猫の力33
まずは弓を使う生徒たちが一斉に見張りのゴブリンたちを射た
全てが見事にゴブリンの急所を捕らえて絶命
見張りが突然倒れたことで中からわらわらとゴブリンたちが出てきた
そこを剣や槍で戦う生徒たちがうって出る
みんな強いしためらいがない。ためらえばこっちが死ぬことをちゃんと理解してるんだ
そしてそれはいきなり実戦となったフィオナちゃんも同じ
少し震えながらも剣を構えてゴブリンの首をはねた
「う、げぶっ」
そしてやっぱりだけど、初めてだから何人かが吐いていた
私平気なんだけど、多分魔物だからかな?
心ってのは体に引っ張られるって聞いたことがある
「う、ううう、げぶぅ」
フィオナちゃんも多分に漏れずに吐いてしまった
でもここからが勇者らしい
口元をぬぐって立ち上がると、まだまだ出て来るゴブリンたちをその持ち前のセンスで次々蹴散らしていく
この子、ちゃんと剣術を習ったらもっとすごくなるかも
そしてそれに続けと他の生徒たちも応戦し始めた
中には魔法を使って援助や攻撃をする生徒もいる
先生たちも危険がないように討ち漏らしたゴブリンと倒してるのが見えた
で、私も
肉球パンチ、撃
これは単純にとんでもない威力の肉球パンチをお見舞いする能力
バゴン、ゴガン、ゴキャッという音がして、首が折れたり吹っ飛んでいって潰れたり
うん、このくらいの魔物相手なら無双できるね
しかも私ってば素早いから、まだまだ出て来るゴブリンを広場に出すぎないよう食い止めることもできた
「ミアすごい!」
フィオナちゃんに褒めらるのすごくいい気持ちね
出て来るゴブリンも段々と少なくなってきて、やがて出てこなくなった
「皆、よくやったわね。これで今日の実習は終わ・・・。みんなすぐに逃げて!」
突然叫ぶパルシア先生
その目は洞窟の内部を見ていた
私にもわかる。奥から何かが出てきてる
それはさっきのゴブリンたちとは比べ物にならないくらい強い気配
「生徒たちは全員下がっていつでも逃げれる準備を! マドルット!」
「ああ!」
夫婦が息を合わせて洞窟の前に立つ
そして洞窟からノシノシと出てきたのは、人間の子供くらいの身長のゴブリンたちより一回りも大きい、人間の大人くらいのサイズのゴブリン
これは確か、ホブゴブリン
ゴブリンがFランクの魔物に対し、ホブゴブリンに進化している種は知能も高くなってて、魔法を使う個体も出るためEからDランクになる
今の生徒たちじゃ犠牲が出るかもしれない
その判断から夫婦先生は生徒たちを下がらせたんだ
元とは言え二人は冒険者だった
当然ホブゴブリンの対処法もわかってるはずなんだけど、そのホブゴブリンの後ろからとんでもないものが出てきた
「まさか・・・。今すぐ全員逃げなさい!」
「はやく!」
二人は生徒たちに逃げるよう言って、そいつをにらんだ
「こんなとこになんで?」
「分からないがここでやらないと、近くの村が全滅してしまう」
出てきたのは大きなゴブリン
その頭には王冠があることから、魔物図鑑に載っていたゴブリンキング、もしくはゴブリンロードと呼ばれるBランクの魔物だった
現役を退いた二人がギリギリ勝てるかどうかという相手
ここにいるのはゴブリンの王と、さらにホブゴブリン十体
これは普通ならいくつかのパーティで戦うような相手
二人じゃ数でもう勝てないのは私でも理解できた