを押し殺したのかそもそも驚かなかったのか、いつも通りに挨拶していた。


 それにしてもこれは獣人、か? この世界に獣人がいるなんて聞いたことがないけど。

 いや、それは後で本人かまた別の人に訊くとするか。今は師匠からの紹介状の件を済ませるのみ。


「お邪魔します。ししょ、ターラフェルさんのお弟子さんの方であってますか?」

「ん? あ、そうだよ! ラフェ様に拾われたんだぁ! 君たちもそうなの?」


 いつも接しないようなテンション感が相手だが、何とか反応しようとする。


「拾われた? あ、いや、俺たちは異邦人で、俺だけターラフェルさんの弟子ですね」

「あっ! そうなんだね! じゃあ弟弟子だ!!」


 辛うじて言葉を返すことはできたけど、拾われたという言葉が引っ掛かって話を進めようにも、な状態。

 助け舟を求めるわけじゃないけど何と無くスヴァさんの方を見てみると、俺たちの事など気にせず呑気に商品を物色していた。

 それによってかよらずか、少しは気が紛れたような感じはする。


「あ、じゃあ君の名前も聞いておこうかな? なんていうの?」

「俺はイズホです。あっちで物色してるのはスヴァさん、ウスヴァートです」

「ボクはアスムーテって言うんだぁ、よろしくね! ムーちゃんって呼んでもいいよ!」


 目的を話そうと少し口を開いた瞬間に相手の方が先に口を開いて名前を聞いてきた。

 なんか会話のテンポが合わないなぁ。まぁいいけど。


「分かった、ムーちゃんって呼ぶよ。で、今日ここに来たのはターラフェルさんに、いや師匠に聖王国でも錬金するならってので紹介状を貰ったからだな」

「紹介状? 見せて見せて~」

「ん、どうぞ」


 紹介状を受け取ったムーちゃんはその場ですぐに開き、目を通していっている。

 何が書かれているかは聞いてないし見てもいないから分からないけど、まぁ設備を使わせてやってくれとかそんな感じに近い文言だろう。たぶんきっとメイビー。


「なるほどねー、分かったよ。君は自由にここの施設を使っていいよ!」

「お、ありがとう」

「いーえー。……あ、因みに、君は異邦人って言ってたけど、いつからラフェ様の弟子になったの?」


 施設の使用許可が出て安堵していたところに質問が投げかけられた。

 いつから? いつからだ?


「大体、70日ぐらい前、か?」

「70日ぐらい前というと……、ちょうどそのくらいの時期に異邦人の人達の来訪の報せが来たぐらいだったかな?

 じゃあこの世界に来てすぐくらいに弟子になったんだね!」

「たぶんそうだったんじゃないかなと思うけど」



 そうして、その日はその後設備の簡単な説明を訊いて、ムーちゃんの店を後にしてからギルドで依頼を受けてそれを完了して宿でログアウトした。



     △▼△▼△


 現実夜のログイン。

 こっちの時間は朝8時50分近く。


 宿で体を起こして机の上を見るとそこには1つの手紙が置いてあった。アセヴィルの残したものだろう。

 それには今日の予定が書かれており、どうやら王城へ行くらしい。

 手紙を残した理由は色々準備をするために先に宿を出るからって書いていた。


 色々な準備とは。何をするんだろうな。

 ……まぁいいか、すぐに分かるだろうし。


 手紙の最後には予定の時間までギルドの依頼だったりでスキルを習熟させておけと書かれていた。

 つまりこの後はアセヴィルが呼びに来るタイミングまでトレント狩り、ないしは錬金のレベル上げになるのかな。最低でも1、2時間と思っておこう。


 スヴァさんは今日ログインできないって言ってたからなぁ。どうするか。

 スヴァさんがログインできなくて? アセヴィルもなにがしかの準備でいない。

 つまりは1人行動という事か。1人だとトレント狩りはちょっと危なそうな予感がする。

 錬金にするか。


 そうと決まれば早速、宿を出てムーちゃんの工房、工房?施設?に行く。

 アセヴィルの取った宿からの距離は生産者ギルドからよりも近く、ムーちゃんの施設とギルドとの間に宿がある感じだ。



 ムーちゃんの店は師匠の店と同じく、表の入口から入れる部分に雑貨屋があり、裏手からは工房や倉庫へアクセスできるようになっているらしい。

 今回は前回と同じように正面入口から入ることとする。カウンターの後ろにも倉庫などへ繋がる扉はあるからな。


 正面の扉を手前に引き、店へ入る。すぐに目に入ったカウンターには椅子を足場にちょうどカウンターから顔が出ているムーちゃんがいた。


「あ、いらっしゃーい!! 錬金施設は使っていいからねー」

「遠慮なく使わせてもらうよ」

「今日は1人なの?」

「あ、そうだなスヴァさん今日は来られないらしいから」


 カウンターの後ろの2つあるうちの通常サイズの方の扉を潜り、設備のある部屋へ直行する、前に倉庫へ向かう。

 師匠の時と同じように、ムーちゃんも倉庫の物は一部を除いて自由に使っていいと言ってくれた。ので中級回復薬の材料を取る。


 設備の部屋へ行き、機械の様に作業を開始する。


お読みいただきありがとうございます。

もし『面白かった!』等、思ってくださった方は作品のブックマークや、このすぐ下にある星を1つでも埋めてくださると作者が何処かで喜びます。

よろしくお願いします。

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