表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/203

40 一角獣馬 S:I、?


 アセヴィルの表情の感じ方が人によって違う事実は置いておくとして、嬉しいものではない変わったところが何なのかについて聞くか。


「で、結局嬉しいものではない変わったところとやらは何なんだ?」

「いや、それを今言うことはできない。まぁ、お前たちは何かが起こることだけは覚えておいてくれたらいい」

「なんや、不穏なやっちゃなぁ」


 アセヴィルは何が起きるか知ってるのにそれを俺たちに言うことができないのか。

 何かが起きると覚えてるだけでいいって言ったって、それが気になっていつも通りの様に行ける気がしない。


「聖王国の北西の街に着いた後、そのまま一直線に聖王国の王都に行く予定だ。まぁそもそもその北西の街に着く前に何か(・・)が起こるから、それを無事に切り抜けることができたらだが」

「王都に着いた後は何をするんだ?」

「そうだな、王都に着いた後は真正面から王城に訪問する」

「王城って、警備厳重なんちゃうか? 入る前に止められんか?」


 王城か。聖王とかに会いに行くのかな。


「大丈夫だろう。俺は仮にも魔王国の王族だ。相手との位階は同等故に、門前払いはない、はずだ」

「うーん、確実じゃないんだな」

「俺自身には聖王国の王族との関係性は一切なかったからな」


 そうか。

 まぁ今ここで俺がそういったことを心配しても意味はないか。

 俺がこの話を聞いてできることは、基本何もないな。アセヴィルが手伝いを欲しているとき以外。


 それはそれとして。

 俺の疲れは大体とれたと思う。


「俺の休憩はもう大丈夫だ。そろそろ進むか?」

「そうだな。そろそろ移動するとしようか」


 10分も経過してはいないが、十分に体力の回復はできたからいいだろう。

 魔石をアイテムボックスに仕舞い、立ち上がり体をほぐすように左右に振る。


 あれ? そういえば休憩はボスフィールドの奥にあるらしいセーフティエリアでするとかなんとか、決めていた気がしたが……。どうだったっけ?

 違ったかな。よく覚えてないからあれだけど。


 ……駄目だな。細かいこと気にしすぎて、また思考の海に放り出されるところだった。

 すでにスヴァさんたちが歩きだしてるから俺も後に続かないと。



     △▼△▼△


 熊討伐後の休憩を終え、森を歩きながら聖物に襲われ続け、適当に軽く休憩しながら進み、4時間強が経過した。


 俺達はアセヴィルが言っていた通り、もう少しも進めば森を出られるといった位置にいた。

 少し下に向いていた視線をほんの少し上に戻し、きちんと前を向けば森の途切れた部分が目に入る。

 あと少しだな。



 そうしてさらに5分ぐらい歩き、ようやく森を抜けた。


「お前たち2人がこの世界に居られる時間は残りどれくらいなんだ?」

「俺は10分くらいやな」


 アセヴィルに問われ確認してみると、俺もスヴァさんと同じく10分くらいだな。


「えーと、俺も10分くらいだ」

「そうか。では今日のところはここにテントを張って休憩するとしよう」


 まぁ10分では殆ど何もできないか。

 いつもは時間ギリギリでログアウトするから、時間がもったいないような気分になるな。

 いやまぁ実際にはもったいないわけではないだろうけど。


「ほなまた。俺はあっちの時間で7時30分ぐらいに戻ってくるわ」

「ん、了解です。じゃあ俺も同じ時間に」


 その言葉を最後にスヴァさんの身体が動かなくなったのを確認して、俺も横になりアセヴィルに声を掛ける。


「アセヴィル、俺も1回この身体から離れる。またな」

「あぁ、お前たちの身体は見ているから安心しろ」


 その言葉を聞き、何も返すことなくログアウトボタンを押した。

 押してから実際にログアウトするまで1、2秒かかる。その僅かな時間でアセヴィルの呟いた言葉が耳に入った。


「あと数日で逸竜(いつりゅう)が踊り狂い始める、か」


 その言葉の意味を訊く間もなく、俺の意識は7分の1の世界に戻され、そのまま“夢”に引き込まれるかのように閉ざされていった。



     △▼△▼△

【S:?】


 俺たちは今、それぞれでウニコルヌスにしがみつき、1匹の竜から逃れようとしている。


 アセヴィルの警告でこの竜の初撃は回避することができたが、そのすぐ後に見逃されることはなく追いかけられ、今もなお逃げ続けている……。

 あと少しで聖王国の『スリィスト』という街にたどり着けるらしいが、それまで攻撃されずにいられるかどうか。


 ウニコルヌスにしがみつきながらその姿をもう一度見ようと首を後ろに回す。首の可動域的にその全てを視界に収めることは出来なかったが、一部だけは見えた。

 初撃を回避した後にアセヴィルが竜と言っていたから勝手に創作物などで出てくる普通の竜の姿を想像していたけど、その竜は一般的(何がこの世界で一般的かは知らないが)では無い姿だった。


 ――……ドクンッ……――



 っは……。今のは夢、か?

 ……?

 夢……? どんな夢だった?

 うーん? 思い出せないな。


 今は……、4時か。

 うん。もう1回寝よう。そしたら思い出すかもしれないしな。

 おやすみなさい。



     △▼△▼△

【S:イズホ】


 翌日7時30分。ゲーム内では朝4時30分だ。


 昨日の最後に聞こえたアセヴィルの言葉の意味を考えながら寝て、何かを見た(・・)ような気がして咄嗟に意識が浮上した。だが何を見たか、それが結局思い出せていない。

 昨日のアセヴィルの言葉に関する何かだと思うが……。まぁいいか。思い出せないという事はその“見た何か”はそれほど重要ではないという事だろうしな。


「よし、2人とも起きたな。準備が終わり次第、俺の召喚する馬で移動するぞ」


 ログインしてテントから出てすぐに聞こえたその言葉で、武器防具をアイテムボックスから取り出し装備する。横を軽く見るとスヴァさんも同じように準備をしている。

 取り敢えず機を見て、昨日の最後のアセヴィルの言葉については本人に聞くとするか。


「準備は終わったな。では。

 全ての空間を司る神よ。この矮小なる身に力を与えたまえ。契約により繋がれし獣霊を、この地に呼び寄せる力を。」


 ――獣霊召喚陣サモンビーストスプリット――

 ――一角獣馬(ウニコルヌス)――


 その祝詞で開かれた門から出てきたのは、額から1つの捻れた角を伸ばした白毛の馬が1体。と銀毛が2体。

 どっちもこの森に入る前までに乗っていた馬とは違う種類だ。というか馬なのか?


「こいつらは俺の契約している聖魔物(せいまぶつ)だ。銀の2頭はお前たちが使え。それぞれオロバムート、ハミジトという。白のフィスは俺が使う」


 アセヴィルの「使う」という言葉に呼び出された馬、馬?の3頭はうへぇ、といった顔をした、ような気がした。


お読みいただきありがとうございます。

もし『面白かった!』等、思ってくださった方は作品のブックマークや、このすぐ下にある星を1つでも埋めてくださると作者が何処かで喜びます。

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ