1 繋ぐ門
ジャンルについて。
前話の内容の通りの上で、あらすじの下の方に注意書きで書いている通りですのでそちらをご覧下さい。
西暦3046年、とある1つのPVが公開された。
そのPVは、何もない所から1人の青髪の青年が光に包まれて街の広場らしき場所に現れるところから始まった。
その青年は歩いて街の門から出ていき、スライムを倒した。
青年がスライムを倒すと場面が切り替わり、様々なモンスターを倒す様子が映された。時にはオーク、時にはドラゴンまで。
青年の戦闘シーンがひと段落ついたのか世界の様々な光景が映し出された。
そして、動画が終盤に差し掛かった頃。大都市で演説をしている人物とそれを聞いている大勢の人々の映像が流れ始めた。
だが、大勢の人々が拍手をしたり盛り上がり始めた時、映像は大都市を斜め上から映し出し、そこに浮かぶ人物を捉えていた。
その人物が何かを話しながら手を真下に、大都市に向けると、突如として、そこに存在していた人々の肉体は消え去った。1人の冒頭の青髪の青年を残して。
静寂に包まれた大都市で、その青年が上空に浮かぶ人物へ何かを叫ぶと、その人物は頭を振って消え去ってしまった。
それを最後に映像は終了した……。
△▼△▼△
「――すごい」
その一言に尽きる。
これは最近の話題の9割程を掻っ攫っている『The world of infinite permanence』、通称『Twoip』というゲームのPVを見た時の感想だ。
このゲームは約900年前に世界初のVRMMOとして発売されたゲーム『World Development Online』、通称『WDO』の続編として発表された。
正直、この『WDO』の事は知らなかったし、『Twoip』もやる気はなかった。
だが友達が異様に勧めて来るため、その初期抽選に応募してみたところ見事当選したから、事前にある程度は情報を集めておこうという事だ。
明日から夏休みが始まり、それと同時にゲームもサービス開始される。
なので明日の6時の開始に間に合うように今日はもう寝るとしよう。
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翌日5時40分。
昨日早めに寝たことが功を奏し、6時の開始時刻までに余裕を持つことができる。
開始までまだ時間はあるからそれまで種族だったり開始地点だったりの再確認をするか。
まずは、時間加速から。
このゲームには当たり前のように時間加速が使われているが、昨今では時間加速はあまり使用しないような風潮となっている。
詳しいことは解らないが、仮想世界で過ごした時間と現実世界の時間との乖離か何かが激しいと、よくないことが起こるとかなんとか。
肝心の加速倍率だが約7倍となっているらしい。つまり現実世界の約3時間25分が仮想世界の1日となる。
ただ、こんなに時間が加速されていることから、安全の為に連続ログインは現実世界の時間で約1時間8分、仮想世界の時間で8時間に限定されている。もちろん、8時間を超えてログインしようとすると、強制的にログアウトさせられるらしいが。
時間加速関連はそのぐらい、かな。次は開始地点を確認するか。
プレイヤーが一番最初のキャラクタークリエイトを完了させ、降り立つことのできる地域は5つ、らしい。
人間族、炎、水、風、地人族共生国家『ダフルゥアイルィハニ』、通称ダフ。
その『ダフ』を中央とみて、北東に位置する活火山と森に挟まれた人間族、炎、水人族共生国家『フレイトゥル』
『ダフ』の南東に位置する森と鉱山に挟まれた人間族、水、地人族共生国家『ユニトゥルスイレ』
『ダフ』の南西に位置する砂漠と鉱山に挟まれた人間族、地、風人族共生国家『ストグウィンス』
『ダフ』の北西に位置する活火山と砂漠に挟まれた人間族、風、炎人族共生国家『テラストレムウィング』
この5つ。
何処から始めようかってのは正直決めてないからあれだけど、キャラクリの時に種族を決めるらしいから、それで決めるか。
次は種族。プレイヤーが選択できる種族は、国と同じく5種。
人間族、炎人族、水人族、風人族、地人族の5つだけ。
当然、プレイヤーが選択できないというだけで、他にも存在するらしい。このページに書かれているモノは上の5種以外に、魔族、聖族、吸血鬼族、天使族、悪魔族、精霊族、聖霊族、魔霊族だけ。
と、残り5分か。次で最後にするか。
キャラクタークリエイト時の案内は光の姿をしたAIか、GM権限を持った運営の人間が対応するらしい。キャラクリ時点ではまだゲームの世界とは違う、という事かな?
そこの考察をしたいのは山々だが時間がない。今開いているページを全て閉じ、VR機器を装着して、いつでも開始できるようにしてその時を待つ。
「残り10秒、8、7、6、5、4、3、Open the gate that connects this and that.」
そう言った瞬間、意識は暗転し、次に目を開いたときには辺り一面が真っ白な世界だった。