勇者1
「へぇ、バララスラの勇者、動き出したのね」
「異世界人同盟が早速協力関係を結んだって話。何せかつてその配下の数で圧倒的力を誇っていたバグクイーンを討伐した勇者、その娘って話だから」
「ふーん、女の子なんだ。仲良くなれるかも」
「まあ女の子の勇者って、君含めて三人しかいないもんね」
この世界の勇者は実は一人だけではない
様々な国で生まれ、時には協力し、時には競い合って魔王を討伐する
あまりに強大な場合はもちろん多数の勇者が協力し合って討伐することもあった
彼らが勇者認定されたのはフィオナと同時期
彼らの方が若干速く認定され、年も上であるため先んじて勇者としての活動を始めていた
勇者は誰もかれもが人格者であり、人々のために戦える
むしろそうでなければ勇者という称号はいただけない
「それで、会いに行くの?」
「いや、邪魔しちゃ悪いからまだ会わない。どうせここにも来るだろ」
「グルリシアが合わないなら私が会いに行こうかな?」
「やめとけやめとけ、お前にいきなりあったらあっちは心臓発作おこすだろ」
「どういう意味よ!」
二人の勇者はそれぞれ別の国の勇者だが、国同士が隣であるため度々会っていたため、今では親友と言ってもいい間柄になっている
少年の方はグルリシア
天の勇者と呼ばれ、エルフ族
エルフの国の一つ、アルドシア国の勇者である
少女の方はマーナ
水の勇者と呼ばれる清らかな水人族の乙女
初めて見た者はその青い肌と手足の魚鱗にぎょっとすることはあるが、キラキラと輝く魚鱗が美しい種族だ
アルドシア隣国、水人族の国であるピュレイア王国の第三王女兼勇者
つまりフィオナと同じく勇者姫でもある
二人の仲の良さはいずれ結婚するのではと言われるほど
そしてお互いまんざらでもない
勇者として二人はバディを組んでいるため、まるで踊りを踊るかのような連携ができる
二人の勇者はお互い笑い合いつつまだ見ぬフィオナについてどのような人物なのかを予想し合った