表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/203

45 逸竜の狂踊-合流-保管庫


 門を潜り街の中に入ってアセヴィル達を待つこと数分。騎士団のヒト達が門の外でいつでも攻撃できるよう準備し終わり。

 逸れ竜を背にアセヴィル達が門のすぐ下まで走ってきてそこで止まった。


 アセヴィル達を追っていた竜は周囲を確認する目はないはずなのにどういうわけか、門にぶつかる寸前で翼を力強く動かし、その勢いを削いで空高くに後退した。

 そこにこの街の騎士団の内、術部隊とでも言うのか、そのヒトたちがそれぞれ術を撃ち込んでいった。

 その景色を横目にアセヴィル達とこれからを話し合う。


「予定通り、ここの騎士団と共にこの竜を退けるぞ」

「予定通りねぇ」


 あの時、俺がどう行動するのかだったり、俺の報告を聞いた騎士の行動の全てを予測していたとでも言うのだろうか。

 いやまぁできる人にはできる事ではあるんだろうけど、それはそれとして。


「まぁいいや、取り敢えず指揮下に入るのが無理でも物資とかは使っていいらしいから、それを詰所の外の騎士に伝えてくれって、騎士団長さんが」

「ん? ん、了解。フィスたちは……、疲れてはいるがそれ以前に、この場では動きにくいか。しばらく休んでいると良い。送還――一角獣馬(ウニコルヌス)


 フィスたちウニコルヌスの3頭は、アセヴィルのその言葉に特に反対は無いのかそのまま足元から溶ける様に消えていった。召喚の術で召喚される前に居たところまで戻ったのかな。


「では、その騎士とやらのところまで行くとするか」

「行くのはいいけど……、アセヴィル達は疲れてないのか?」

「俺は疲れてなどいないが……」


 そう言ったアセヴィルはスヴァさんの様子を窺うように視線を動かし、その視線に促されたスヴァさんが口を開いた。


「そうやなぁ、頑張ってくれたウニコルヌス達ほど疲れてるわけやないけど、それでも少しは疲れとるな」

「ふむ、そうか。ではそうだな、ウスヴァートは少し休憩しているといい。初めの方は俺とイズホで逸竜と相対する。まぁ、少なくとも騎士団が相対できているまでは大丈夫だろう」


 スヴァさんは疲れてるのか。まぁ、無理もないな。

 ウニコルヌスが蛇行しながら走っているなか、落ちないようしがみつき続けないといけなかっただろうから。


 まぁ、スヴァさんには少しだけでも休んでもらうとして。

 取り敢えず、詰所の外にいるという騎士のヒトに伝えるため、移動するとしよう。


 少し歩き、さっきまで俺とハフィニストさんが話していた部屋のある詰所、の外で待機してた騎士にアセヴィルとスヴァさんを紹介する。


「はっ。私はハフィニスト団長から、貴方がたを案内するよう、命令を受けた者です。こちらにどうぞ!」

「ありがとうございます」


 その、名前を名乗らなかった騎士に先導され、保管庫のような場所に着いた。

 詰所の中の一室だが、その広さはさっきの会議室の様な所の4倍はありそうだ。


「ここにある武器防具、及び回復薬などの消耗品はご自由に持っていってもらって構いません」

「自由に?」

「流石に限度はありますけどね」


 アセヴィルがなんか、穴を突くというか屁理屈こねようとしたけど、常識的に考えて持って行き過ぎは駄目だろ。その持って行き過ぎが必要な場合なら、持って行き過ぎという事にはならないんだろうけど。


「因みに、本当にどれでも持って行っていいんですか?」

「そうですね、ここに置いてあるのはその殆どが予備の予備ぐらいの武器と門の方に置いてある回復薬から溢れた分ですので、大丈夫なはずです」

「成程」


 つまりはここのがどれだけ無くなったとしても、すぐには困らないという事だな。いや、もちろん必要分以上を貰っていくような事はしないけど。


 それはそれとして、必要と思われるものを選ぶため何があるか見ていくとするか。


 といってもそんなに必要な物があるかどうか……。アイテムボックスの中を見ながらだな。

 取り敢えず今までの鉄の双剣の替えになるやつは……お、これなんかいいんじゃないか? 『天候操作の幻双剣(げんそうけん)』。鑑定してみると天候を操作し水属性と風属性を強化する双剣、とその名前のまんまな説明が出てきた。


 こんな予備の予備を入れるぐらいの保管庫にあるぐらいだから、そんなに性能としてはよくないかもしれないけど、それでも今まで使ってきた普通の店売りの鉄剣よりは良いものだろう。名前の『幻』については書いてあるにはあるが、理解できるほどの情報は無い。術云々ともあるが、それもよく分からない。


 俺的にはこの双剣を見つけられただけでも、もうここに来た目的を吹き飛ばしてもいいぐらいに収穫だったわけだが。どうやらスヴァさんとアセヴィルは未だ見繕っているようだ。

 回復薬は自分で作った分があるから足りるだろうし……、あと何が足りない? いや、いいか。すぐに出てこないという事は足りてるってことだろうし、ここで時間を掛けすぎても外の騎士たちが持たないかもしれないし。


「騎士さん、俺はこの剣だけ貰っていきます」

「あ、はい。ん? そんな剣なんて、この保管庫にあったか? ……いやまぁ、いいか。

 この竜の対処の間は自由に使ってもらって大丈夫ですが、そのあとの貴方がたが持ち出した武器の扱いは団長と話し合ってください」

「了解です」


 流石に、タダで貰っていいというわけではないよな。でもまぁ、竜を追い払って、そのあとにハフィニストさんと話し合って報酬としてとかなら貰える可能性はあるらしいから、頑張るとするか。


 そうして俺が名もなき騎士に持っていく武器を伝えている間に、スヴァさんとアセヴィルも決まったらしいので少し遅くなったが、逸れ竜の対処に行くとするか。スヴァさんもこの保管庫で持っていくものを見繕っている間に大体の疲れは取れたらしいし。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ