猫の力47
でもそんな攻撃私にはとっくに見えてたよ
今噛み千切ったのは偽物の私
空蝉っていうスキルを使って私の分身を作ってそのからっぽの私をかじったわけだ
「ふふふん、私だってやる時はやるわけよ。内心かなりヒヤヒヤさせてもらったから、これはお礼!」
自分がびっくりしすぎてフィオナちゃんの前なのに人間の言葉を話していることに気づかず、私は狼に向かって話しかけていた
そして猫の力をフルに活用
これはいわば犬対猫の代理戦争
訓練して強くなった私の力を見せてあげる
「にゃにゃにゃ! 空爪!!」
見えない爪が狼を襲う
「空牙!」
見えない牙が狼に噛みつく
「空尾!」
見えない尾が狼をからめとり、地面にたたきつけた
「どう!?」
狼はかなりダメージを受けたようで、ググっと肩を震わせながらゼェゼェと息を吐きつつ立ち上がる
「グルルルアアア!!」
狼はそれでもこちらをにらんで攻撃してきた
強い・・・。攻撃は確実にダメージを与えるけど、それでもまだあれだけ動けるなんて
右前足なんてさっきの牙でちぎれかかってるって言うのに
何なんだろうこの執念
仲間をやられたから怒ってるってこと?
「グルアアアア!!」
最後のあがきなのか、そいつはなんと中位の魔法を連発してきた
氷系の魔法、アイシクルバレッド
たくさんの氷の弾を連続で飛ばしてくる
フィオナちゃん含めた生徒たちは結界で守れる
あとは私がこの弾を避けきって、狼にとどめを刺すだけ
銃の弾と同じくらいの速さだろう氷の球を、向上した私の目は見切る
どの弾も止まって見えるほどに研ぎ澄まされてる
そして、狼の喉元を私は空牙で食い破った
狼はフラフラと歩き、私を見ると、ニヤリと笑って倒れた
まるで、強敵と戦えて喜んでいるかのように




