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異変1

「んにゅあ、ボク、この街の人じゃない人にご飯をもらったんにゃ。すっごくおいしくて、いっぱいもらって、お腹いっぱいににゃったから寝たんにゃ。そしたら、気づいたら今だったにゃ」

「確実にそいつが怪しいね。そいつからどこでご飯をもらったか覚えてる?」

「んにゅ、東門のとこにゃ」

「さっきのとこね。うーんだったらもうそいつ、逃げちゃったかも。ご飯って残ってない?」

「全部食べちゃったにゃ。他に食べてた猫もいにゃいから、もうにゃいと思うにゃ」

 まいった。手掛かりがほぼない

 取りあえずさっきの門のとこへ行ってみるかな

「君らはここで待っててよ」

「んにゅあ! リーダー、あたしも行くにゃ」

「いや、オシバナはホネガミ君と待ってて。混乱してるみたいだからそばにいてあげてよ」

「わかったにゃ!」

 二匹を置いて私は東門へ走った

 それにしても猫の体ってすごいね。こんな速さで走れるし、さらには立体的に動ける

 これはもう空を飛んでるかのような感覚

 あっという間に東門まで戻ってきた

 まださっきホネガミが暴れた後処理が行われてる

 猫が危険視されなきゃいいんだけど・・・

「ふう、あの猫ちゃんどうしたんだろうな」

「分からない。ただあの目。近頃よく見る暴走魔物と似ていたな。あの子も操られていたんじゃないか?」

 お、兵士の人達の話が聞こえたけど、どうやらホネガミのせいだとは思われてないみたい

「ああ、普段はおとなしい魔物が突然襲ってくるあの事件か。これも国とギルドに報告だな。まさか普通の動物まで暴走するなんて」

 図書館の読み物、魔法に関する本も読んだんだけど、この世界の生物は魔物以外の普通の動物も魔法が使える

 だからホネガミが魔法を使ったこと自体は驚かれてないみたい

 兵のお兄さんたちが報告のために周囲を調べている中、私はホネガミがエサをもらったって言う門の横に来てみた

 鑑定を使って周囲の人を見てみる

 怪しい人はいないから、やっぱりもう逃げてるか

 ・・・。あれ? 鑑定に何か引っかかった

 門のそばから足跡が光って見える

 あ、これ、鑑定に別の能力が作用してるっぽい

 能力を見てみると、足跡スタンプというものがあった

 どうやら私が探している人の足跡が光って見えるようになるみたい

 説明を読むと、臭いを可視化しているから、日にちが経ってたり、雨や水辺で匂いが消えちゃうと見えなくなるっぽい

 これならそいつを追えるかも

 足跡は外へ続いてた

 それを追って私は走る


 幸いにも臭いは途切れずに足跡となって続いてた

 結果、近くの森まで続いてて、その少し奥にある小さな洞穴に足跡は入って行っていた

 足跡が出たり入ったりの跡になってるから、ここで今生活してるのかも

 私は気配を消しながら奥へ進んでいく

 少し進むと声が聞こえてきた

「こんな簡単に出来るとは思わなかった。さすが帝国の魔導科学だな。動物実験も成功だ。いよいよ街の襲撃に進むぞ」

「ああ、こいつが大暴れすれば街は壊滅するだろうな」

 二人の男の声

 普通の街人の恰好をしてる

 その男たちの後ろには大きなトカゲのような魔物がいた

 鑑定してみると、サラマンダー!?

 魔物じゃなくて精霊!?

 ほわわぁ、こんなにすぐ会えるなんて!

 本で読んだ時からきになってたんだよね

 じゃなくて、あのサラマンダーなんだか怯えてるみたい

 助けなきゃ

 男たちを鑑定してみると、ラーゾリア帝国魔導兵士って書いてある

 魔導兵士、魔法を使う兵士ってことかな

 ラーゾリア帝国はこのバララスラ王国の隣にある大きな国で、たくさんの属国がある

 バララスラ王国含むこの辺り一帯の国は協力体制にあって、帝国と敵対してるんだって

 今はまだ力が拮抗してて攻めてきてはいないけど、こいつらみたいな斥候がいるってことは、多分戦争の準備をしてるんだと思うんだよね

 うわぁ、転生して早々戦争だなんて、気まま猫ライフの妨げ甚だしいじゃない

 ひとまず街を壊させるわけにはいかないから

「にゃん」

「ん? なんだ? 猫か。なんでこんなとこぶるぁあああ!!」

「な!? 猫が攻撃ぶげっ」

 二人を気絶させてから、精霊のサラマンダー君?さん?を助け出した

「あ、ありがとう、助けてくれて」

 きいいいいああああしゃべったああああああ!!

「いや精霊なんだから喋るよ?」

「すみません、あまりにもトカゲだったのでまさか喋るとは思わず・・・」

「あんた失礼ね」

「ごめんなさい」

「まあでも助けてくれたし、そこはいいか。私はサラマンダーのラーラ。あいつらに力を封じられて掴まっちゃってたの。あなたは? 見たとこ猫魔物みたいだけど・・・。見たことない種族ね。そんなに普通の猫と同じ見た目の猫魔物なんて聞いたこともないわ」

「あ、私元々人間でして」

 これまでの経緯をラーラさんに話した

 精霊は神様の生み出したいわば神様の子供だから、話しても大丈夫でしょ

「なるほどねぇ。バステト様の・・・。あの女神様の眷属なのね」

「そういうことですはい」

「取りあえず助けてくれたお礼に加護をあげるね。炎の精霊魔法が使えるようになるから便利だよ」

「あ、ありがとうございます」

 そう言えばサラマンダーって炎の四大精霊じゃなかった?

 これかなりすごいことなんじゃ・・・

 取りあえずこの男たちを街の兵に知らせないと

「ねーラーラさん。こいつらを街に送ることってできないかな?」

「うーん、多少焼けこげてもいいなら」

「死なない?」

「死なないよ。痛いだろうけど」

「じゃあそれで。それとついでにメッセージも送れます? ラーラさんからのメッセージって体で、こいつらが帝国からの間者ってことも」

「オケーまかせて」

 フランクな精霊さんだ

 これで私のことはばれずに帝国の動きも知らせることができそう

 あとは兵士さんたちがどうにかしてくれるでしょ

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