妖精の国13
夢中で果物を食べて、お腹いっぱいになった
フィオナちゃんもそうみたい
「ありがとうララフェル、すごくおいしかったよ」
「それはよかったです! 満足していただけたなら私も嬉しいです」
少し休んでからまたララフェルの案内で次の場所へ
「先ほどは見れなかったと思いますので、大樹リブバロの原生地です。リブバロは妖精の宿る木と言われていまして、世界各地にあるのですが、ここがその木々の原木がある地なのです」
見上げると山くらい高くて、幹は大人の男性百人くらいが囲んでようやく回れるくらいの太さ
この世界、おっきな木多すぎない?
でもここから大自然の息吹を感じる
精霊の体だからなのか、すごーーく居心地がいいのよね
「どうですか精霊様。ここの空気は」
「すごく綺麗で心地いいね。それにこの木、魔力を帯びてる?」
「はい! 私達はこの魔力を浴びることで成長していくんです」
「なるほど、確かに妖精が宿る木だね」
リバブロの群生地からさらに奥へ進んでいくと、湖が唐突に現れた
「すっごい綺麗な湖! 泳いでもいい?」
「はいいいですよ」
フィオナちゃんはちゃんとララフェルに断ってから湖に入った
水着はないからもちろん真っ裸で!
ま、まあララフェルと私以外見てないし、いい、のかな?
「私も!」
たまらず私も湖へダイブ
「フィオナ様、精霊様、言い忘れておりました! その湖には神獣がいまして」
「え?」
「その子は女の子が好きなので」
「え?」
「その、すごく舐めて来ると思いますが、決して傷つけては来ないので安心してくださいね」
「舐め、え? ちょ」
湖の中央あたりから水がボコボコと泡を立てて盛り上がって、巨大な竜が現れた
「その子が神獣ミューンです。一応ドラゴンなのですが、性格は穏やかで人懐っこいのでかなり可愛いですよ」
確かに目は子犬みたいで可愛いけど、それでも竜だから結構怖い
「クウウウ!」
あ、声可愛い
ミューンは私達の元まで泳いでくると、優しく私を咥えて背中にのっけてくれた
その後フィオナちゃんも背中に乗せ、ベロンベロン舐めて来る
大型犬みたい
涎まみれになるけど、この涎匂いがはちみつみたい
ミューンはそのまま湖を泳ぎ回ってくれる
「気持ちいいねミア!」
「そうね。楽しいねフィオナちゃん」
湖は結構広くて、端から端までミューンが泳ぐのに十分くらいかかったかな?
向こう岸には小屋があったよ
戻ってきてから私はララフェルに小屋について尋ねた
「ああ、あそこは引退した冒険者のリーナーさんが住んでるんです。ミューンに気に入られて、そのまま冒険者を辞めてこの子のお世話をしてくれてるんですよ。そうですね、三十年くらいはあそこに住んでますね。たまに私達にも顔を見せてくれるんですけど、すごくきれいな人ですよ」
「人間族なの?」
「いえ、ダークエルフですね。すごく優しくて、妖精たちの苦手な力仕事も手伝ってくれるんです」
「ダークエルフ!?」
この世界にエルフがいるのは当然知ってる
でもダークエルフがいるっていうのは初めて聞いた
これは是非ともあってみたいな