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双剣の水術師~その仮想世界で1人の青年は既知感を蓄積させる~【未完】  作者: 銀骨/風音
第4節 W-4 『黎明の再演』-後篇:誰が望む世界へ
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138 術陣の摩耗


 神刀:神降に刻まれている術陣、神降ろしの発動方法は分かった。が、具体的な意識の仕方とでも言うのか、術陣を強く意識するというのが未だよく分からない。

 何か解りやすい説明とか、練習方法とか無いものか。


「ふむ、術陣を意識するという、それそのものの練習ならば簡単にできるな」

「というと?」

「霊力を無に帰すことにはなるが、……ちょっとそれを貸してくれ」

「ん、はい」


 俺の心を読んでたと言われても何も驚かないタイミングで呟いたな、アセヴィル。

 まぁ今までも偶にあったから気にしないけど。


「今この刀には『神降ろし』の権能、術陣の他に『強度増加』の術陣が刻まれているだろう」

「うん、あるな」

「通常、こういった武器に刻まれる術陣というのは、『神降ろし』のように所有者の霊力で以って発動する。ただ、この刀に刻まれているこの『強度増加』は少し違う。これには周囲から霊力を収集する機能が初めから術陣とともに刻まれている。

 ……と、少し話が逸れたな。これで何が言いたいかと言えば、さっきも言った通り霊力の無駄ではあるが、この『強度増加』の術陣を意識するように霊力を籠め、自身でしっかりとその術陣が認識できるようになれば、『神降ろし』の術陣でも同じようにできるだろうという事だ」

「……ふむ、それって『神降ろし』の術陣でやらないのは何か理由があるのか?」


 訊いた限りだと『強度増加』でやるのと『神降ろし』でやるの、どちらも変わりないように思える。

 だったらもし今後『神降ろし』を使うとして、その本番と同じような状況に限りなく近しくやった方がいいのではと思うのだが……。


「まぁもっともな疑問だな。……だが、話はそう簡単じゃない。

 詳しく言うならばそうだな、所有者の霊力で以って初めて発動する形態で、更に武器に刻まれた術陣の場合、その術陣には“摩耗”という概念が付与される。分けて言ったが、勿論その刀の『強度増加』の様に、所有者の霊力でなくとも発動する術陣の極一部の種類にも摩耗は生じる。

 この“摩耗”という概念の何が悪さをしているのか。イズホは分かるか?」


 摩耗、つまりは使うたびに消耗していくという事か? そうならば、まぁそういう事か。


「今回で言う練習をするたびに発動したという状況が蓄積されて、最終的には術陣そのものが無くなる、とか」

「そうだな、被害が術陣で収まればいいが、最悪はその術陣が刻まれている武器そのものが、木っ端微塵に砕け散るだろうな。

 で、だ。例外から言ってしまったが、その刀の『強度増加』の様な術陣の場合は、摩耗という概念が付与されることは滅多にない。偶に、術陣を刻んだ者の腕が悪いのか、摩耗の付与がされるらしいが本当に珍しい。

 その例にもれず、その刀の『強度増加』も摩耗が付与されている様子は見られないという事だ」

「なるほどなぁ。それなら納得だな」


 完全に発動し切らないのに摩耗するという、そこだけは納得がいかないけど、それ以外は普通に納得できる内容だった。

 考えてもみれば、通常の、武器に刻まれていない術陣の発動の場合、その術を発動した時点で殆どの術陣は消滅していた。発動後、術陣がその身に刻まれるとかの術もあるにはあるが、そういうのは契約に関する術であるからして、例外と考えた方がいいだろうな。


 通常の術が1回きりの発動で術陣が消えるのに対して、武器に刻まれた術陣は、少なくとも1回では消えない。この時点で文句を言えるような性能ではない訳だな。

 これで何か悪さできそうだが、それをするには武器に術陣を刻むことのできる人が居ないとな。


「さぁ、今日が終わればお前たちが次に起きるのは3日後になるのだろう? 時間は有限だ。早速、術陣を意識するという練習をしてきたらどうだ?」

「それもそうだな。ありがとうアセヴィル」

「どうという事はない」


 アセヴィルのテントに俺が長居するのを止めたかったから促した、なんていうのはさすがに拗らせすぎか。


 さておき、時間の許す限り術陣を意識する練習をやるとしようか。



     △▼△▼△


 時は進み、ガミズルクス様の伝言が正しければ今日この夜、吸血鬼たちが動き出すらしい。

 俺達は吸血鬼たちの襲撃、侵略?の防衛はせず、その根城へと直接乗り込むらしいが、具体的にはどういう動きをするのか。


「さて、ようやくこの日がやってきたわけだが、吸血鬼たちは今日の夜、それぞれの国、街を襲うだろう。だが、前にも言った通り俺たちはその防衛には手を貸さない。というより貸せない。神霊と共に吸血鬼たちの本拠地を襲うからだ。

 襲い、吸血鬼の首魁、今回で言えば悪夢の王第5位カーリを倒し、その結果各地を襲撃している吸血鬼たちが止まれば万事オーケー。止まらなくとも防衛の者どもだけで何とかなるだろう。

 ここまでで何か質問は?」


 質問、は今はないか。訊いてた通りだし。


「ほなちょっとだけ。アセヴィルの説明的に、そもそもそのカーリっちゅうやつを倒せるのが確実、みたいになっとったけど、そう思う根拠って何かあるんか?」

「あー、いや、まぁこの5人と神霊ならば確実に倒せるだろうなという、ただの主観だな」

「ほー、まぁええか」


 俺はあんまり気にならなかったけど、スヴァさんとかだと気になるんだな。こういうアセヴィルの曖昧さというか、どこから出てるのかよく分からない自信っていうのが。

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