125 神伝図書
邪界から戻り武器庫の探索も30分ぐらいで終えた俺とスヴァさんは、変わらずアセヴィルとウァラ、ムーちゃんが居るであろう儀式用であろう部屋に戻って来た。
部屋ではアセヴィルとムーちゃんが椅子に座って話していた。どうやら今はウァラが儀式を受けているようだ。
因みに、この世界に戻って来た時の時間は俺たちが邪界に飛ばされたであろう時間から、そんなに経っていなかった、らしい。俺は覚えていなかったけど、スヴァさんがだいたいだけど覚えていたようで、そんな感じだったようだ。
「何か収穫はあったか?」
「うーん、まぁ良いものかどうかは置いておいて収穫、得たものはあったか」
「そうやな、うん」
なんとなくわかってきたような気がするけど、こういう風にわざわざアセヴィルが訊いてくる時って、大体の場合、結果を知ってる時だと思うんだよな。
今回で言えば、収穫はあるってのを知ってる上で聞いてきてるような感じ。もっと言えば収穫の内容まで知ってるかもしれない。
まぁ「かもしれない」って話だから確証はないし、本人に訊いたとしても本当のことを答えてくれるとも限らないから訊きはしないけど。
「そうか、先に最上階、魔なる神が作ったとされる神伝図書館へ行ったのだろう? 何か知識は吸収できたか?」
「……ん? 神伝図書館……?」
「ん? 神伝図書館を見に行ったのだろう? あの、不死知の神が知識を蓄えたとされる神伝図書館を」
「いやぁ? 俺達が行ったのは、ある意味では図書館とも言えるかもしれない場所だけど、それでも明らかに図書館ではなかったぞ?」
どういうことだ? ……いや、なるほど? そういう事か?
俺たちが潜った扉の、本来の向こう側はアセヴィルの言う神伝図書館とやらで、実際のところ俺たちはガミズルクス様の力で無理やり邪界に引き寄せられたから、その神伝図書館を見ることが無かったのかな?
「ん、あれが本来の場所やなかったってことか?」
「どうやらそうっぽい?」
「……ふむ、なるほど。まぁいい、じゃあお前たちがこの城を本来の姿として探索できたのは武器庫のみという事だな」
「あとそこに行くまでの意味不明な道順だな」
「ん、あぁ、そういえば魔王族の系譜でなければ、面倒な道を通らないと目的地まで辿り着かない状態だったか。その結界の効果を無効化するアイテムを渡しておけばよかったな。ここに来るまでは俺が先導して進んでいたから結界の効果が出ていなかったが、俺抜きで行動すると結界に引っ掛かることを忘れていた」
だからか、あんな道を通らされたのは。
にしては頭に進むべき道が浮かんでくるのが謎だけど。わざわざ迷わせるような作りにしておいて道が分かるってのは意味がないよな。スヴァさんは分からなかったらしいから俺だけっぽいけど。
「それで、その図書館とも言えるかもしれない場所っていうのはどこだったの?」
「そこの人、人? 悪魔か。悪魔が言ってただけだから本当かどうかは知らないけど、どうやら邪界ってところらしい。俺たちが迷い込んだところは」
「邪界って、あの邪界!?」
「他に邪界があるか分かんないけど、たぶんその邪界だな」
「……ふむ、なるほど?」
邪界は意外に有名な場所だったか?
いやでも、それこそ神伝図書館なんてものがあるんだったら、そういう神とかについての言い伝えなんかと一緒に、邪界とかの情報も伝わっていくのかも。
「まぁなんにしても、結局アセヴィルが最初に想定してたような探索の結果ではなかったかもな、最上階の部分に関しては。
武器庫の方は、前、アセヴィルが最後に見知った状況がどうなってたか知らないけど、まぁまぁな量あったとは思う。消耗品にしても一品ものにしても」
「そうか、では万一の際は遠慮なく持っていくとしよう。すでに俺がこの神剣と神杖剣を持ち出しているから、今から新たに持っていったとしても変わらないだろう」
そう言ってアセヴィルが示したのは、俺とアセヴィルが出会ってからずっと腰に差している2本の剣。
…………ん? 神剣、って言ったか? あまりにも普通の事のように言ってたから気付くのが遅れたけど、そう言ってるように聞こえたような?
「まぁ持ち出しているといっても、元はといえば俺の力で生み出された剣だからな。使用権は俺にあると言っても過言ではないだろうな。あとはこれも、武器――」
「――……え、神剣って言ったか?」
「庫から、……ん? あぁ、正真正銘、神の力が籠められた剣だな。まぁ神の力が籠められている割には、神を消滅させるような能力ではあるが」
「神の消滅?」
「そうだな、これは神剣ではあるが神剣ではない感じだな。もう少し詳しく知りたいのなら後で、ウァラエルが戻ってきた後ぐらいにでも鑑定してくれていいぞ。正しく読み取れるかは別として」
「じゃあそうさせてもらうか」
神剣だけど神剣じゃない、なんとなくわかるようなわからないような。
“神の力が籠められてる”っていうのは、実際に実在する神の力っていうわけじゃなくて、神に近いとかそんな感じの意味なのか?
まぁここら辺の詳しいところは後で鑑定させてもらう時にでも調べるか。




