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115 蛇竜


 翌日、朝7時30分にログイン。

 いつも通り準備をしてテントも片付け、オロを召喚して移動を開始する。


 昨日の時点で街は見えていたから、今日中にでも王都に辿り着くことができるだろうな。

 まぁどれだけ道中、魔物に襲われるかだな。誤差も誤差だとは思うけど、早く辿り着く分にはいいはずだから。


「あと2時間、フィスたちが走り続ければ魔王国王都跡に着くぞ」

「それは道中の襲ってくるであろう魔物を考慮しての時間なんか?」

「……さて、どうだったか。考慮しての時間だったはずだが、実際はどうなんだろうな」

「ん? アセヴィルが実際に通った時の時間じゃないのか?」

「実際に通った時間ではあるが……、120日近く前の事でもあるし、それよりもっと前の事でもあるからなぁ。今確実に言えるのは、確かな記憶は無いという事だな」


 120日近く前ってのは、ちょうど魔王国が無くなってフレイトゥルに向かう道中ってことのはずで、それより前、は魔王国がまだあった時のこと、か?

 あと、アセヴィル単体とウニコルヌス3体で、魔物に襲われる頻度もそりゃあ変わるか。

 まぁ結局は目安だな。アセヴィルは最初、断言のように言ってたけど。


「ほら、言った傍から蛇竜(ワーム)が襲いたそうにこっち見てるよ?」

「ほんとだな。あんまりこっちから行く理由もないけど、結局来るんだったら行った方が早いな」


 てか襲いたそうにってなんだ? いや、襲うために様子を見てるっていう意味なのは分かるけど。

 それをこっち側が言うのはちょっとよく分からないというか、まぁちょっとの違和感だな。


「うん、よし。じゃあそうだなぁ、取り敢えずウァラに聖術で攻撃して気を引いてもらってる間に、アセヴィルを除いた俺達でそれぞれ攻撃しやすい場所に移動して、そのあとは自由に攻撃するか」

「分かったよ!」

「了解?」


 という事で。

 それぞれ自由に、特に指示や連携も無しにやってみようと伝え、早速、俺と一緒にオロの背中に揺られていたウァラが途中で降り、気を引き付けるよう比較的弱い術を放ち始めた。

 それを横目にオロを止め、俺は俺で術の準備をする。


「全ての空間を司る神よ。この矮小なる身に力を与えたまえ。ただ一時ではあれど、契約により繋がれし獣霊をこの地に呼び寄せる力を。」


 ――獣霊召喚陣――

 ――風の上級精霊:ネモシーユ――


 衰弱状態から解き放たれて初の戦闘だが、大丈夫だろう。


「ネモ、様子を見てあのワームを風術で下から突き上げてくれ」

『了解しました。つまり自由に攻撃していいという事ですね』

「まぁ自由、……自由か。うん、まぁ突き上げなくても攻撃だけはしてくれ」


 大丈夫かな、少し心配だな。

 威力の面は全然心配じゃないけど、やり過ぎないか、というか、環境に被害を出しすぎないか心配だな。


 と、あんまりいらなそうな心配をしていると、ウァラに向かって突き進んでいたワームに1つ、大きな炎の槍が突き刺さった。大きなと言っても、攻撃されてるワームからしたら痛痒も感じないほどの大きさだろうけど。

 スヴァさんの炎の槍に続く様に、ムーちゃんが展開している術陣から紫色をした槍が飛び、炎の槍が突き刺さった場所と同じところを攻撃した。

 さっきの炎の槍が直撃した時よりも痛みが大きかったようで、紫の槍が直撃したワームはのた打ち回り、砂埃を撒き散らしている。


「紫、毒か?

 全ての聖を司る神よ。この矮小なる身に力を与えたまえ。聖を司る神の力の一端を、一時的に与える力を。」


 ――聖与陣――


 ネモへ付与を飛ばし、後はもういいだろうと俺は観戦にまわる。

 それにしても、ムーちゃんのは初めて見たな。見たところ毒系のような感じだけど、ムーちゃんの雰囲気と似ても似つかないな。

 掲示板でも情報は出てなかったはずだし……、使えるのに何か条件でもあるのかな。


『我らが風の神よ。この矮小なる使徒に力を与えたまえ。全てを切り裂く可能性を持つ、分離の風の力を。』


 ――裂槍陣――


 衰弱が取り除かれた状態の体の大きさから、少し小さい状態での術の発動だから威力は抑えられているはずだがしかし、前の状態しか比較対象がないため今の状態でしっかりと威力が抑えられているのか、よく分からないな。

 前にネモが言ってた通りなら抑えられているはず、だけど、今ワームに直撃した術を見る限り本当かどうか、怪しいな。

 まぁこの術が他の槍系のものよりも、周囲への影響が出やすいってのも関係してるんだろうけど。


「これじゃ普通のそこらにいる敵に対しては、あんまりネモは出せないな」

『体の変化以外でも威力は抑えたつもりなんですけどね』

「普通のフィールドに出てくる聖魔物相手には、もっと体を小さくして対処してもいいかもな」

『そうですね』


 威力を抑えずに一撃で倒すのもいいけど、それじゃあんまり楽しくはないというか。

 でもわざと苦戦するのも違うというか。難しいな。

 最悪はネモに戦わないでもらうしかないよなぁ。でもネモにも戦ってはもらいたいし。


 一番簡単な解決方法はもう、ネモを含めて全力で相手してもギリギリ苦戦する相手と戦う、ぐらいかなぁ。

 そんな相手が早々いるとも思えないから、今のままではあるんだろうけど。

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