25 枯れたクローバー
あれから1時間ごとに休憩しつつ狼の群れを倒し、約3時間30分が経過した。この約3時間は特に変わりなく、レベル30以上の狼が出る様な事もなかった。
スヴァさんの残りログイン可能時間が50分弱らしいので、ここいらで街に戻ることとする。かくいう俺も残り60分弱だが。
2人ともレベルは24になった。この約7時間で8上がった事になるから、先のブラッドウォーカーがどれだけ経験値効率が良かったことか。まぁボスとして調整された経験値だろうけど。
帰り道では積極的に狼を探すことはせず、襲ってきた狼だけ倒して走って街に戻る。
朝7時頃になると門が通れるようになるのか、空いていた門を通り街に入った。
スヴァさんは魔王国大使館でログアウトせず、街中の宿屋でログアウトするそうだ。
「ほなまたな。あ、次ログインするんはいつになりそうや？」
「俺は、明日は9時頃ですかね」
「そうか。じゃあ俺とは入れ違いになりそうやな。俺は6時くらいからにしようかと思っとったし」
「じゃあ、また都合の合う時に」
そう言葉を交わし、スヴァさんは宿屋があるであろう方へ歩いて行った。
俺もここ数回のログインで慣れた道を通り、大使館に行きログアウトした。
△▼△▼△
翌日朝9時頃。
今日の予定としてはスヴァさんとは時間的に会えそうもないから、錬金のレベル上げをしようと思う。
という事で見慣れた廊下を進みつつアセヴィルの地下の部屋、執務室？に向かう。
その道中考えることは昨日の事。
昨日は7時間ぶっ通しで狼を狩ったがそれほど疲れなかった。2人だったのがよかったんだろうけど、それでも3人以上居た様な疲れの無さだった。
2人とも複数の攻撃手段を持ってるからそれで楽だったのか、それともスヴァさんが俺以上の攻撃手段でその場その場に適した武器を使ってくれていたからか。
後者だと俺は言いたいが、それを聞いたスヴァさんはただの器用貧乏なだけ、としか言わないんだろうな。
まぁそのスヴァさんの謙遜の様なものは今に始まった事じゃないから、特に何も思わないけど。
何の意味も無いことを考えながら歩き、アセヴィルがいるであろう部屋の前にたどり着いた。
「失礼しまーす」
ノックと形だけの挨拶をして返答を貰う前に部屋に入る。が、部屋の主は机でうつ伏せになり、どうやら眠っているようだった。
取り敢えず起こすのは忍びないから、音を立てないように扉を閉めて使われていない椅子に座る。
この部屋はアセヴィルと出会ったすぐ後に連れてこられた部屋だが、その詳細を確認したことはなかったな。この部屋に来る事があっても特に確認しないで、アセヴィルだけしか認識してなかった。もっと言えばそもそも見る暇がなかっただけだが。
折角だしこの暇な時間にでも確認してみるか。といってもざっと見ただけでもそんなに物が置いてあるようには見えない。
俺が入ってきた扉から見て左手の壁は一面本棚になっている。その本棚の少し右には、俺が今座ってる椅子と机がある。
部屋の正面の壁は左半分が本棚、右半分にアセヴィルの使っている机と椅子が置いてある。
扉から見て右手の壁にも本棚があるけどちょうど真ん中の部分に花が飾ってある。枯れた花と枯れたクローバーの様なものが1種類ずつと、オレンジ色をした花が2種類。オレンジの花の内片方はマリーゴールドかな？
それらの花にどんな意味があるのかわからないけど、呪われているかのような雰囲気というかオーラを感じるんだよな。正直近づきたくはない。
観賞用とは違うだろうし。枯れてる花は観賞しないよな？
他に目につくものはないな。
本棚にある本なんかは価値があるんだろうけど、前に軽く見せてもらった時は全然読めなかったんだよな。
プレイヤーはこの世界の一般的な文字は読めるようになっているにも関わらず。
まぁ普通に考えて、読めなかったってことは一般的じゃない文字が使われてたってことだろう。
とそんな感じで部屋を眺めてたら、視界の端でアセヴィルが動いたのが見えた。
「ん……、あぁ。いつの間にか眠っていたな。何の用だ？」
「今日の予定を言いに来たんだよ」
起きたアセヴィルは椅子に座ったまま伸びをして、そう問いかけてきたので立ち上がってアセヴィルの目の前に移動しながら答える。
「そうか。で、今日の予定は？」
「今日はスヴァさんとの予定は会わないから、師匠のところに行って錬金を使う予定だ」
「ふむ、成程。そうだなぁ、これを持っていけ」
そう言って机の引き出しから取り出されたのは1つのネックレスだ。
「ネックレス？」
「鑑定してもいいが簡単に説明すると、1回だけお前が真に危機に陥った時、俺がその場に転移、いや召喚されるものだ」
つまり、アセヴィルが助けてくれるやつか。
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【防具・首】｜魂――転―頸―《ト――スファー――ク―ス》 ―質:秀 レア―7
回数:1 重量1 属性:召喚、空間 魔力伝導率0％ 聖力伝導率0％
―霊の――を使――た首―り。魂――は空――性と―喚―性の付――されて―る。
魂―と――縁―ある人――装―し――の人―に危険――ると―の半――メート――範囲――霊――喚さ―る。
こ――果は1回―り。そ―以――ただの―片にな―。
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読み取れる限りだとアセヴィルの説明通りだな。
本日をもちまして毎日投稿を終了とし、隔日投稿で行きたいと思います。
次話は11/3となります。
