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フタリのカノジョ  作者: TKsunder
2/18

フタリ

書き溜めしないタイプなので頻度はまばら

「夢…」


夢にしてはあまりにもリアルすぎた、いやむしろ現実だと言ってくれた方がまだ笑える話だと言える。

あの子は誰だ?千歩と名乗っていた気がするが…


ただ知っている。いつも夢で見ていたのはあの子だ、間違いない、声も顔も全て見ていた。


なら何故…何故夢の内容が変わった?


「考えても…仕方ない、か」


そもそも朝は忙しいから考える時間もなかった。


「ん?メッセ…あ、亜美さんか」


内容を見るとどうやら今日一緒に学校に行きたいとの事だ。


「もちろん、いいよ、昨日別れた場所に待ってるね」


OKのスタンプを貰ったのでいつものように準備を終える。

一応昨日も軽くメッセをしたが特に何もなかったので今日は彼女の分は作ってない。


「さて、そろそろ行くか」


いつもより早めに家を出る。女の子を待たせるのは男のやるべきことでは無いしな。


ーーーーーーーーーーーー


「まぁ、まだいないか、待つのはいい、待たせるよりいい」


と、スマホを取り出し、来るのを待つことに……


「いや……それより今すべきでは?」


そういえば夢の件を思い出した。

幸いまだ来ていない、待つだけの時間ならばこういうことに思考を使える。


さてまず前提から考えるべきだろう。

まずあの夢に関してだ、一応整理するために事の発端から整理しよう。


見始めたのは…確か小学2年…?8歳かそこら辺だった気がする。当時のこと…しかも夢のことなんて思い出すことすら出来ないが初めて見た時のことは今もしっかり覚えている。


確かその時は高校ではなく小学校の裏庭と呼ばれるところ…人気のないところで女の子が誰かに話しかけている夢だった。改めて思い返すと恋人のような関係ではなく友だち同士の何気ない会話のような気がしてきた。

中学に入った頃に夢に変化が訪れた、背景が中学校に変わったのだ、場所は体育館裏…人気のないところという共通点があり、内容も男子女子別れてしまう、ような感じなのを覚えている。


「高校に入ったら…一昨日の夢みたいに告白に変わったんだったな…」

「一昨日の夢?告白?告白したのは昨日だし、夢じゃないよ!」

「あ、亜美さん、おはよう」

「うん、あなたの彼女の亜美だよー!で何の話?」

「いや、一昨日、夢で告白される夢を見たのが昨日現実になって驚いたな、って」


多分、この夢の話は、誰かにするべきでは無いと俺の中の感覚が告げている。

きっとコレは「俺自身」の問題だ。


「正夢かぁ、いいなぁ私あんまり夢見ないんだよねぇ」

「え?夜更かし?夜更かしは健康に悪いよ?」

「違いますぅ、ちゃんと寝てるけど…あんまり夢を見た記憶ないんだよねぇ」

「へぇ?夢見る乙女なお年頃なのに?」

「む、なんか扱いが恋人に対してっぽくないなぁ?妹とかいる?」

「一個下に1人いるよ」

「へー?今度紹介してね」


とそれから雑談をして学校へ歩いていく。


「好きな食べ物とかは?」

「んー、鮭とか好きかな」

「おー、肉じゃないんだ!今どき肉より魚な男の子は珍しいぞ?」

「鮭は安いし美味しいし焼いても蒸してもイけるから……ほら肉は焼かないとちょっと怖いし、値段が…高いでしょ?」

「思ってたより主婦目線の回答だった」


と他愛ないことを話してるとあっという間に学校についた。


「もうついたんだ、なんか早く感じるな」

「そりゃ嬉しい時間は一瞬って言うからね!いやー私との時間が嬉しいだなんて、私も嬉しいよ!」

「改めて思ってたけど朝からテンション高いね」

「そ、そりゃ…恋人と、一緒に学校に行けるのが、嬉しくて…」


は?可愛いんだが?…はっ、あまりに突然の出来事に素で言いかけた…危ない危ない。


「そう思ってもらえて彼氏冥利につきますね」

「彼氏!?おい颯太どういうことだ!?」

「うっわ、めんどいのにバレた」

「あの人は?」

「あいつは友だちの彰人…なんだけど…今は友だちって言いたくないかな」

「それは……そう思っても仕方ない、ね?」


なんかニコニコして近づいてくるからなんか笑って近付いてくるタイプのホラーって狂気的な怖さとか言うけどそんなことなくね?とか思ってた自分をぶん殴りたくなるレベル。


「おいおい、昨日彼女作る気ないとか言ってたくせにその日に作るとか!お前は自分の言ったことが毎回綺麗に裏返るな!前なんて「別に…俺じゃない誰かがやるだろ。俺は嫌だ」とか言って仕事を見て見ぬふりしたら先生にその仕事任されてたしよ!ほんとにお前は生粋のエンターテイナーだな!」

「あぁ…うん、そういやソダネ…」


言われてみれば思い当たる節しかなかったのでもう黙ってようかな…。


「で、えーっと…君は…?」

「あ、亜美です…」

「亜美さんね!よろしく!俺はこいつの友だちの佐々木彰人って言うんだ!よろしく!」

「あ、はい…よろしくお願いします」

「無視していいよ、こいつ、ウザ絡みしかして来ないから…早く佳代に持ってってもらおう」

「佳代?」

「こいつの恋人兼ストッパー、多分そろそろ来る」

「彰人?私という可愛い彼女がいながら何ほかの女の子に話しかけてるの?」

「いやいや、颯太に恋人ができたんだぜ?気になるに決まってんじゃん!」

「いや、それは気になるけど少なくとも大衆の面前ですることではないでしょ!」


「「「……、あ」」」


俺も亜美さんも彰人もそういえばここが正門で、しかも登校時間ど真ん中の時間であることを完璧に忘れていたのだった。


ーーーーーーーーーーー


「いや、本当にごめん!いやマジで!」

「うん、いや…もういいよ…」


俺は教室入って早々かなりの質問責めにあってしまい、昼休みようやく人の波が消えて既に身体に疲労感が濃厚に出ていた。


「いやー、マジで彰人がごめん、後で謝罪の気持ちは渡すから」

「佳代さん…それならコイツを何処かに…うるさくてうるさくて…もうこいつの声が耳に響いてしょうがな…」

「でもそうしてもいいんだけどそしたら今度亜美ちゃんと二人きりになるよね?あの群衆から亜美ちゃん守れんの?」

「…、……うん無理」

「じゃ諦めなさい」

「姉御ぉ…」

「姉御やめろ」


マジで頼りになりすぎる……佳代さん…今度から姉御って呼ぶことにしよ…

現在の状況は姉御と彰人、亜美さんと俺の4人で席を囲んでいる状況だ。


「…疲れた。特に同じグループの子たちがめっちゃ聞いてきて…」

「ま、恋人出来れば気になるでしょ、ほら今は守ってるから安心して」

「あねごぉ…」

「うん。お姉ちゃんだよ」

「態度が違うし、そこは受け入れるんだ…」

「元凶は黙ってなさい」

「はいすみません」


ちなみに俺と彰人、佳代は同じクラスであり、亜美さんだけ隣のクラスである。


「まぁ人の噂も75日って言うし、すぐに落ち着くでしょ」

「まぁ学年1の美少女が陰キャと付き合った!とかならもっと続きそうだけど…そんなことないしな」

「俺の中ではいちばんかわいいが?」

「うん、全面的に颯太に同意するわ」

「は?佳代の方が可愛いし」

「やめて…恥ずかしいから」


照れたりする、そういうとこが可愛いんだけど、まぁいい。


「お、颯太が惚気けるとは、珍しいな」

「珍しくないだろ、溺愛度で言うなら妹も大概のはずだが」

「なんでお前はそういうガチトーンで言えるんだ……?」


何故彰人が惚気ける回数多いのに俺の惚気話に割と引き気味なのか理解に困る。


「可愛いものを可愛いと言わないのは可愛い子に失礼だろ」

「うんうん」

「…たまに起こる颯太と佳代の分かってる感じは何?」

「多分…素直、なんじゃないのかな」

「ツンデレは古い、想いを伝えないから負けヒロインになるんだ」

「そう、別に好きじゃないんだからねっ!は文字上は好きなんだなってなるだろうけどリアルで言われたら、好きじゃないのかって普通に感じるからね」

「わかる、佳代さんやっぱあんたは理解が広い」

「伊達に彰人と末永く付き合ってないからね」


どちらかと言えば佳代さんはクーデレタイプなんだよな…、正直彰人の惚気聞くより佳代さんが惚気けてる方の印象が強い、まぁあいつに関しては基本ずっと惚気けてるから「またか…」が勝ってるのかもしれないが


「そういえば、どっちから告白…亜美ちゃんか」

「まぁ別に作る予定なかったからな」

「なんで受け入れたの?顔?」

「本人の前で言うのか…まぁいいけど」

「え?私は良くない…んだけど……」

「諦めろ、こいつは真面目だ、タチの悪い方のな」


まぁ正直カレカノ関係など俺にとっては確かに不要なものではある。が、そこはそれ。頼まれたから、というのも理由の一部でしかなく、本質では無い。


「…別に、俺は作る予定は無くても誰かから告白されたら興味本位では付き合うとは思うんだよね」

「まぁ…受け身なだけでコイツ、惚気話は楽しそうに聞くしな」

「でも俺、好きの感情って分からなくて」

「惚気以外の色恋の話は毎回興味無さそうよね」

「俺の事好きって言ってくれるなら好きをその子から学べるかなーって」


亜美さんは机に突っ伏している。耳がすごく赤いから照れてるのかもしれない。


「まぁ颯太にしちゃ妥当すぎる理由だな」

「確かに面白みは無いわね、けどそれが1番いいのかもね」

「相思相愛じゃないなら、そうなろうとする努力は、コイツらしい」

「全く同意だわ、私が言うのも良くないだろうけど割と颯太は優良物件だしね」

「そうそう」


何故このふたりは後方親ヅラするのか…いやまぁ嫌な気はしないが。


「こいつほどのクーデレはいないな」

「そうね、頭良くてそこそこ運動できて家庭的な面を持ち合わせて顔も悪くない、そして想いに対して真摯に向き合うと来た。よくこんな原石見つけてきたわねって亜美ちゃんを褒めてあげたいわ」

「……」


頭良いのか俺、学年テストとか順位貼られてるらしいけど1回も見たこと無かったな


「俺頭いいのか?」

「良い方だぞ、めちゃくちゃ、学年10位以内に毎回入って…あぁそうだ、お前はそういうのに無頓着すぎて毎回テストの順位とか見てないな…」

「え?」

「え?」

「へぇ、そんなだったのか」

「…丸井くん、可哀想に」

「そいつの話はやめてやれ、丸井くん不登校になるだろ」


丸井…確かガリ勉くんとか呼ばれてた人か。あの人はかなり頑張ってるらしいしな、


「丸井…頭いい人だよな、頑張って勉強してるの見た事あるぞ、いいよな熱中出来るって」

「わお無自覚」

「颯太はこういうやつですよ佳代さん」

「これじゃ丸井くんが報われないわね」


とその後は何故か二人が丸井くんを憐れむ会話が続いていた。ちなみにその隣であまりの恥ずかしさにショートしてたのか亜美さんはすごく穏やかに寝ていた。うん可愛いね。

ちなみにここに書いときますが颯太は普通に学年一位です。丸井くんは頑張ってますが勝てません、丸井くんはいつか定期テスト回辺りで出します多分、忘れてたら丸井…不憫なやつとでも思っといてください。

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