旅8
数時間後、宿に戻るとさっそくみんなで話題に上がってた突然出来たオブジェクトを見に行くことにした
「あ、それ僕らも聞いたよ。なんでも街の中心に突然出来たらしくて、鑑定持ちの人が見ても何かわからなかったんだって」
「あと人の形をした銅像みたいだって言ってた。魔力とかも感じない普通の銅像らしいよ。多分どこかの芸術家が作ったんじゃないかって話」
「危険性はないの？」
「それができてから一週間くらいだけど、何も起こらないし、結構観光の目玉にもなってるみたいだから、黙認されてるみたいだよ」
そっか、危険性はなさそう・・・
なんかそこが結構怖いんだけど、これ大丈夫？
取りあえずその街の中心、噴水広場に来てみた
ここの噴水は大きいんだけど、普通の噴水すぎて特に目玉なんてなかった
その噴水の上に突然現れた人型の銅像
そりゃ皆見に来るよね
宿から歩いて十分くらい
地味に距離あった
噴水広場は観光客でにぎわってて、屋台も出てるから、今日の晩御飯はここで済ませようっと
まずは屋台で串焼きを買って、その銅像を見てみた
うーん、ロダンの地獄門、考える人に似た感じ
でも座ってなくて考え込んでるような形かな？
「うーん、よくわかんないや。あれが芸術ってやつ？」
「私も分かんない。でもこれだけの人が見に来て、評価もいいってことは、芸術性が高いってことなのかな？」
「いやたぶんここにいる人たち流されて見てるだけで、これがいい芸術なのかどうかなんて分かってないと思うよ？ 所詮最初に評価した人が有名な人なら、人間はそれに流される生き物だからにゃぁ」
「ミア、人間に詳しいのね」
「あーまーねー、本はいっぱい読んでるからねぇ」
ひとまずみんなの銅像を見た意見は、分からないってことだった
うんまぁ芸術なんて人それぞれだし、分かんないなら分かんないでいいと思うよ
さて、屋台でも漁ろうってみんなで言ってたところ、突然悲鳴が上がった
そして一気に騒がしくなる広場
その中でやたら響いた声
「銅像が、動いた！！」
突然動き出し、ギギギギという音をたてて歩き出す銅像
その恐怖たるや
なんで？ 私の鑑定でも、ただの銅像だったはずなのに！
