ヲタッキーズ158 彼女はノーダウト
ある日、聖都アキバに発生した"リアルの裂け目"!
異次元人、時空海賊、科学ギャングの侵略が始まる!
秋葉原の危機に立ち上がる美アラサーのスーパーヒロイン。
ヲタクの聖地、秋葉原を逝くスーパーヒロイン達の叙事詩。
ヲトナのジュブナイル第158話「彼女はノーダウト」。さて、今回はスーパーヒロイン専門のデリヘル組織を追っていた敏腕検事補が殺されます。
捜査線上に浮かぶヒロインマニアの客達、そして組織を牛耳る"ダウト"の名に秋葉原が震撼する時、メイド風俗の闇にヲタッキーズが立ち上がる!
お楽しみいただければ幸いです。
第1章 夫婦喧嘩の彼方
駅前に摩天楼が並ぶ"秋葉原マンハッタン"。今、地下駐車場からアウトドア仕様の高級SUVが発進。車内は夫婦喧嘩w
「そりゃ上司の冗談には笑わなきゃ。誓って言うが、全て出世のためだ」
「ウソょ。彼女の胸の谷間に目が釘付けだったわ!」
「スーパーヒロインのコスプレにシミがついてたんだ」
冷静に対応スル夫。ココまでは合格点だ。
「ウソょ。網膜に焼き付けていたクセに」
「お前、おかしいぞ。上司がスーパーヒロインだからって、敵視スルな。パワーある者には巻かれろ。秋葉原のビジネスマンの常識だ」
「でも"覚醒"したからって、何も会社のパーティにセーラー戦士コスプレで来る必要はナイわ!私だって…」
その時!ボンネットに死体が落ちて来るw
「キャー!」
「上から落ちて来た?」
「何のコスプレ?」
身を乗り出し夜空を見上げる夫。悲鳴をあげる妻。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
御屋敷のバックヤードをスチームパンク風に改装したら居心地が良くて客の回転率は急降下。メイド長はオカンムリだw
「うーんヤリたいけど…どうかな?もちろんょ…でも、言ったらパニックになるわ…ホントょ。じゃ切るね」
スマホを切るスピアはハッカーだ。トランジスタグラマーでスイカ級にデカい胸の彼女は、僕の"元カノ会"の会長だw
「スピア。誰のコト?」
「え。テリィたん、何の話?」
「パニックになるのは誰なのかな?」
フフフと"スイカ"を揺らし笑うスピア。
「友達ょ。テリィたんは知らない人」
「マジ?スピアの友達はみんな知ってるけどな」
「ごめん。悪いけどハッキングしなきゃ。集中集中!」
カウンター席でPCを開くスピア。お仕事モードだ。
「そっか。なぁスピア。元カレには何でも話せょ」
「うん。ありがとう」
「テリィです…え。スーパーヒロイン殺し?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「空からヒロインの死体が降って来ても、ソレは俺のせいじゃナイだろう!おい、聞いてるのか?!」
摩天楼の谷底の殺人現場。パトカーが集まり、非常線が張られ、鑑識がスーパーヒロインの落下死体の写真を撮る。
"もうヤメて"という顔で首を振る妻の横に、覆面パトカーが止まり僕と万世橋警察署のラギィ警部が降りて来る。
「テリィたん、お取り込み中じゃなかったの?デートとか?」
「ラギィ、元カレに隠しゴトしたか?」
「モチロンしたわ」
ムダに胸を張るラギィ。
「どんな?」
「ホンキで知りたい?」
「ラギィの秘密ならね。しかし、スピアの秘密となると…大丈夫。僕はイケてる元カレだ。何でも話してくれるハズさ…あ、あれ?ミクス?何しに来た?」
や?最高検察庁のミクス次長検事が現場に来てる。彼女とは学生時代に渋谷の百軒店の裏で同棲を…つまり元祖元カノw
「ウチのジャナ・バクリ検事補ょラッツ」
あ、ラッツは僕の学生時代のネームw
「ジャナ・バクリ検事補。誰だ?」
「私の片腕。今まで何人もの犯罪者を蔵前橋に送ってる。司法取引が大嫌い。"blood type BLUE"」
「彼女が事件の担当だと、私達はスゴい助かったわ」
ラギィ警部が逝うならホントだろう。
「駆けつけた警官によると、カバンと片方の靴が17Fにあった。今、ウチの鑑識が調べてるわ」
「"blood type BLUE"ってコトは、バクリ検事補は"覚醒"したスーパーヒロインってコトか。窓から突き落とすにはかなりのパワーが要るな。コレは収監された犯罪者の恨み"ケープフィアー"だ」
「窓から落とされる前に、激しく抵抗したみたいね。ジャケットが破けてる」
マニアックな洋画のタイトルを挙げたが完全に無視されるw
「同僚によると、彼女は20時に帰宅したみたい。自宅は東秋葉原のダウンタウン。車は持ってない」
「バクリ検事補は既婚者?」
「離婚して元夫が池袋の乙女ロードにいる。元夫に彼女の私生活について聞いてみるわ」
ミクスは、僕を見る。鋭い視線が眼底を貫く。
「ラッツ。コレは検事殺しょ。しかも、私の身内を殺すなんて許せない。一刻も早く犯人を捕まえて」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
アキバに開いた"リアルの裂け目"の影響で腐女子が"パワー"に"覚醒"し、スーパーヒロイン化スル現象が相次ぐ。
南秋葉原条約機構は"リアルの裂け目"からの脅威に対抗スル防衛組織でヲタッキーズはSATO傘下の民間軍事会社だ。
「検事補が死んだ?」
「YES。彼が駐車場にいた理由は?」
「知りません」
と逝うワケで、アキバで発生するスーパーヒロイン絡みの事件は、警察とSATO(傘下の僕達w)の合同捜査となる。
今回、僕は万世橋のラギィ警部に同行、ジャナ・バクリ法律事務所を訪問しマジメ事務員風の秘書から話を聞くw
「コレが、彼が担当した事件のファイルです」
「御協力ありがとう。拝見スルわ」
「ラギィ。マニアック洋画"ケープフィアー"なら、この中に犯人がいるハズさ…アチボ・スピスか。殺人未遂で5回逮捕。公然わいせつ罪もヤッてる。今回の狂気も彼の…違うかな」
僕の話は誰も聞いてナイw
「ジャナ検事補は脅迫されてませんでしたか?」
「最近はありませんでしたが、仕事柄何度か」
「そぉ言えばココ数日、センセは動揺を見せてました」
事務員風秘書の後ろから、ヒッツメ髪だがヤタラ顔の整ったアシスタントが口を挟む。オフィスの顔面偏差値は乱高下w
「動揺?何でセンセは動揺してたの?」
「実は…先日、オフィスにスーパーヒロインが連行されて来たのです」
「スーパーヒロイン?誰?」
顔面偏差値が極端に違う女子2名が揃って頭をヒネるw
「月曜の昼過ぎ、警官に連れられて来た。検事補と2人で話してたら、急に怒鳴り声が聞こえて来たわ。ソンなコト、初めてだった」
「スーパーヒロインを連れて来た警官の名前は?」
「フラン・カテス」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
フランは婦警さんだ。万世橋の捜査本部。
「フラン、月曜の昼過ぎにジャナ検事補のオフィスに誰か連れてった?」
「YES。警部、ジャナのリクエストでジョノ・ノクスを連行しました。犯罪歴あり。起訴ナシ」
「ふーん相当ズル賢い奴なのね。も1度しょっぴいて」
「YES、警部」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
万世橋の取調室。
「犯罪歴が多いのね、ノクスさん」
「えぇ家族も大喜びょ。本題に入って。用件は何?」
「貴方と2日前に口論したジャナ・バクリ検事補が昨夜、殺された」
顔色1つ変えないジョノ・ノクス。
「そう。でも、私は殺してない。時間の無駄ょ」
「マジ?貴女、殺人未遂で何度も捕まってるわね。1年間で3回。きっと他にも色々ヤッてる」
「でも1度も有罪になってナイ。全て誤認逮捕だった」
面倒臭そうに胸を張るノクス。
「あら、否定しないのね」
「カラダを鍛えてるのか?デッドリフトとか。ムキムキでないとスーパーヒロインを突き落とすには力がいるからな」
「あら。コイツ誰なの?」
頃合いを見て割って入った僕を一瞥スル。
「SATOょ。スーパーヒロイン殺しだからSATOとの合同捜査になるの。で、口論の内容は?」
「私に冤罪を着せようとした裁判でジャナ検事補はボロ負けしたの。往生際悪く、私を呼び出して再び問い質して来た。確かに腹は立ったが殺しちゃナイわ。奴は検事補で、私に犯罪歴をつけた…犯罪歴はつけられたけど、馬鹿ではない」
「じゃアリバイはある?」
ノクスは、少し身を乗り出す。
「さぁ?死亡時刻は?」
「夜の9時半」
「"禁酒会"に行ってたわ」
何だソレ?太平洋の向こう岸の国みたいだw
「自主的に?お偉いコト」
「信じない?だったら、私の保証人に聞いて。ダニエ・ルミラ牧師ょ」
「牧師?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
僕の推しミユリさん率いるヲタッキーズは、スーパーヒロイン集団。エアリは妖精担当で、マリレはロケットガールだ。
2人共メイド服。ココはアキバだからね←
「エアリ。結局ジョノ・ノクスのアリバイは?」
「多分シロね。今、ラギィとテリィたんが牧師に聞いてるわ、ミクス」
「万世橋の鑑識は?」
自分のオフィスでヲタッキーズから捜査状況を聞くミクス。
「何も出ない。でも、ジャナ・バクリ検事補の地下鉄カードの履歴によると1ヵ月間自宅とオフィスしか行き来してなかったって」
「離婚の辛さを忘れようと仕事に没頭してたンだわ」
「ただ、事件の朝、仕事前に東秋葉原77丁目に寄ってます。オフィスの秘書に聞いても理由はワカラナイと」
突っ込むミクス。
「ソコね。調べて」
「ROG。ソレから、検事補は尾行されてた。検事補と話したいと言うメイドがアパートメントまで詰め掛け、ドアマンにつまみ出されてます。さらに事件当日、ドアマンは付近で同じメイドを目撃してる。アパートメントの防犯カメラに映ってた画像がアル」
「急いで犯罪者リストと照合して」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
同時刻。万世橋の取調室。ダニエ・ルミラ牧師を挟むようにして、取調室から出て来る僕とラギィ。
「ダニエ牧師、感謝します」
「いいえ。では、御機嫌よう」
「ご足労お疲れ様でした」
丁寧に御辞儀して去るダニエ・ルミラ牧師。
「ラギィ、何かわかった?」
「ジョノ・ノクスのアリバイを証言してくれちゃったわ…ソッチは何かわかった?カポン・スキィ」
「事件当夜、ジャナ検事補を尾行してたメイドの面が割れたわ。今、ヲタッキーズが検察に令状を取りに行ってる」
取調室から出た僕達に矢継ぎ早に報告するカポン刑事。
「待てょ。そのメイド、見覚えがアルな」
また元カノ?と露骨にウンザリ顔をするラギィ警部とカポン・スキィ。僕はジャナが担当した事件ファイルを探す。
「ハム、ハム、ハム…この辺にあるハズだ。ノマン・ジサピ。4年前、銀行強盗で刑務所送りになってる"ガングロ暴力メイド"だ。やっぱりコレ"ケープフィアー"だ」
「あらまぁ。2週間前に上訴裁判所で判決が覆ってるワ」
「普通なら喜ぶトコロょね?」
カポン・スキィが本部のPCを叩いてデータを呼び出す。
「ソレがそうでもナイの。バクリが再審を求めてる。あと2年服役が伸びる可能性がアルわ」
「あらま。ソレじゃ怒るわね」
「"隠れてないで出てこい"って復讐劇だな」
溜め息をつくラギィ。
「今のデニーロ?全然似てないわ。彼の居場所を調べて。話を聞きましょう」
ほぉラギィが"ケープフィアー"を見てるとはw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「待て!話せばワカル!」
東秋葉原のダウンタウンにあるクラブバー。
今宵も荒くれメイド同士が喧嘩。殴る蹴るw
「ちょっとそこの2人!万世橋警察ょ。喧嘩をヤメなさい」
「え。声かけるだけ?止めないの?」
「怪我するのがオチょ。そのうちに終わるわ」
ラギィはバッジもしまって静観?だ。
「昔は僕も喧嘩したょ」
「ええええええええっ?!テリィたんが?勝った?」
「まぁその、勝ち負けと逝うより、負けなかった的な…勝ってもいないけど」
次の瞬間、とばっちりで殴られる僕!慌てるラギィw
「何で避けないの?!私がミユリ姉様に怒られちゃうわ!」
「イテ!イテテテ!」
「絶対"勝ってもいない"わね!」
取っ組み合っているメイド2人の間に割って入るラギィw
"ガングロ系"の方のメイドをカウンターに叩きつける。
「そんなに戦いたいなら、続きは法廷でね」
第2章 デリヘルの彼方
取調室に手錠のガングロメイド…プレイではありませんw
「推しの前で、恥をかかせてゴメンね」
「推しじゃなくて元カノょ。ソンなコトより、貴女の立場はウルトラ微妙」
「彼女が先にドロップキックしてきた。私が奴のTOに営業したとか言いがかりをつけてきたの」
ノマン・ジサピは手錠された手をガチャつかせ力説。
「あら?貴女がヤッた銀行強盗も勘違いかしら?」
「その通り。銀行強盗だなんて知らなかった。車が必要だと言われて運転しただけょ」
「でも、その話をジャナ検事補は信じなかったろ?」
口を挟むとクルリと僕の方を向く。意外に可愛い。萌え←
「信じなかったばかりか、警備員が撃たれたから、法律上は私が撃った奴と同罪だとかヌカしちゃって、もう…」
「そりゃアンマリだねぇ(当たり前だけどw)」
「検事補が再審を申請したと聞いて腹が立ったでしょ?」
ラギィと誘導尋問を仕掛けるが、ジサピは引っかからない。
「いいえ。私、赤ん坊のように泣いたわ。蔵前橋は地獄ょ。現場で話せば分かってもらえるかなって」
「だから、検事補のアパートメントに潜入したの?」
「どーしても話しかける勇気がなくて、何日か彼女のあとを追ったわ」
そりゃ単なるストーカーだw
「でも!ストーカーだナンて思わないで。キチンと説得するために情報を集めただけょ。お察しの通り、私は口下手だけど説得は得意なの。アレを巧みに操れる、ほらアレょ。えっと、アラ?何だっけ?」
「もしかして…"言葉"か?」
「ピンポォーン!オッサン、すごーい!鋭いンだけど、もしかしてエラい人?」
名乗る気も起きないw
「万世橋のコンサルタント。国民的SF作家のテリィたんょ」
「ええっ?!このオッサンが?!とゆーコトは…も、もしかして、オッサンがミユリ姉様の新しいTOなの?」
「え。ミユリさんの知合い?」
愚問だ。ミユリさんは、アキバが萌え出す前からの筋金入りのメイドで、まぁ本人は嫌がるがアキバの大姐御的存在だw
「へえええぇぇぇ」
ジサピは初めてパンダを見るような目で僕を見るw
思わズ彼女に殴られた頬に氷嚢をギュッと当てる←
ラギィが咳払い。仕切り直しだ。
「昨夜の9時〜10時の間、貴女は何処にいましたか?」
「さっきのクラブバー」
「そぉ?確認スルわ。どっちみち暴行罪は確定だから、今宵は留置場に入ってもらうケド」
慌てるジサピ。
「何で?!ねぇ!さっき謝ったでしょ?!」
「まぁ待てょラギィ。ジサピ、君は昨日の朝もジャナ検事補を尾行したと言ってたな?彼女は何をしてた?」
「東秋葉原のアパートメントの前でアジアンなオヤジと会ってた。そのうち口論が始まった。きっとソイツが犯人ょ!」
ソレを早く逝えw
「アパートメントの場所は、逝ったらわかるか?」
「モチロンわかります、テリィ御主人様」←
「ラギィ、出発だ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ラギィ運転の覆面パトカーで"アパートメント"に向かう。
手錠をしたママ、後部座席から身を乗り出して来るジサピ。
「ねぇ外してくれないの?こんなのハメてたら、どっから見ても私って悪人メイドだわ」
「(違うの?)OK?鍵が要る?」
「ううん…はい、どうぞ」
外した手錠を僕に渡すジサピ。
「ど、どうやった?」
「コレは得意なの。蔵前橋にいた頃、色々考えた。私、この特技を生かすために鍵師の学校に行こうと思う。でも、重罪犯だからって入学を拒否されたのょ!ヒドいでしょ?」
「重罪犯の鍵師。ソレだけでリスクMAXだわ。ブラックジョークにしか聞こえないケド」
運転しながらラギィが軽口を叩く。
「お姉さん、意外に意地悪ね」
「知らなかったのか?」
「テリィたん!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
3分後。僕とジサピは後部座席に仲良く並んで座ってるw
「テリィ御主人様、ホンキなら良く聞いて。はい、左手を右手の上にして…」
「おい、ジサピ!手錠がきつくなったぞ!」
「ジサピ、この辺?…あら、スピアだわ」
ラギィはナガラ運転でスマホに応答w
「スピア?テリィたんに代わる?え。私に?どうしたの…わかった。モチロンOKょ。"マチガイダ・サンドウィッチズ"に7時半でどう?了解。じゃあ後でね」
ラギィはスマホを切る。
「スピア?何の用?キャンプのお誘い?」
「ゆるキャン?何か相談したいって」
「何の?」
身を乗り出す僕。あ、あれ?手錠が…
「あら?テリィたん、何で手錠してるの?」
「うーん何でだろう?」
「全く何やってんだか!勝手にしてちょうだい!」
トボけた顔してジサピが叫ぶw
「あ!その右手に見える赤いアパートメントょ!さぁ行きましょう!」
「行くのは私達。貴女は行かないの」
「その前に手錠を外してくれ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
そこそこ高級なアパートメントだ。
廊下で犬を連れた夫人とすれ違う。
「801号室?どうも…ココに住んでるアジアンな住人は1人だけ。ルーポ・チョー。ジャナ検事補の義理の兄」
「ビンゴ。悲痛な離婚が暴力沙汰に発展したってワケだ」
「…こんにちは、万世橋警察署のラギィです」
ドアが薄く開く。すかさずバッチを示すラギィ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「弟と離婚して以来、ジャナとは会ってない」
「ホントに?昨日の朝、貴方がジャナ検事補と口論してたと言う目撃情報があります。貴方は嘘をついてますね?」
「…この人、ウソは大嫌いなんだ」
僕は、大陸系中華の耳元でささやく。
「な、な、何のコトだか分かりません!」
「そうですか。では、続きは署で伺います。マスコミが大勢待ち構えている中でね」
「こりゃ今回は盛り上がりそうだ」
僕とラギィは回れ右して2歩歩いたら…
「頼む!待ってくれ!」
お約束の悲鳴。ゆっくりと振り向くw
「一昨日の夜、覆面をした男に脅されたんだ。"ダウト"から手を退けとジャナに伝えろと」
「"ダウト"?何ソレ?美味しいの?」
「さぁ?ただ、ジャナにソレを伝えると、彼女は手を引かないと言う。だが、手を引かないと、私の秘密が明るみに出て、私は身の破滅だ。ソレで口論になって…」
ココでラギィが見せる必殺の"柔和な顔"←
「あらぁ。どんな秘密かしら?」
「貴女には関係ナイでしょ!」
「では、署まで御同行、マスコミ大勢、以下省略」
ドッと汗を噴くルーポ。
「わかった!いや、ソレだけは、わかったって…実は、私には秘密の趣味がありマス」
「出たぁ!ロリコン?JK?ぽっちゃり?コスプレ?セクシーなスーパーヒロインの?」
「いや、ソレがその…」
天を仰ぎ、目を瞑るルーポ。
「…コスプレじゃない"生の"スーパーヒロインだ」
「何だと?スーパーヒロインを買ってるのか?ってかスーパーヒロインが売春してるのか?!」
「YES。スーパーヒロイン専門のデリヘルがアル」
顔を見合わせる僕とラギィ。
「貴方の趣味を知っている人は?」
「相手をしてくれたスーパーヒロイン達だけだ」
「デリヘル組織も知ってるょね」
さすがに驚きを隠せないw
「なるほど。きっとその組織が"ダウト"か」
「誓って言うが、私はデリバリーされて来るスーパーヒロイン以外、誰とも会ってナイ。ウソじゃナイ。私が知ってるのは、友人からもらった電話番号だけだ。電話1本で、色んなスーパーヒロインがデリバリーされて来る」
「じゃあこうかしら?ジャナ検事補はデリヘル組織"ダウト"を捜査してたが、ある日、捜査から手を引けとの脅しを受ける。兄が犠牲になるぞと。でも、脅しが効かないので殺された?」
コレは面白い、じゃなかった、大変なコトになりそうだw
「"ダウト"は何処?誰?どうやって探す?」
「そりゃ"デリヘル嬢ヒロイン"に聞くしかナイな」
「"デリヘル嬢ヒロイン"と会うには…」
ラギィは僕を見てうなずき、続いてルーポを見る。
「な、何だょ、おまわりさん」
「貴方、スーパーヒロインをコールしなさい」
「なるべくセクシー系コスプレで頼む。オプション料金は僕が払う」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
呼び鈴が鳴り、ドアを薄く開けるルーポ。
「こんにちは、ルーポ。私を待ち切れなかった?」
ハデ系の美女の登場だ。コートを脱ぐと胸がV字カットで谷間強調のアメコミ風真紅のレオタード。プラチナブランド。
「今宵のお相手は私。ごめんなさいね」
バッジを示すラギィ。背後に僕…あ、あれ?
「…君は、ジャナ検事補のオフィスにいた"ひっつめ女子"じゃナイか!まるで印象が違うけど、変われば変わるモンだな!」
第3章 デスティニーの彼方
万世橋の取調室。
「なぜコールガール…コールヒロイン?デリヘル嬢ヒロインかな、が検事補のオフィスで働いてルンだ?ってか、君、ホントに"blood type BLUE"?」
「コレ、逮捕なの?」
「私の質問に答えないならね」
泣き出すカレラ・カレル。
「ジャナ検事補はレズビアンで私の顧客だった」
「カレラ。悪いけど信じられないわ」
「1年ほど前からょ。レズビアンであるコトが旦那にバレて離婚され、ずっと1人で寂しかったみたい。だから、デートもほとんど会話が中心。ホントに話すだけだった。私は遠慮したけど、高級レストランにも行ったわ」
信じられないような高級店の名前が出る。
「あの人は"普通の女子会"だと思いたかったみたい。ある日、法律書を持っているのを見られて、私の秘密を知られた。私はロースクールに通うためにデリヘル嬢をしてる。数ヶ月後、自分のオフィスに空きが出来たからインターンにならないかと誘われた」
「売春をヤメろと?」
「と言うより、私を"囲う"気だった」
呆れるラギィ。因みに、カレラは両刀遣い?
「"ダウト"は誰?」
「知らないわ」
「ウソはヤメて」
カレラは、涙を溜めた瞳を大きく見開く。
「マジょ。誰も"ダウト"と会ったコトは無いの。もう売春婦は、街角に立つ時代じゃない。精緻に組織化されていて、仕事は完全にシステム化。"ダウト"は、自分の正体が分からないように完全に隠蔽してる。私達は、独立採算の請負制で仕事し、顧客は番号管理されて苗字もわからない。支払いは、全てクレジットカードだし、私達の給料も全て銀行口座に振り込まれるシステムょ」
「現場のスーパーヒロインからは足がつかないシステムね」
「YES。だから、誰も"ダウト"を知らないの」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
取調室にカレラを残し、捜査本部でラギィと意見交換。
「まさか、ジャナ検事補が"スーパーヒロイン買春"してたとはな(しかもレズw)」
「連日、ハードな仕事漬けで私生活がなかったんでしょう。人恋しかったのょ」
「でも、どうも腑に落ちないな。なぜ自分が使ってる売春組織の捜査をスルんだ?」
ヒラメく僕。
「脅迫してたのはジャナ検事補の方カモ」
「そっか!脅迫された"ダウト"は、義理の兄を通してジャナ検事補を逆に脅迫し返す」
「でも、効果がなくて殺した?」
あくまで妄想だ。状況証拠しかナイ。
「OK、テリィたん。先ず"ダウト"を調べましょ。風紀犯罪班にも話をして連携スルわ」
「ROG」
「ソレからノマン・ジサピを告訴スルから訴状に署名して」
え。聞いてナイなw
「何、その顔?ヤメて。まさか同情してるの?」
「口が達者なストーリーテラーって何だか他人とは思えズ」
「わかった。OK…警部のラギィょ。ジサピの告訴はヤメるわ。ええ、釈放スル。よろしくお願い」
ラギィは、スマホを切り、僕に微笑む。
「2人でお幸せにね。ミユリ姉様には黙っとく」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
捜査本部の外の廊下のソファ。カレラが腰掛けてる。
「大丈夫?」
「いいえ…ヒールが折れたわ」
「当てようか。ソレは、君の家に代々伝わるお気に入りのヒールなんだ」
すると、カレラは潤んだ瞳で僕を見上げる。
「曽祖母が、このヒールを履いて市場時代の秋葉原で女給をしてた」
「やっぱりね。それにしても、君みたいな良い子がなぜ?」
「ねぇ口説いてる?」
僕は、頭を掻く。
「やっぱり古かった?」
「私、青い中古の電動キックボードに乗って秋葉原に来たの。ハンドルがサビだらけで文字通りガタガタのボードだった。でも、今でも覚えてるわ。神田リバーを渡って初めて秋葉原に入った時の気持ち。あの時は、それで全てが上手く行くと思えた」
「ところが、現実は妄想とは違った?」
絵に描いたような不幸が語られる。
「秋葉原で最初の夜、電動キックボードごと持ち物を全てを盗まれたわ。さらに、居候するハズだった友人が突然同棲を始めて早速ホームレス。それでも、何とか1年間、狭い部屋で6名、ロクに食事もせずに生き延びた。いつかは、この国も目を覚ますと…だから、この仕事を勧められた時に思ったの。私が失うモノは、もう何もナイと」
「路地裏の少女?で、そうだった?」
「いいえ、違ったわ…でも、聞いてくれて、ありがとう」
突然立ち上がり去る。入れ替わりにラギィが前を通る。
「テリィたん、お疲れ」
「コレからスピアと会うの?」
「ええ。そうょ」
ダメ元で聞いてみるw
「ついて逝ってもいい?」
「女子会ょ?ダメに決まってるでしょ」
「どうしても、逝きたいンだけど…」
「何をオロオロしてるの?イケてる元カレなんでしょ?」
そうさ。僕はイケてる元カレだw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜"潜り酒場"に御帰宅スルと、ミユリさんが坐禅?いや、ヨガの蓮のポーズ?で座っている…カウンターの上にw
「ど、どーしたの?」
「テリィ様、呼吸です。ソレが全てのポイント」
「スピアが何か僕に隠しゴトをしてルンだ」
ミユリさんは、息を吐きながら薄く右目を開ける。
「私は何も知りません。きっと元カノ同士で何か話がアルのでは?」
「あのさ。書評でも僕の女性心理の描写には定評があるんだけどな」
「わかってます。ソレが誇りですモノ。でも、コレも現実。スピアは、ラギィに憧れてる。賢くて、強くて、自立してるから。ラギィを尊敬してルンです」
そりゃそうだが。
「ミユリさんだって、アキバ中の全腐女子から尊敬されてるだろ?」
「テリィ様、優しい。でも、私はもう20を過ぎました。スピアとは年が離れ過ぎです」
「え。20?」
思わズ口走るw
「話を逸らさないで!テリィ様は怖いのです。ご自分の"元カノ会"の会長が意外と自分と似てるんじゃないかと…」
その時!当のスピアが御帰宅。快活に対応←
「おかえり!ラギィと話したんだって?女子会は楽しかったかな?」
「あら、テリィたん。御帰宅してたの?ラギィって、ホント優しい人ょね」
「だろ?でも、どんな話をしたかを話したくなければ、無理に話さなくても良いんだぜ」
度量の大きいトコロをチラ見せ。すると…
「そう?ありがとう!今宵は疲れたから、お出かけスルわ」
何と回れ右して歩き去るw
「テリィ様、何してるの?追いかけて!」
「待て。ミユリさん、イケてる元カレは、元カノのヤるコトを詮索しない。ソンなの論外さ。だって、スピアを裏切るコトになるンだぜ?だから、こっそりラギィに聞こう」
「何なのソレ?」
僕はスマホを抜く。
「もしもし、ラギィ?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
翌朝。朝焼けに染まる"秋葉原マンハッタン"。
「エアリは、ジャナ検事補と仕事したコトがアルの?」
「何度か。真面目で正義がスーツを着てるような奴ょ…あら、マザラ。元気?」
「エアリ。タマには翔んでる?」
エアリは、ヲタッキーズの妖精担当。背中に羽根がアル。
「マザラ。今も風紀犯罪班で毎日ポルノを見てるの?」
「えぇ。貴女のママさんが出てる奴ょ」
「相棒のマリレ。"時間ナヂス"」
マリレはマザラとハグ。あ、マザラは警察、エアリとマリレはヲタッキーズだが全員メイド服。ココはアキバだからね。
「ようこそ、秋葉原へ。タイムマシンの乗り心地は?…ソレで"ダウト"の捜査をしてるって?」
「何か知ってる?」
「逮捕したのは私。懲役7年で服役中ょ」
おぉ話が早い。
「じゃ今も蔵前橋にいるの?」
「YES。収監したばっかりょ。確実に蔵前橋に入れるよう20年は固い証拠を揃えたわ」
「今も蔵前橋から組織を操ってるのかしら」
マザラは首を振る。
「違う。別の誰かが"ダウト"を名乗って組織のボスになってるわ。フランチャイズって奴ね。名前は"ダウト"でも人間が違うの」
「新しい"シン・ダウト"は誰?」
「ソレがワカンナイ。悪霊のような奴で近づくとパッと消えちゃう。まるで幽霊ょ。去年は5回も令状を取ったけど、身柄確保に行くといつも不思議とモヌケのカラ」
肩をスボめフランス人みたいなポーズのマザラ。
「とりあえず"元祖ダウト"を呼び出してみるわ。マリレ、蔵前橋に連絡して!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
捜査本部に手錠&鎖の"元祖ダウト"が連行されて来る。
制服警官に連れられて取調室に消えるが、入れ違いに僕。
「エアリ、マリレ。ラギィは?」
「署長と秋葉原D.A.の大統領官邸に行ったわ。直ぐに戻るって…何?テリィたん、何か心配ゴト?」
「スピアが何か隠し事してルンだ」
勇気を持って告白!ところが、ヲタッキーズは…
「ソレきっと"覚醒剤"だわ」
「妊娠じゃない?」
「ヤメてくれ!アリ得ない。スピアがどれだけ完璧な元カノか知ってるだろ?」
一笑に付すヲタッキーズw
「テリィたん。寝ぼけたコトを言ってるんじゃナイわ。完璧な元カノだって、裏の顔はアルのょ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
捜査本部の取調室。
「ねぇ"元祖ダウト"、デリヘル組織の話を聞かせてょ」
「もう昔の話だわ」
「司法取引で20年が7年になったそうだけど、普通ジャナ検事補は司法取引には応じないンだけど?」
"元祖"の答えは簡明だ。
「ラッキーだったの」
「そうは思えないわ。何か大きなモノと引き換えに減刑になったのね?」
「本人に聞いてょ」
鼻であしらう"元祖ダウト"。
「でも…死んだわ」
「え。何だって?」
「2日前、殺されたの。おそらく"シン・ダンテ"にね」
笑う"元祖"。
「何がおかしいの?」
「ソレだと自殺になっちゃうからょ」
「自殺?…つまり、ジャナ検事補がが"シン・ダウト"ってコト?」
うなずく"元祖"。
「アタシが奴に顧客リストやコールガールのリストを譲って、その代わり7年に減刑してもらったワケ」
「何だって?検事補がスーパーヒロインの売春を斡旋してたと言うのか?」
「YES」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「まさか、ジャナ検事補が"シン・ダウト"とはなトホホだょコレ」
「そりゃウチの風紀犯罪班が捕まえられナイ訳ね。令状申請は検事補を通す。捜査の話は全部筒抜けだわ」
「テリィたん。離婚慰謝料でジャナ検事補はスカンピンだった。夫に身ぐるみハガされたらしい。今回の犯行は、全てお金目的ょ」
エアリが入って来てシン事実を報告。
「待てょ。全て金の問題だけじゃないだろ?誰もがジャナ検事補の仕事の腕を褒め称える。自分が法を超越した存在だと錯覚し始める。何をしても許されるとね…大統領の反応はどうだった?」
「聞かないで。最悪ょ」
「やっぱり理解出来ないな。ジャナ検事補がシン・ダウトなら、なぜ覆面の男がダウトから手を退けナンて脅スンだ?ソレじゃ自分で自分を脅すコトにナル。もしかして、既にジャナ検事補は"ダウト"ではなかったのカモ」
脳内で妄想が踊る。
「そうさ。きっと"ダウト"とは登録商標みたいなモノだ。そして、コレは"シン・ダウト"から"元ダウト"への警告だ。座を譲らないと痛い目に遭うぞ、ってね」
「テリィたん。立証は出来るの?」
「ソレは、デリヘル嬢ヒロインに聞くしかナイな。ジャナ検事補が"ダウト"だったと、彼女なら知っているハズさ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ジャナ・バクリ法律事務所…の前でラギィを口説く。
「ねぇスピアは何を相談したの?」
「誰にも言わないって約束しちゃったし」
「悪いコトかどうかだけを教えてくれれば良いンだ」
「ダメょ言っちゃったらつまらないわ」
ドアを開けてオフィスに入る。例の事務員風秘書がいる。
「カレラ・カルラさんは、いますか?」
「荷物をまとめています。ウチは、スーパーヒロインのコールガールは雇えないので」
「斡旋はスルけど?」
目をひん剥く事務員風秘書。ジョークだょジョーク。
「おまわりさん?テリィたんも…」
両手で段ボール箱を抱えたカレラ。呼ぶ順が逆だょ。
「事情聴取です。外していただける?」
ラギィに追い払われ、カレラを睨みつけて姿を消す秘書。
「カレラ。貴女、ウソをついたわね?ジャナ検事補がデリヘル組織のボスだったと貴女は知っていた」
段ボール箱を横に置くカレラ。
「だって言ったら私は殺されるわ」
「誰に殺されるの?"シン・ダウト"?ねぇ今のボスは誰なの?答えて」
「ジャナの手下で顧客を見張ってたスーパーヒロイン」
またヒロインかょ。マトリョシカ状態←
「名前は?」
「言えないわ」
「ねぇ貴女はウソしかついてない。ホントのコトを言って。司法妨害罪を甘く考えない方が良いわ。今、この場で逮捕スルことだって出来るのょ」
泣き声になるカレラ。
「私、殺されるわ!」
「そうはさせない。ラギィ警部が必ず守る。捜査に協力してくれれば、だけど」
「私はどーなるの?もう弁護士にもなれない。ジャナが事務所を紹介してくれるハズだったのに。でも、死んでしまった。私をどうやって助けるつもり?ねぇ!おまわりさん、テリィたん!」
だから、呼ぶ順が逆だろうw
「正直なトコロ、もはや誰も君を助けてはくれないだろう。だから、君は自力でやって逝くしかない。そのためにも、新しいボス"シン・ダウト"の名前を言うんだ」
唇を噛むカレラ・カルラ。世界で最も美しいヒッツメ女子。
「君の身の安全は、万世橋警察署のラギィ警部が保証する」
念のためラギィを振り向くと何とプイと明後日の方を向くw
「約束してくれる?テリィたん、おまわりさん」
やっと正当な順番になる。泣いてるのに良く状況を見てるw
「名前はジョノ・ツクスょ。"blood type BLUE"。予知夢」
「ドリーマーなんか怖くない。しかし、ジョノって?」
「ジャナ検事補が警官に命じて連行させたヒロインだわ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
帰りの覆面パトカーの中。
「なぜジャナ検事補がヒロインの犯罪者と手を組むの?」
「デリヘル商売には犯罪者の力が必要なんだ。コレでSF風俗小説が描けるぞ…主人公は、花形検事補。スーパーヒロイン売春の斡旋業務を優秀にこなせると自分では思ってた。ところが、スーパーヒロインが顧客とトラブっても、自分では何も出来ない。検事補としての顔があるからな。そこで、代わりに制裁を下す用心棒ヒロインを探すコトにした。ダークウェブで求人募集も出せるが、幸いジャナの手元には、担当した事件の犯人ファイルが大量にアル」
「用心棒ヒロインの候補者には事欠かないわ。で、その中から、いつも巧妙に服役を免れる、最もズル賢いジョノ・ツクスをチョイス」
ラギィも妄想に加わる。こりゃもう無敵だw
「ソコで!ジャナ検事補はジョノに提案スル。私に協力すれば不起訴にしてあげる。喜んで手下になったジョノだけど、しばらくスルと手下の立場に嫌気が差し"ダウト"の座を狙うようになって顧客リストを奪った。しかし、ジャナ検事補は目立つ行動が取れない」
「だが、諦めず警官に頼んでノックスを事務所に呼びつけ、"ダウト"としての力を見せつけた?」
「ところが、逆効果だった。逆上したジョノは、ジャナの義理の兄を脅迫。ソレに飽き足らズ、ジャナ検事補を殺害し自らが"シン・ダウト"となった」
妄想のキャッチボールの途中で、フト現実視線に戻る。
「でも、テリィたん。全て状況証拠だわ」
「証拠ナンか要らないさ!最高のストーリーだょ。当然ジョノ・ツクスには鉄壁なアリバイがあって…」
「うーんテリィたんの言う通り、ジョノってズル賢い。依頼殺人じゃナイかしら」
スゴい!ラギィって最高の元カノだw
「最高のヒネリだ。協力者には協力者、用心棒には用心棒がいた?素晴らしい!でも、ソレ誰?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
アキバのダウンタウン東秋葉原。高層ビルの谷間に広がるネオン街。ハデな扉が開き左右にイケメンを連れたヒロイン。
「やぁジョノ・ツクス。僕を覚えてるか?」
「忘れた。でも、アンタの彼女の方は覚えてるワ」
「そう。じゃ私から質問スルわね」
ところが、ジョノ・ツクスは応じない。
「質問には、もう全部答えたわ。コレからイケメンとお食事なのょゴメンナサイ、おまわりさん」
「おい。彼女のバッチを見た上での話か?」
「見た上でのYES」
左右のイケメンに目配せする。
「おまわりさんとテリィたんも良い夜を。あぁ腹ペコだわ。すき家の牛鍋でも食べょ(アレは美味いw)?」
「ラギィ、止めないのか?」
「無理。法的には逮捕しない限り、彼女に話す義務はナイの。本人もソレを十分に知ってる」
牛丼屋へと繰り出すジョノ・ノクス。ラギィが呟く。
「イケメンとスキ鍋定食か…」
「よし!ラギィ、逮捕だ!」
「何の罪状で?下手に動けばカレラが狙われる。証拠がない限り無理ょテリィたん」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜の"潜り酒場"。御屋敷は高層タワーの最上階にあり地表から専用EVがあるンだけど、閉じたEVの前に蹲る影。
声をかけると…顔に痣を作ったカレラだw
「テリィたん、ごめんなさい」
「カレラ?殴られたのか?」
「私、他に行く場所がなくて」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
結局ご帰宅しないで和泉パークの冷たいベンチに腰掛ける。
「座って。"外神田ER"に電話しなきゃ」
「待って。ただの痣ょ、大丈夫」
「何処で秘密EVの存在を知ったの?」
専用EVは、サンダーバード秘密基地並みの極秘事項だ。
「だって、テリィたんは大作家だから!出版業界の顧客からやっとのコトで聞き出したの…でも、ツルペタなミユリさんのトコロへ御帰宅しなくて良いの?私、邪魔してる?」
「僕が大作家?そ、そかな、デヘ、デヘヘ(理性流出w)」
「良かった!ツルペタなミユリさんには見られたくなかったの。巨乳娘のこんな惨めな姿…」
突然胸の谷間を"寄せ上げMAX"にして泣き出すカレラw
「(あれ?巨乳系だったっけ?でもスゲェ)その痣はジョノ・ツクスの仕業か?」
「でも、良いの。関係ナイわ」
「良くないさ。ジョノを庇っても巨乳、じゃなかった、君が不利になるだけだ。永遠にジョノに支配されるだけだぞ」
潤んだ瞳(と深い胸の谷間w)で僕を見上げるカレラ。
「どうして、そんなに優しいの?」
「御屋敷の前でキレイなお姉さんが泣いていたら、誰でも優しくなるさ」
「ねぇホントに私はキレイだと思う?」
突然カレラは僕にキス!慌てて身を引く僕。実は…僕はキスって嫌いナンだ←
すると、瞬間計算高い目をしたカレラだったが直ちにモードをチェンジするw
「ごめんなさい!私ったら、つい寂しくて…」
「OK。気にするな。巨乳、じゃなかった、君は傷ついて怯えてる。カレラ。でも、ココでは巨乳、じゃなかった、君は自分らしくしてれば良いのさ」
「ジャナ・バクリ検事補を殺したのは、ジョノ・ツクスょ」
いきなり結論?を急ぐカレラ。ムードも何もナイw
「でも、ジョノ・ツクスにはアリバイがあルンだぜ」
「…とっても恥ずかしいけど。コレを見て、テリィたん」
「何だってーw」
絶対カレラのオールヌード!と思ったら営業中のスマホ画像だ。ベッドサイドで自撮りする半裸のカレラ。その後ろで…
「あの牧師?」
「YES。ジョノ・ツクスが撮れと言ったの。実は、ダニエ・ルミラ牧師は"俺のケツを舐めろプレイ"大好きのスケベな顧客なの。ジョノは、この画像で彼を脅迫して、自分のアリバイを証言させてたのょ!」
「許せん(デリヘル嬢にケツを舐めさせるのはw)!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
翌朝。"秋葉原マンハッタン"の摩天楼が朝焼けに染まる。
「おはようテリィたん。早いのね。good-by morning?」
「ラギィ。ジャナ牧師を殺したのはジョノ・ツクスだ」
「へぇ。でも、アリバイは?」
早朝出勤して来たラギィが着席スルのを待ち画像を見せる。
「コレさ。つまり、牧師も生身の人間だったってゆーツマラナイ話だ」
「テリィたん…この画像、何処でゲットしたの?」
「カレラからもらったンだ」
愚かにもココで胸を張る僕。あぁ我ながら嫌にナルw
「2人きりで会ったの?!」
「(あ、しまった!)え。うーんマァその…」
「彼女は、殺人事件の重要参考人なのょ!わかってる?」
ヤバい!ラギィの目がタチマチ三角w
「モチロンさ!」
「ソレなのに何処で会ったの?」
「公園のベンチ」
最悪の階段を転げ落ちる僕w
「デリヘルを公園に呼んだの?」
「待て!殴られた彼女が…」
「何で通報しないの?」
もう口を開くだけ傷口が…
「だから!"外神田ER"へ連れてった後、直接ココに来たンだ。ラギィを驚かそうと思って」
「タップリ驚いた。もーいーわ!後で(ミユリ姉様と)ジックリ聞くから!…エアリ?ジョノを引っ張って」
「ROG」
スマホを抜き指示を飛ばすラギィ。
「ヲタッキーズにジョノ・ツクスを尾行させてたのか?」
「悪い?でも、私はデートなんかしてないわ」
「僕もしてナイょ!」
ラギィは、僕の魂の叫びを鼻で笑い、楽々とネジ伏せる。
「フン。どーせトッテつけたよーな"寄せ上げ谷間"にでも釣られたンでしょ!私やミユリ姉様がツルペタだからとか何とかバカにして!」
「いや、ラギィのコトは逝ってなかった」
「極悪よっ!」
ごもっともw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「ラギィ、ヤバい!ジョノが逃げた!自宅は空っぽw」
「マジなの、エアリ。"外神田ER"のカレラが危ないわ…もしもし?昨夜、打撲で入院したカレラ・カルラと話をしたいのですが、本人と話せますか?…え。スーパーヒロインが連れて帰った?いつ?」
「スーパーヒロイン"ジョノ・ツクス"を緊急指名手配!秋葉原から出すな!彼女は予知夢!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
万世橋を出禁になった僕は、今度こそ御帰宅して黄昏ている。ミユリさんがカウンターの中から心配そうにチラ見スル。
スマホが鳴る。
「おかけになった電話番号は、今、ショゲております…」
「テリィたん!私、捕まった!」
「カレラ?今、何処だ?」
僕のスマホから切迫した声が流れる。
「私、殺されるわ!」
「テリィ様、スマホをスピーカーに。カレラさん、何処にいるの?ソコから何が見える?」
「あら。その声はムーンライトセレナーダーね?お久しぶりじゃナイの。お元気?」
知らない女の声。ジョノ・ツクスか?カレラの絶叫w
「テリィたん!私、どうすれば良いの?!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「最高検察庁から光速で勅許が出て、さっきのコールを逆探知したら、この連れ込みだったわ」
安っぽいネオンが明滅スル路地裏を対ESP完全装備で進むラギィ、エアリ、マリレ、ミユリさん、そして最後に僕w
僕は"SF作家"と大描きした特別ヘッドギアを装着←
「支配人は、良く似た男が今朝チェックインしたと証言してます…あ。テリィ様はココまでです」
「いや、僕も逝くょムーンライトセレナーダー」
「…では、私の後ろに」
先頭を行くラギィが構える、ショットガン型の音波銃は、あらゆる錠前を吹き飛ばすので"マスターキー"と呼ばれるw
「止まって!」
女の絶叫!音波銃の発射音!ラギィがドアを蹴破り突入!
「万世橋警察署!万世橋警察署!動くな!」
部屋の中には、音波銃を手に立ちすくむカレラ。そして…
「ジョノ・ツクス?しっかりして…死んでるわ」
「カレラ!大丈夫か?」
「テリィたん!私は大丈夫ょ。でも…」
壁にもたれ立ちすくむカレラ。
「私が殺した!私が撃ち殺した!」
「大丈夫!もう大丈夫だょカレラ!」
「突入に気づいたジョノが気をとられているスキに、音波銃を奪ったの。私は、ジョノに止まれと言ったのに、彼女は止まらなかった。なぜ止まらないの?私、止まれって言ったのに…」
壁沿いずり落ちるカレラ。僕は彼女を抱き起こす。
第4章 因果律の彼方
その夜の"潜り酒場"。メイド長に絡む僕←
「彼女、大丈夫かな?」
「罪には問われないないでしょう。起訴は免れルンじゃナイですか」
「うーん彼女自身のコトだょ。心の方さ」
ミユリさんの心臓を指差す僕。
「(また私やラギィがツルペタだとか逝うのかしらw)メイド風俗に携わる女子の多くは、幼児期に問題がアルそうです。意外に根が深いのですょテリィ様」
「でも…希望はアルと思いたい」
「テリィ様。実は、最初から気になっていたのですが"禁酒会"って神田同朋町にアル御屋敷の名前です。あの牧師は多分コスプレで、教会を地上げして、居抜きでレンタルカフェにして儲けるアキバの地面師だって聞いたコトがあります」
ミユリさんスゲェ。アキバの隅から隅まで…その時!
「ミユリ姉様!ミユリ姉様はコチラ?ココはメイドの駆け込み寺って聞いたけど!私は姉様のTOのテリィたんとも手錠プレイをした仲なのょ!通して!」
またまた厄介事がメイド服を着てやって来るw
「スピア、御帰宅させて良いょ。ヲタ友だ」
「ね、聞いたでしょ…テリィたん、ありがとう!でね、私、
鍵師の学校に入れそうなの!」
「そりゃヤバいな!」
便利な言葉、ヤバい←
「で、あと必要なのはSATOからの推薦状なの。頼むから、司令官に描いてもらってょ!」
「え。そりゃ無理だろ?確かに"blood type BLUE"だけど、ジサピは犯罪者だろ?SATOだって責任持てないぜ」
「テリィ様。今、何て?」
ミユリさんの鋭い視線。マズい!またしても何か失言かw
「えっと、確か、うーん"責任持てないゼ"だったかな」
「テリィ様。ラギィに言われてウチのエアリとマリレがジョノ・ツクスの尾行を始めたのはいつでしたっけ?」
「イケメンとバーを出て来た直後からさ」
ミユリさんは何かヒラメきそう。どーやら僕とは関係ナシ?
「エアリ達は、一晩中、追跡してたのですか?」
「YES。ただ、午前2時頃帰宅したらしいけど」
「テリィ様、ソレでは彼女はカレラを殴れませんね」
あ、そーだな。さらに素っ頓狂な声。
「あら?テリィたん、ホテルの鍵がかかってナイょ」
僕の開き放しのPCを指差すジサピ。画面は、先日の連れ込みホテル突入時の画像でラギィが蹴破ったドアが映ってる。
「何?何だょジサピ?」
「ほら。コレ、ドアを蹴り破って突入した画像でしょ?もし鍵がかかっていれば錠前全体がぶっ壊れてるハズなのに見事に無傷だわ」
「おいおいおい。中には人質を閉じ込めてるのに、鍵をかけナイなんてコトあるか?」
僕とミユリさんは、カウンター越しに異口同音。
「カレラは人質じゃなかった!」
「ミユリさん、全てカルラが仕組んだコトなんだ」
「テリィ様、ジャナ検事補は、デリヘル組織の運営に彼女を雇ってたのでは?」
一方、デリヘル嬢としても上玉のカレラは正に才色兼備w
「結果、皮肉なコトに彼女はデリヘル組織に関する全ての情報を入手、顧客リストも盗んで用心棒のジョノ・ツクスと組んで組織を乗っ取ろうとした」
「ところが、食い下がるジャナ検事補を用心棒のジョノが殺したコトから歯車が狂い出す」
「カレラは、ジャナ殺害の罪を被せるためにジョノを殺害。正当防衛に見せかけるため、自ら暴行されたとウソをつくため、深夜にテリィ様を待ち伏せ」
うーん彼女に最もナメられてたのは…僕かw
「ミユリさん。僕は彼女に同情しちゃったょ」
「テリィ様だけではナイです。今回の関係者全員が、です」
「ミユリ姉様、私は違うわ」
ムダに胸を張るジサピ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
松住町架道橋に近いファミレス。リッチなサークルソファ席を間断なく高額注文を浴びせて独り占めしている金髪美人。
「はい。御希望は?」
「"ノートリアス・キャンディ"はいる?」
「YES。もちろんおりますわ。今回はどんなコスプレで?」
コーヒーを注ぎに来たウェイトレスを手で追い払う。
「三角ビキニ。ハイウェストで」
「わかりました。顧客コードをお願いします…はい、確認しました。カード情報に変更はありますか?」
「ブラックカードになったンだけど」
ほくそ笑む金髪美人。
「おめでとうございます!ソレでは、セクシービキニの"ノートリアス・キャンディ"は7時に伺います」
ワインを1口飲む。また着信がアル。
「ようこそ。御主人様、今宵の御希望は?」
「スーパーヒロインを探してルンだ」
「たくさん控えています。お好みのタイプは?」
1瞬の間が空く。
「サビだらけの青い電動キックボードでアキバにやって来た子がいるかな?」
「…テリィたん?この番号をどうやって?」
「出版業界の友人から聞いたンだ」
追い詰められた女豹はユックリと牙をむく。
「ガッカリさせて、ホントにゴメンナサイ!もう少しお金が必要なの。だから止められなくて…」
「カレラ。まだウソをつき続けるのか?」
「とっくに予知してた。くらえっ!」
振り向きザマにカレラの掌から稲妻がほと走り、背後から近づいた僕とラギィを直撃!全身がシビれて床に崩れ落ちるw
「しまった!予知夢に先を読まれてたわ。しかも"電撃使い"だったとは!私、負けましたわ(回文)」
「万世橋警察署も大したコトないわね、ラギィちゃん。トドメょ!」
「おっとソコまで。私の"雷キネシス"で黒焦げになりたいの?…テリィ様、お願いします」
勝ち誇るカレラの側頭葉にピタリと掌を当てたムーンライトセレナーダーがいる!僕は何とか御約束のキメ台詞を吐く。
「ぼ、ぼ、僕の元カノに手を出すな!」←
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「ホント感心スルょ。僕も簡単に騙された。しかし、悲しいコトだね。君は心を腐らせ、天から贈られた美貌を無駄にした。人との間にATフィールドを張り、最終的には君自身が、そのフィールドの中から出られなくなってしまったんだ」
「ひとりぼっちには慣れてるの。ほっといて」
「さぁ立って。貴女には黙秘スル権利がアリ…」
エアリに手錠をかけられ、僕を睨みつけながら連行されて逝くカレラ・カルラ。入れ違いにラギィがやって来る。
「テリィたん、ありがとう。私を守ってくれた」
「いや、ラギィを守ったのはムーンライトセレナーダーだ。僕はラギィとフロアをのたくってた笑。見てたろ?」
「…私、テリィたんの最高の元カノになる」
え。どーゆー意味だ?
「だ・か・ら…明日から覚悟してね」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜の"潜り酒場"。
実は、もう10年近く僕はブログを立ててルンだけど、ミユリさんと写メを選んでいたら、背後からスピアが抱きつく。
「何だょ(スイカみたいなバストでw)?」
「ううん。ただ、テリィたんが最高の元カレだから」
「そのセリフ、聞くのは今日は2度目ナンだけど」
スピアは取り合わズ、自分の都合だけしゃべるw
「私が何か隠してると知っていたのに、テリィたんは詮索しなかった」
「そりゃ…いつか話してくれると信じてたからな」
「今、話すわ」
僕はスマホの電源を落とし、ミユリさんは…微笑んでるw
「月面留学のプログラムがあるの」
「月面?ス、スゴいな!」
「期間は3週間だけど…テリィたんがサンタクロースになって御町内を回る時期と重なる。それで、留学経験のあるラギィに行く価値があるかどうかを相談してみたの」
な、な、何でソンなコトを相談スルんだ?
「ラギィは何だって?」
「長い人生には色々な変化がアル。今の内に変化に慣れるのも悪くナイって」
「うーん賢い人だな」
で、どーするの?月に逝っちゃうのか?
「そうね。でも、行かないコトにした。テリィたんのサンタクロースを見たいから」
僕は、スピアをハグ。
「とりあえず、アイスクリームでお祝いしよう」
「スピア。バックヤードの冷蔵庫に業務用アイスを冷やしてあるから、持って来て。みんなで食べょ?」
「ありがとう、ミユリ姉様。私、取ってくるね!」
子供みたいに走り出すスピア。すると、微笑みながら見送っていたミユリさんが、急に声を落として、耳元でささやく。
「テリィ様。ムーンライトセレナーダーのコスプレで御相談がアルのですが…やはり、ハイウェストの三角ビキニ。テリィ様、あーゆーのがお好きなのですね?」
「え。いや、別に…アレは」
「ムーンライトセレナーダーのコスプレ、変えますか?出来ればビキニタイプは避けたいのですが」
かつて、スーパーヒロイン同士の対決で、ミユリさんは相手の執拗な腹パンチ攻撃を受けて無惨に敗北したコトがアルw
「でも、どーせなら、お好みに合わせようと思ってます。ヒロインの敗北シーンはヒロピンのお約束。テリィ様もお好きでしょ?あ。あと手錠プレイもお好きなの?今まで存じませんで失礼しましたが、もしお好みならオプションで…」
「いや、たまたま相手がリクエストして来ただけさ。でも、せっかくだから…」←
「やっぱり来年の夏、テリィ様が聖地にお戻りになってからで良いですか?だって、コレからは寒い夜が続くので」
おしまい
今回は、海外ドラマによく登場する"コールガール"をテーマに、元カノ次長検事の懐刀だった敏腕検事補、その義理の兄、スーパーヒロインのデリヘル嬢、用心棒のスーパーヒロイン、禁酒会の牧師、鍵師志望のメイド、"ダウト"を追う超天才に相棒のハッカー、ヲタッキーズに敏腕警部などが登場しました。
さらに、主人公と元カノ達との微妙な関係などもサイドストーリー的に描いてみました。
海外ドラマでよく舞台となるニューヨークの街並みを、ヲタクの聖都から普通の国際観光都市へと脱皮しつつある秋葉原に当てはめて展開してみました。
秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。