表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
179/203

155 研究所出身


 初級指南書を読み進めるのを中断して、職業カードを鑑定してみる。


――――――――――


【――・――】職業カード 品質:― レア度1

耐久∞% 重量0 属性:不壊 魔力伝導率100% 聖力伝導率100%

職業登録組合が発行しているカード。

職業の変更やギルドランクの上下の際に作り直す必要がある。

過去、とある偉大な錬金術師の手によって作られた霊具で作成され、どのように扱おうとも壊れることはない。


――――――――――


 職業カードを手にしてすぐ、何らかの紙に押し当てて写しを作ったことがあったけど、ということはつまりその紙も錬金で作られたものということだろうか。

 いずれは俺でも作れそう、だけど、カードの説明を見る限りだと無理そうでもある。


 指南書に戻るか。



 この世界に生き、街に住むものならば誰しもが、一度は職業カードを手にしたことがあるだろう。

 そうしたとき、不思議に思ったことはないか? この職業カードはどのようにして作られているのか、と。

 不思議に思わなかった者もいるかもしれないが、まぁ、錬金をこれからしようとしている者の大半は思ったことだろう。

 その答えが錬金の霊具作成によって誕生している、というものだ。


 一口に霊具作成といっても、職業カードのようなものを作る霊具から、それこそ武器の形をした霊具まで、様々なものを作ることができる。

 職業カードを作る霊具など、いわゆる設置型の霊具はそのまま設置型霊具と呼び、武器の形をした霊具など、戦闘に使うことを主目的としたものを戦闘用霊具と呼ぶ。

 どちらの作成が難しいなどという話は人によって変わるため割愛し、ここでは霊具の構造などについて簡単に説明するとしよう。


 そも、霊具を霊具たらしめる部分と言えば、先ほど言ったように、術陣が刻まれているかどうかだろう。

 術陣の刻まれていない単なる絡繰り機構などは霊具と言えず、術陣の刻まれていない単なる剣も、霊具と言えず。

 とはいえ術陣が刻まれているからと言って、それが霊具であると言えない場合もある。そのような場合は本当に極稀だが。

 例えば、作成者本人が霊具と認めなかった場合などだ。他の者から見て霊具であったとしても、作成者本人が霊具ではないと言うのだったら、それはどこか霊具に重大な問題があるか、ただ単に作成者の求めるものではなかったか。

 そのような場合は作成者本人の言を認め霊具ではないと判断される。まぁその場合だと大体の作成者はその霊具を破棄していて、世に出ること自体が珍しいのだが。


 さて、そんな霊具かどうかの判断の話はこれまでとして、次は霊具を作成するにあたって一番重要な要素、術陣を物質に刻む方法を――



 と、そこまで読んだところで、この資料保管庫の入り口に付けられたベルが小さく鳴った。

 どうやら誰かがこの工房に入ってきたようだ。たぶんムーちゃんだけど。

 錬金の初級指南書をアイテムボックスに仕舞って工房へ戻るか。

 ちょうど気になるところだったけど、また後で読めばいいしな。


 長い長い螺旋状の階段を駆け足気味に登っていき、工房と階段とを隔てる扉へ識別票をかざして開く。

 工房にはやはりムーちゃんが居り、そしてその隣に、スヴァさんの契約獣霊であるデフィスキーナがいた。


「おかえり、どうだった?」

「あ、ただいま! えーとね、取り敢えずアセヴィル君に伝えてみたら協力してくれる、って。イズホ君も、イズホ君が大丈夫だったらいいって」

「ふんふん、なるほど。まぁそこまでは予想通り。それで? デフィスキーナがいるってことは、スヴァさんにも話したってことでいいのか?」

「そうだね。ウスヴァート君にも話したら、デフィちゃんを召喚してくれて2人で話してきな、って」


 おー?

 関連性はないように思うが……、いや、そういえばメフィトゥル様が言ってたことで、「研究所出身が2人」とかあったな。

 言い方的にもう1人はペク様かと思ってたけど、キーナだったのか。

 ペク様との相性が良いっていうので研究所が挙げられてたけど、ということはつまりペク様含めた3人が研究所出身、てことかな?

 いや、どうだ? 毒使いとしてだけ属性的相性が良かったなのか、毒使い含めて存在的相性が良かったなのか。

 わかんないな。


「それなら俺はちょっと別の所にいたほうがいいか?」

「あー、どうしよう? どうする、デフィちゃん。イズホ君はいない方がいいかな?」

『今はまだ、いない方が話はスムーズに進むのではないでしょうか』

「それじゃあ俺は下で本でも読んでるよ」


 首の部分が機械に置き換わっているからか、ネモやルテリアのような頭に直接響くような声ではなく、機械が作り出した声で話すキーナ。

 初めの頃は話しづらそうにしていたが、最近は慣れてきたのか淀むことなく自然と声が出ているように感じる。


「戻ってきて早々で悪いからボク達が資料室に行こうか?」

「いや、これの続きを読みたいから、それなら下の方は都合がいいし。大丈夫」


 アイテムボックスから錬金の初級指南書をチラ見せしてそう告げる。


「そう? じゃあ遠慮なくこっちで話すね!」


 納得してくれたようで何より。

 来た道を戻って資料室へ向かうとしよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ