フタリ(夢)
夢はそんなに長くしなくていいなと思いました、のでこちらは2000字程度になります。
「全く、君の好きな人の前でイチャつくなんて拷問にもほどがあるってものだよ」
それ言い始めると彰人の惚気とか一番刺さりそうなもんだけどな。
「いやいや、君が嬉しそうなら私も嬉しいよ?けど…イチャつくのは…もやってする」
そんなもんか。
「そんなもん」
現在。夢、寝て気付けば放課後の教室のワンシーンのような場所にいた。
「君はこういうシチュエーションは好き?私こういうのに憧れててさ、君が真面目に作業してるのを眺めるの、たまにちょっとちょっかいをかけたりして、少し嫌がってる素振りだけど実際に嫌とは思わない、みたいな?」
だから日誌が置いてあるのか、ペンも鞄も無いが。
「そんなの君が望めば出てくるよ」
ふむ、と念じてみると手元にペンが現れる。
「夢だからね、ある程度…というか結構自由だよずっと体育館裏も飽きたでしょ?」
なら毎回シチュエーションを変えればよかったのでは?
「そしたら君はなんか告白する夢だな程度に思っちゃうでしょ?私は同じ夢で同じ少女が同じ言葉で告白してる、何だこの夢は?って私のことを考えさせようとしただけなんだから、ちょっと意地悪しちゃったの」
事の真相は思ったよりもシンプルだったんだな。
「でも他の子と付き合っちゃったら、あの夢のまんまだったらすぐに関係ないものって感じて私のこと考えなくなるかなー、って思ったら、変えちゃった方がいいよねって」
嫉妬ってことか
「そういうこと!出来ればすぐにでも別れて欲しいけど…まぁ君が嬉しそうな顔してるのに私と付き合えって虫が良すぎるし、君は嬉しくないでしょ?だから君の意思で選んで欲しいなって」
いやそれならさっさと告白…してたはしてたのか
「そうだよ!?君が受けなかっただけなんだからね!」
俺悪いのか…?どう考えても夢で応対出来ると思う方が難しいだろ
「…うーん、まぁそっか?でも私は何年も想ってるのになんで会って1年も経ってない…いや亜美ちゃんの悪口はやめよう、君に嫌われるのは嫌だしね」
…なぁ千歩、そもそも何故俺なんだ?
「ん?なぜか?……んー、それはね、内緒かな、だって君が覚えてないことを言われても君は納得しなそうだし」
覚えてない?
「そう、君にとっては些細なことだよ、道端で誰かを助けたみたいな、それくらいのほんの小さなことが理由だよ」
そうか
言葉の裏に何かもっと重いものを感じたが、彼女はもうこの話をしたくなさそうなので話題を変えることにした。
ところで、俺はこの日誌、書いた方がいいのか?
「ん?別になんでもいいよ、君との時間をいっぱい過ごすための口実ってやつだから」
じゃあ今日起きた話をしながら書くか。
「いいね、今日の出来事を教えて欲しいなせっかくだもん、君の言葉で」
今日の出来事を話しながら日誌を書く。
「君はやっぱり亜美ちゃんが好きなの?」
好きかどうかは知らない、けど、付き合ってる子がいるのに他の子と付き合うのはダメだろ?常識的に
「でも、夢だよ?まぁここまで来ると夢らしくないんだろうけどさ」
明晰夢だったか?
「さぁ、もしかしたら誰かの見てる夢に入ってるだけかもね」
胡蝶の夢、とは違うか。あくまでもこれは夢なのは確実なんだな
「そうだね、君の見てる夢に現れる謎の少女千歩ちゃんの方がキャラはたつでしょ?」
そう言って彼女は微笑んだ
現実と夢を繰り返し書いてく予定ですね。
夢は毎日見るものです