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107 1人考えに耽る


 翌日朝8時にログイン。

 いつもより1時間遅く、こっちでも朝を迎えていた。いつもの時間なら深夜も深夜だったから、今後、というかスヴァさんが良かったらになるけどこの時間でも良さそうだな。


 今日の予定は、まず次の街まで進むのだけは決定していたはず。

 昨日と同じぐらいの速度で、且つアセヴィルの言葉が本当なら、2時間で次の街に辿り着くだろう。


 スヴァさんがログインしてきてから慣れた手つきでテントを片付け、オロを召喚する。

 なんの気変わりか、今日はムーちゃんが俺の前に乗ってきた。逆にウァラはスヴァさんの方に乗っていた。アセヴィルは変わらず1人だな。


 アセヴィルの跨るフィスを先頭に、その少し後ろをオロとバムジナが並んで走る。

 ウニコルヌス達の異常な体力に身を預け、俺たちは襲ってくるであろう聖魔物に思考を割く。

 まぁつまりはいつも通り。最悪オロとかの上で寝たとしてもオロたち自体が十分強いから、勝手に終わってはいるだろうな。

 そんな状態にならないようにはするんだけど。



 とそんな感じに1人で考え事をしたり、他4人と他愛もない会話をしたり、その間にも襲ってきた聖魔物を適当にあしらったりして約1時間30分が経過し目的の街に到着した。

 俺の想定よりも早く街に着いたな。まぁ誤差も誤差だけど。


 街の名前は『ゼデウス』。昨日のシュフィラスとダフルゥアイルィハニの王都の中間地点の街。完全に中間地点っていうわけじゃなく少し王都寄りではあるようだけど。

 街の門から見えるだけでも、昨日のシュフィラスとは比べ物にならないぐらい大きい街だと分かる。


 門を潜る直前にウニコルヌスたちは送還する。


「取り敢えず、そうだな、ここから西門までまっすぐ歩く。その途中でどこか行きたい、というかまぁうん、それほど時間に限りは設けないから自由でいいぞ。寄り道しない程度で」

「ん、了解」


 なんかやっぱりおかしいよな。

 どこがどうっていうのは言葉にできないけど、でも確かにおかしいとは感じることができる。

 なんなんだろうな。神前の闘技の後からこの調子だけど……、何かあったのかな。


 まぁ俺なんかが考えても答えは出ないか。

 いつかこの、変な調子の答え合わせがあるかもしれないし、それまで待つとしようか。俺の中にモヤモヤは残ったままになるけど。



 観光気分の様に、アセヴィルを先頭にゼデウスの街を歩く。

 どんな店があるかな、と見渡しながら歩いていると、偶に、プレイヤーに見られていることに気が付いた。

 見られているといってもほんの数秒程度だから、気にならないといえば気にならないが、しかし、見られているのは事実。

 何で見られているのか。いや、まぁそこらを歩いてたら視界には入るから、別にそこまでおかしなことではないのかもだけど。


 俺を、というか俺達を見ているプレイヤーの視線を詳しく観察してみると、正確にはプレイヤーである俺とスヴァさんを見ているのではなく、先頭のアセヴィルを見ているようだった。アセヴィルを見たついでにその後ろのプレイヤー、俺とスヴァさんを見ている感じかな。

 もしくはNPCとプレイヤーが一緒に行動しているっていうので、俺たちプレイヤーを見た後にアセヴィル達を見ているか。


 …………ん、? 結局、なんだ? 俺は何が言いたい?

 なんか俺もおかしくなってきたか? アセヴィルにつられて。


 俺達を見ている相手の心の内なんか分かるはずがないのに、見られているという状況以上を知ろうとしたから思考がおかしくなった、のかな?

 たぶんそう、のはず。

 いやまぁ、この思考になるのは前からちょくちょくありはしたから、アセヴィルにつられてって事ではなさそうだな。別にアセヴィルにつられるのが悪いとかいう事でもなくて。


 ……なんて、そんな意味の無いことをつらつらと1人で、景色も見ずに考えていると、いつの間にか西門を出る列に並んでいた。

 初めの観光気分はどこへやら、もっぱら感じる視線について考えちゃってたな。まぁもとより観光じゃないから気分も何もないんだけど。


 俺が1人、考えに耽っている間は他4人で話しこんでいたようで、どこの店にも入ることは無かったらしい。まぁ入ってたら俺は今頃逸れてるだろうから、良かった、のかな。

 まぁ逸れてたら逸れてたで、俺は何かしらしてただろうからどっちでも良いんだけど。それこそスヴァさんにメッセージを送るとか、先に西門へ行っておくとか、いろいろ。


 そうやってまた1人考えこんでいる内に西門から出るための列は進み、俺たちの番となり、特に何事もなく門を潜ることができた。

 少し離れた所でウニコルヌスを召喚しようという事で少しだけ歩き、邪魔にならないように道から外れたところでオロを召喚する。


「全ての空間を司る神よ。この矮小なる身に力を与えたまえ。ただ一時ではあれど、契約により繋がれし獣霊をこの地に呼び寄せる力を。」


 ――獣霊召喚陣――

 ――一角獣馬:オロバムート――


 アセヴィルとスヴァさんも同じようにフィスとバムジナを召喚し、アセヴィル以外それぞれ前か後ろに乗せて、ダフルゥアイルィハニ、その王都へと出発する。

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