異世界人3
「それで? バララスラの勇者たちは無事なの?」
「うむ、それは問題ない。あの猫何者なんだ? ペットにしては下手な異世界人より強いぞ」
「ああ、君には言い忘れてたね。ほら、あの猫長老いたじゃない?」
「ん? ああ、あのでかい猫妖精の長老さんか。可愛かったなぁ」
「うん今気にするのはそこじゃない。彼が教えてくれたんだけど、あの猫、ミアは、女神様の加護を受けた神獣のようなものかな?」
「なるほど、それは強いわけだ」
教会で話をしているのは、異世界人同盟のリーダーケイジと、バララスラの勇者フィオナの旅が危なくないよう見守る役目を帯びた男、レード・スミスだ
レードは気配を全く消してしまうスキルの持ち主で、こういった仕事に向いている
性格も紳士であるため覗きなど、プライベートの侵害の心配もない
ただフィオナ達を守るために付いている
もちろん遠く離れた彼女たちの元へ彼を送るのはアンジュの役目だ
「そういえばあの子達、ユウリと会うみたいだ」
「あー、あの子か。だ、大丈夫それ?」
「まあ大丈夫だろ。風呂は・・・。二週間くらいかもしれん」
「う、あの子まだそんなことしてんのか」
「まあ発明に夢中になると何もかもそっちのけになるからな。一応栄養は自分で発明した装置で取ってるみたいだが・・・。だったら自動で体を洗浄する装置でも発明しろって話なんだが」
「あの子絶望的に風呂嫌いだからなぁ」
「ともかく勇者と会う前には香水を振りかけては、うん、いたんだが」
「もう会ってしまったものは仕方ない。なるべくその香水の効果が長く続くことを祈ろう。引き続きフィオナちゃんの護衛頼んだよ」
「ああ」
「あ、話終わったのね? じゃあいこうレードさん」
「うむ、ありがとうアンジュ」
アンジュはまたレードを勇者たちの元へ送るため、能力を使った
「いいよなぁこの能力。俺と違って便利で」
「いやレードさんの力も大概だと思いますけど? 誰にも気づかれず背後を取れるなんて怖いですって」
「地味、なんだよなぁ」
彼の顔立ちは決してイケメンというわけではなく、かといって目立った特徴もない
人ごみに紛れればどこにいるのか分からなくなるほどだ
それもあってか、彼は自分自身の地味さに結構悩んでいるのだった




