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双剣の水術師~その仮想世界で1人の青年は既知感を蓄積させる~【未完】  作者: 銀骨/風音
第4節 W-4 『黎明の再演』-後篇:誰が望む世界へ
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132 千里を見通す目


 あまり戦い慣れていないように見えるデフィスキーナの戦い方についてだが、基本的に、その手に持ったハルバードを魔力で強化して勢いよく振り回し、縦横無尽に敵を攻撃するというもの。

 偶に魔術での攻撃もしてたけど、それよりはハルバードでの攻撃の方が得意なようだ。

 あんまり魔力、というか霊力というものを術の形に落とし込んで扱うという事が得意ではないみたい。それをするぐらいだったら何も考えずに、魔力を籠めたハルバードを、ただただ振り回す方が性に合ってるらしい。


 そのハルバードだが、これもこれで、デフィスキーナの身体に埋め込まれてる機械らしきものと、似てる構造というか同じような“雰囲気”を感じる。

 なんて言うんだろうな、デフィスキーナの力を具現化したように感じ(みえ)るというのが正しいか? もっと言うならば、そのハルバードまでもがデフィスキーナの身体の一部に感じるというか。

 どちらにしても、限りなく同一の存在には思えるな。


 とまぁ、スヴァさんが契約したデフィスキーナについてはそんな感じで。

 ムーちゃんは、あんまり変わってないというか、変わったところで言えばそれこそ、魔力が使えるようになった点ぐらいか。


 魔族の試練を受けたムーちゃんは、召喚した魔霊を普通に倒す選択をしたようで、魔霊と契約を交わすという選択(かんがえ)は欠片も思い浮かばなかったらしい。そもそも契約に必要な、諸々の術を持ってなかったってのもあるっぽいけど。

 そういう事もあり、ムーちゃんはただ単に魔力が使えるようになっただけという事。

 まぁ普通、というか大多数の人は、ムーちゃんと同じ選択らしい。むしろ、試練で召喚した聖霊ないし魔霊と契約するのは、ごく少数の限られた人のみとか何とか。

 だから別に契約をしなかったムーちゃんが珍しいわけじゃなく、逆に試練で契約をした俺やスヴァさんの方が珍しいのだとか。


 魔力が使えるようになったムーちゃんの戦闘は、生産職、かどうかは分からないけど、普段生産しかしていないであろうにもかかわらず、そこらの戦闘職よりも戦えていると思う。俺の中の「そこらの戦闘職」が、闘技大会とかで見たプレイヤー依存だからあんまり参考にはならないかもだけど。

 まぁプレイヤーと比較するのは違うか。そもそもこの世界で生活してる年月が違うんだし。

 とはいえ、プレイヤーと比較せず、この世界の住民と比較した場合でも、俺が見た人たちの戦闘とあまり遜色はないと思う。



 そして本題、俺が契約した悪魔、デカラヴィネア(カラヴィ)の強さについて。

 結論から言えば、カラヴィは戦闘を得意とするタイプではないようで、あまり単体での運用はできなさそうだった。

 ただ、それを補って余りあるほどの補助能力ではあった。


 カラヴィの主な能力(スキル)は、通常の何十倍もの視界を得られる『千里眼』というもの。

 これ単体でももちろん強いは強いが、さらに強くする能力として『宝石複製体』というものもある。これは邪界で俺が戦った時と同じような、実在する聖物、魔物を宝石で作り出してそれを操る能力である。


 『複製体』とある様に、これで作り出した身体はカラヴィが自由自在に乗り移ることが可能で、その状態でも『千里眼』を発動することができるようで。

 戦場での情報収集が、カラヴィ1人で完結するかもしれない。

 この1時間ではあんまり有効活用することができなかったが、それでも、常時複製体で飛び回って進行方向にどれだけ蛇竜が居るのかを報告してくれていた。


 カラヴィは今の身体が動かしやすいのか、魔王国からこの砂漠まで、常に名も知らぬ鳥でいる。

 訊いたところによると、一度でも目にすることがあればどんな聖魔物の身体でも作成することができるようで、それこそ聖王国で戦った逸竜の身体なんかも作り出すことができるようだ。正直見るだけで吐き気を催すとかの理由で、今後一切その身体を作り出すことはないみたいだけど。


 この、宝石で作り出すことのできる身体だが、万能というわけでもないのが、カラヴィが戦闘を得意としていない所以でもあり。

 解りやすく、少し極端に例えるならば、カラヴィが風の精霊の身体を複製したところで、カラヴィ自身が風術を使えない事にはその身体でも風術を使えないという事。それ以外での攻撃手段といえば、普通にカラヴィが体を作り出していない状態でも使える魔術くらいか。

 これが狼の身体や今のような鳥の身体であったならば、その身体に備わっている爪や嘴といった攻撃手段が使える。現に今の鳥の状態で少しだけ戦ってもらった時には、魔術の他に嘴での攻撃もしていた。


 あと、はそうだな。これは本当にそうなってるのか分からないけど、どうやら悪魔や魔族の身体を複製して乗り移った時は魔術の威力が上がるらしい?

 傍目にはあんまり変わっているようには見えなかったけど、本人にしてみればほんの少しの違いだけど明らかに威力が上がっていたようだ。

 カラヴィ曰く、たぶん今の腕輪の宝石としての状態よりも、きちんと生物として設計された魔族や悪魔の方が、霊力の通りが良いとか何とか。


 こんなもんかな? この1時間でわかった事と言えば。

 いつの間にやら目的地に着いたようだし、ちょうどよかったな。

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