表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/203

14 パスタ作る時の穴の開いた鍋みたいなやつ

10/24(本日)がイズホ君(と作者)の誕生日なのと次の話が閑話に近く、流してもらっても大丈夫なものなので2話投稿とします。

(まぁ次の話は主人公の視点で知り得る情報との差異が、あったりなかったり、な話)

こちら1話目です。


 作業部屋に入っていった師匠に付いていき、前回ログインの時に教えてもらった機具の前で止まった。これは確か『合成』の補助用のやつだったかな。


「……まずは『合成』からだね。取り敢えず材料はあたしの倉庫から持っていっていいから。

 ガラス瓶とイムリル草と水で下級HP回復薬が作れる。初めは何の情報も無しに作ってみな。……素材の鑑定も無しでね」


 そう言って渡された材料。

 何の情報も無しにと言われたが、これはシステムのチュートリアルも無しにということだろうか?


「師匠、異邦人には大体のスキルを初めて使う時に、そのスキルの使い方とかの説明が出てくるようになっていますが、これも無しですか?」

「……見ないという選択ができるのなら、無しだね」

「分かりました」


 チュートリアルも無しらしいので、初見でなんとなくやってみるしかないようだ。


 『合成』の機具は作業台の様になっており、その上に何やら陣のようなものが描かれていて、右端にはコンロが置かれている。

 そのコンロには陣から複数の線が伸びている。この線も陣の一部なのだろうか。


 取り敢えずそれっぽいような感じでやるとして。

 コンロの上には両手鍋が置いてあるからここに水とイムリル草を入れて、コンロに火を点け、鍋の中身をゆっくり混ぜる。


 少しして沸騰直前になったら『合成』を発動してみる。


――――――――――


スキル錬金の発動を確認しました。

スキル錬金のチュートリアルを開始しますか?

               Yes / ○No


――――――――――


 『合成』を発動すると身体から魔力が抜け、鍋の上に白色の陣が展開された。

 これは水術とかの術を発動するときと同じようなものらしく、魔力を流せば陣――錬金術陣は少し黒くなり、その黒が陣全体に広がっていく。


 やがて所々濃かったり薄かったりするが陣全体に魔力が渡ると、沸騰直前の鍋に吸い込まれていき、何故か勝手に火が消え鍋の中身が混ざり始めた。

 少しすると鍋の中身は黒から薄緑になり、そこにイムリル草は欠片も残っていなかった。


「師匠、たぶん出来ました」

「……自分で鑑定してみな」


 出来上がった推定下級HP回復薬を鑑定する。


――――――――――


【回復・HP】下級HP回復薬の入った鍋 品質:劣 レア度1

重量10 属性:回復

Lv.1~Lv.50までの存在が使用した場合、最大HPの10%を回復する。

Lv.51~Lv.150までの存在が使用した場合、最大HPの5%を回復する。

Lv.151以上の存在が使用した場合、HPは回復しない。

適切な手順で作られていないため、イムリル草が溶け込み効能を落としている。

若干、草の苦みがある。


――――――――――


 因みに師匠の店に置いてあったものと比較すると、店のやつが『Lv.1~Lv.50までの存在が使用した場合、最大HPの30%を回復する。』という効果だったので、今俺の作った物は全然ダメなものだろう。


 まぁそれでも最大HPの10%は回復するらしいので本当のごみではないだろう。材料がよかったんだと思おう。


「……初めてにしてはよくやった方だね。初めはそもそも魔力ないし聖力をうまく流すことすら難しいってのに」

「まぁ魔力の術陣への流し方は水術を使ったときに説明がありましたから」

「……そうかい。じゃあ次はあたしが見せてやるからしっかりと見ておくんだよ」

「了解です」


 そう言って機具の前に立ち、鍋にパスタを作る時の湯切りするための鍋のようなものを両手鍋に入れ、そこに水とイムリル草を入れ火を点けた。


 少しして沸騰直前になると火を止め湯切り鍋を取り出し、横に置き『合成』を発動させたのか鍋の上に錬金術陣が展開された。横に置かれた湯切り鍋の中にはイムリル草の残骸らしきものが残っていた。


 展開された錬金術陣は端の方から黄金色に輝いていっている。師匠は何を流しているんだ? 魔力ではないようだが。


 やがて黄金色が術陣全体に満遍なく広がるとそれが鍋に吸い込まれ、出来上がった下級HP回復薬と思しき液体は俺の作った物よりも透明に近かった。


「……ほれ、鑑定してみな」

「分かりました」


――――――――――


【回復・HP】下級HP回復薬の入った鍋 品質:優 レア度4

重量10 属性:回復

Lv.1~Lv.50までの存在が使用した場合、最大HPの35%を回復する。

Lv.51~Lv.150までの存在が使用した場合、最大HPの17%を回復する。

Lv.151~Lv.200までの存在が使用した場合、最大HPの8%を回復する。

正式な手順で作られ、上等な聖魔力が込められている。


――――――――――


「……これは今の材料であたしが作れる最高に近いやつだよ」


 黄金色に輝いていたのは聖魔力と言うのか。

 どういう手順で出すことが出来るのか分からないが、それを使って作るとこんなすごいのが出来るのか。

 確か、店に置いてあったやつは『Lv.151以上』という制限がない状態で最大HPの3%回復だったはず。制限を付けることで回復量を上げることができる、のか?


「因みにこの聖魔力ってどんなやつですか?」

「……逆に聞いてしまうけど、あんた聖王国に行く予定はあるかい?」

「49日後ぐらいにこの国を出発して行く予定ですが」

「……そうかい、じゃあ今教えるのはやめにしとこうか。あんたが聖力を扱えるようになったら、としよう」


 そういうことになった。


 そのあと師匠に下級HP回復薬作成のコツを教えてもらった。

 曰く、鍋の中身は混ぜず放置。イムリル草は『合成』すると混ざってしまうから『合成』前に取り除く。

 『合成』を使用し錬金術陣が出たら一定の速度で満遍なく聖魔力ないし魔力を注ぐと品質の良いHP回復薬が出来る、らしい。


 取り敢えず今回のログインでは時間のある限り下級HP回復薬を作ろうと思う。幸いにして材料は師匠の倉庫から自由に取っていいらしいし。



 因みにイムリル草の鑑定結果はこんなのだった。


――――――――――


【素材・草】イムリル草 品質:優 レア度3

世界各地に生えているHP回復薬の原料。

草の一部のみがHP回復薬になる、らしい

熱するとその一部が溶け出し、混ぜると回復薬になる。

その一部以外はただの草。


――――――――――


 だから俺の作ったのは品質が悪かったのか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ