異世界人1
「と、いうわけで、第百六十二回異世界人会議を終わるよ。帝国の動きは気になるけど、どういうわけか僕らは一切入れない。警戒はするけどこれ以上介入はできそうにないからね」
バステト教会本部、バステトが最初に降り立ち、お昼寝をした土地として伝わり、聖なる場所でもある
ここには国はなく、ただ教会とそれに順ずる街が広がり、この世界唯一信仰されているバステトを崇め敬う場所である
そこに集まったのは異世界から来た異世界人たち
彼らはこの世界を守るため定期的に集会を開き、情報をやり取りしている
異世界人は一様に強力なスキルを擁しており、それをよいことに使う者もいれば、悪事に使う者もいる
ここにいる良い異世界人以外にも犯罪に手を染めている異世界人もいるということだ
良い異世界人の方が比較的に多いが、悪い異世界人もそれなりに多い
彼ら異世界人同盟は、普段はそんな悪い異世界人を退治して平和を保っていた
「魔王、か・・・。勇者が生まれてるよね当然」
「ケイジ、勇者は星の裏、バララスラ王国ってとこで生まれてるらしい」
「会って、みるか。前勇者は僕らが来た時にはもう亡くなってたし」
「私が見てこようか?」
「ああ頼むよアンジュ。君ならすぐ行けるしね」
「任せて」
アンジュと呼ばれた少女は指をスーっと空中に走らせると、そこの空間が割れた
「行ってくる」
彼女はその隙間に入り込んで消えた
少女はバララスラ王国に突如として現れ、そして捕捉した
「見つけた。結構可愛い」
ここから数キロは離れ、険しい岩に阻まれている
それが見えるのは彼女の千里というスキルによるものだった
千里眼ではなく千里
千里の道を見通し移動できる力
千里と付いているが、実際は千里どころか星全体をカバーできるほどのチート能力である
そんな彼女に捕捉されれば逃げ道はない
故に彼女の二つ名は、チェイサー
どこに逃げても追い詰めて敵を倒す
ちなみに戦いは苦手であるため大抵は誰かと組んで共に戦う
今回は勇者に会うためだけなので単独行動だ
また空間に指で隙間を作るとひょっこりと顔を出し、今まさに驚いてる少女に手を伸ばし、握手を求めた