旅12
観光の目玉でもあった銅像が魔物だと分かったことで街は騒ぎになってはいたけど、二日ほどでそれは落ち着いた
むしろ私達があれと戦った荒野、そこの戦いの跡が新しい観光の名所になりそう
なにせフィオナちゃんが放った勇者の力、光の螺旋となったあの光線のような攻撃の跡がガッチリついてて、地面の土がガラス化するほどの高火力だったから、跡がキラキラと輝いて綺麗なのよね
そこは勇者の聖地として語り継ぐとかなんとか
フィオナちゃんはやめて恥ずかしいって言ってるけど、勇者としての活躍が認められるのは私も鼻が高い
ともかくこの街での情報収集は終わった
魔王が確実にいることも分かったし、やっぱり帝国は魔王によって侵略され、乗っ取られたと見て間違いない
色々謎はあるけど、今分からないことは考えたって仕方ない
気を取り直して次の街へ向かおうって話になった
次に行くのはこの商業都市マーハンから東に向かったローリュという都市に向かう
ローリュは観光都市で、バックに大きな滝が見える水の都らしい
街を走る水路にゴンドラ
ベネツィアみたいな感じかな?
マーハンからローリュまでは乗合馬車が通ってる
この馬車で一日半くらいの道のりだって
途中には宿町もあるから安心
「あ、もう馬車来てる」
エルヴィスが指さした方向には大き目の馬車が二台止まってる
それを引く馬のまた大きなこと
私が小さいから余計大きく見えるんだろうけど、五メートルはあるよ
「ギガホースだ。初めて見た」
この馬はギガホースと言って、かなり大型な馬
その馬力も途轍もなくて、数トンもの荷物を運べるらしい
おっきいけど目がつぶらでおとなしくてカワイイ
「すごーい、可愛い!」
おお、メアリーとフィオナちゃんが大興奮
ギガホースに抱き着いてる
「お嬢ちゃんたち、乗るなら早くしないともう出るよ」
「あ、ごめんなさい!」
御者さんに言われ、私達は急いで乗り込んだ
おお、この馬車椅子がふかふか
乗合馬車でこんなにいい椅子使ってるとは、さすが国営
この国の乗合馬車は全て国営で、旅を快適にできるから観光客も多い
名所もたくさんあるしね
こんな時勢じゃなかったらたくさん観光したいところだよ