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ギョロギョロと目を動かし、その目に映るものは何もない
ただたんたんと人間達を実験材料に新たな化け物を生み出し続けて行く
こうしている間にももその男は頭を掻きむしっている
その頭はどろりと崩れ、骨がむき出しになった
「ここここ、これぇもぉ、ダメになってるねぇえええええ。そろそろそろそろ、変えなくちゃなぁああ」
手についたドロドロに腐った肉をボトリと地面に落とす
「あああああああああいつっらあああのぉせいでぇえええ。僕はぁあああ！！」
またしても頭をガリガリと掻くため、とうとう頭の皮は全て腐り堕ち、頭蓋骨が全てむき出しになった
「ガガガガガガ、カチカチカチ」
舌も落ちたため、放せなくなり、頭を振る男
それによって歯がカチカチと鳴る
そして男はその場に崩れるようにして倒れた
ドロドロと肉が溶けて行く
そしてその横で実験体とされていた死体が急にムクリと立ち上がった
「っち、ダメだ駄目だ。予定より早く移ってしまった。まったく、力をほぼ失ったせいでこんな屈辱」
死体だった女性はドロドロに崩れた男の死体に手を翳すと、死体は砂になって消えた
「くそ！ くそくそくそ！！ あんなクズどもに負けてさえいなければ僕は・・・！ まあいい、今は力を取り戻すことが先決だ」
女性は男の死体があった場所から白衣を拾い上げるとそれを着る
素肌に白衣となった女性はそのまま地下研究室の別の部屋へと歩き出す
「この体は今の男よりは調子がいい。腐ってもいないし、数年は持ちそうだな。改造はしてあるからある程度は戦えるだろ」
少し考えこむようなしぐさをし、目の前の死体に目をやる
それはまだ死んだばかりと思われる筋骨隆々の男の死体
元々はこの国のBランク冒険者だった男だが、十二覇人によってとらえられ、体を傷つけないよう毒薬によって殺されてしまった
男は抵抗したが、Sランク冒険者にも匹敵するほどの十二覇人の面々によってなすすべなく
「っち、こっちに乗り移るつもりだったが、まあいい」
男の体を触る
すると女性の手から何かの液体が流れ出し、それが男にしみこんでいった
すると男の体がドクンと鼓動し、その目がカッと見開かれた
「ウガアアアアアアアアアアアアア！！」
男が起き上がり、フーフーと息荒く立ち上がった
「ふむ、成功したか。おいお前、着いて来い」
男は素直に女性に従い、部屋を出た
腐った男の体から女性の体へと魂を乗り換えた謎の存在
自身をプロフェッサーと名乗る彼または彼女は、蘇った大男と共に皇帝の元へと向かった
